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もう俺以外愛さない  作者: カイザーソゼ
11話 懐中電灯の墓標
74/83

11-5

 午後六時、辺りが暗くなってきた。街灯に明かりが灯った。

 局長がいる第一師団基地は停電していた。滑走路は空だった。

 警察の旧式護送車が基地の中を走っていた。タイヤあり、自動運転システムなしで、人間が運転していた。

 護送車には局長と機動隊員が乗っていた。局長はひげを剃り、服装も整えていた。

 護送車は赤レンガの司令部前を通りがかった。軍服姿のチベットが玄関先に立っていた。司令部はチベットとの交渉に応じて、局長を無抵抗で警察に突き出していた。

 チベットはカズダンスで護送車を見送った。

 護送車は基地を出た。警察の旧式装甲車部隊が前後を護衛した。


 民家の側溝からロボットゴキブリの群れが這い出てきた。群れは車の裏側から車内に侵入した。

 無人の車が門扉を破壊して走り出した。

 他の民家の車も走り出した。駐車場の車も一斉に動き始めた。


 護送車と護衛部隊はほうれんそう畑の一本道を走っていた。

 カステラ型の輸送シャトルが飛んできた。貨物室のハッチが開いて、高圧ガスのタンクローリーが発射された。

 タンクローリーは護衛部隊の前方に墜落、爆発した。

 大型シャトルは護衛部隊の後方に墜落した。

 大量の民間車が畑を突っ切って両側から迫ってきた。民間車は寄り集まって車の大津波となり、左右から一団を飲み込んだ。

 畑は横転、炎上した車で溢れ返った。辺り一面火の海となったが、護送車だけは無事だった。

 基地から戦闘シャトルが飛んできて、護送車付近に降下した。局長達は戦闘シャトルに乗り込んで脱出した。

 シャトルには軍のケンタロボ隊が乗っていた。彼らは機動隊に銃を向けた。

 局長は降伏を迫った。


「後一、二時間ほどで和泉が攻めてきます。それまでにここを脱出出来なければアウトです。一緒に行きたい方?」


 機動隊は銃を捨てなかった。局長は「どうぞお好きに」と運転席に向かった。

 局長は手錠の鍵を外しながら、「俺もやれば出来るじゃない」と自画自賛した。


 畑の果てに小さな飛行場があった。滑走路に葉巻型旅客シャトルが止まっていた。

 戦闘シャトルは滑走路に着陸した。局長は一人で降りて、旅客シャトルに乗り込んだ。

 シャトルには軍の特殊部隊が乗っていた。部隊は敬礼して局長を出迎えた。

 隊長は状況を説明した。


「粉河港で土橋大佐がお待ちです。到着次第、すぐ戸切地要塞に出港します」

「王子は?」

「既に要塞に。局長が亡命政府を樹立すれば、我々はまだまだ戦えます」

「道重君は慎重な男です。保険の意味で必ず我々を見逃す」


 シャトルは飛行場から出発した。

 格納庫を突き破って、カステラ型旅客シャトルが弱威力で発射された。

 カステラシャトルは葉巻シャトルに体当たりした。葉巻シャトルは黒煙を上げながら降下していって、近隣の再開発地区の空き地に墜落した。


 軍は宇宙港を制圧した。ニルデーシャ隊は上空を押さえ、ケンタロボ隊は滑走路上の輸送シャトルを取り囲んだ。

 官庁街のパーキングビルに、局長の四ドアセダンが長い間止められていた。フロントガラスは埃で曇っていた。警察は局長の車を簡単に押収した。

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