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もう俺以外愛さない  作者: カイザーソゼ
12話 ギブアンドテイク
79/83

12-3

 帯刀機は東まで前進した。ここにも残骸が漂っていた。帯刀機は残骸に隠れて両手を構えた。

 北から毘沙門機がやってきた。

 帯刀機は白ビームを見越し射撃で三発打った。毘沙門機は最初の二発で両腕を打ち抜かれた。大きくのけぞった所に胴体直撃の三発目が飛んできた。

 毘沙門機の背中の輪光が輪宝紋に変化した。

 毘沙門機の正面に、大量の金色の炎が燃え上がった。その炎の中から、遮光器土偶の大軍が現れた。三発目は土偶に当たってカットされた。

 毘沙門機本体も金の炎に包まれて、オオゴマダラのサナギに変化した。

 帯刀機は得意の遠距離を捨てて前進した。

 帯刀機は両手の指先から、針のように細い節約白ビームを高速連射した。土偶は動いたそばから見越し射撃でヘッドショットされた。土偶の目が光ってビームが出る瞬間、口からミサイルの先が出てきた瞬間、白毒針一本が頭を射抜いた。

 帯刀機は相手に一発も打たせず、自分は一方的に打ち続けた。土偶が恐れて距離を取ると、飛天ミサイル一斉発射で追撃した。

 陣形が崩れてサナギが見えた。

 帯刀機は右手を正面のサナギに構えた。土偶軍団はワープしてサナギの盾になった。

 帯刀機は速度の違う白光弾を左手で二発、時間差で上空に打った。光弾同士はビリヤードのようにぶつかって角度が変わった。二発目の光弾は土偶の頭上を飛び越えてサナギに当たった。

 サナギは白く燃えながら強引に孵化した。周囲が金色の光に包まれた。


 この太陽系の端から端までと同じ大きさの、ヴィレンドルフのヴィーナスが現れた。垂れた胸の間に、この太陽系の太陽があった。膨れた腹の正面に、今戦っている青い星があった。腕はなく、体のあちこちが崩れて白く燃え上がっていた。

 ヴィーナスは口から星を幾つも産んだ。地球のような青い惑星。木星のような巨大ガス惑星。天王星のような氷の惑星。赤、白、黄色の極超巨星。更には銀河最大のたて座UY星が次から次へと吐き出されて、帯刀機に向かってきた。

 帯刀機の背中の輪光が輪宝紋に変化した。

 帯刀機は両手から化仏ミサイルを連射した。化仏ミサイルは銀色に燃え上がって長距離ワープした。

 化仏ミサイルは星の手前にワープアウトして、真芯に突き刺さってから爆発した。星は内側から吹き飛ばされた。

 帯刀機は片手から銀色の大ビームを発射した。ビームはこの太陽系を一筋に飛び抜けて、UY星の真芯を貫いた。

 ヴィーナスは口を大きく開けて、スターバースト銀河を吐き出した。

 帯刀機の両手が銀色に燃え上がった。帯刀機は両手で正面の空間を引き裂いて、輪宝紋が複雑に連なった異空間への扉を開いた。

 異空間はヴィーナスと、ヴィーナスが吐いた星々を吸い込んだ。敵味方の艦隊は全く動かなかった。

 ヴィーナスは腹から急速に吸われていった。ヴィーナスの後頭部や背中から天の川が吹き出して、あちこちの星に巻き付いた。

 異空間に吸い込む力と、そこから脱出しようとする力で綱引きが起こった。星々は天の川の触手にグルグル巻きにされて締め砕かれた。

 ヴィーナスの背中からオオゴマダラの羽が生えてきた。ヴィーナスは羽を大きく羽ばたかせて、異空間から少しづつ脱出した。

 異空間に吸い込む力で宇宙が傷付き、ひび割れて、新たな扉があちこちに開いた。新たな扉はヴィーナスの全身を引き裂いて吸い込んだ。

 ヴィーナスの体内に潜んでいた毘沙門機が露出した。

 帯刀機の足元に、足場となる銀色の輪宝紋が現れた。帯刀機は輪宝紋に降り立って、居合の態勢で低く構えた。

 帯刀機は足場を蹴って飛び上がり、宙を一直線に突き進んで、銀色の刀で毘沙門機を切り上げた。

 扉はヴィーナスと星々を吸い込んで閉じた。あちこちの亀裂は自然修復された。

 輪宝紋を失った帯刀機は力なく南に戻った。

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