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改造バンは宮殿外苑の駐車場に止まっていた。ゴキブリの群れが飛んできて、窓から車内に飛び込んだ。
バンは駐車場を出て、最寄りの首都高入口へ向かった。
車の流れが止まった。フロントガラスに「ただいまテロ警戒に付き 一時的に運転を停止しております。ご了承ください」というメッセージが表示された。
警察は付近の全ての車を強制停止した。
バンの後ろから、人型上半身にバイク下半身の白バイロボ二台がやってきた。
元ヤンは手動運転に切り替えた。彼女の正面にホログラムハンドルが現れた。元ヤンはハンドルを握って、バンを急発進させた。
バンは左の中央分離帯に乗り上げて、渋滞の真ん中を走った。
白バイロボが後ろからレーザー拳銃を打ってきた。後部ドアに内張りした防弾ベストが攻撃を防いだ。
バンは中央分離帯を下りて、道路を右に横切り、地下駐車場入り口へ向かった。白バイロボAが突進してきた。
バンは下り坂に入った。ロボAの視界から車体が一瞬消えた。
バンは急ブレーキをかけた。
ロボAはそのまま突っ込んでいって、バンと追突事故を起こした。ロボAは吹っ飛ばされて壁に激突した。
バンは急発進で地下駐車場を走った。白バイロボBが猛スピードで付いてきた。
坂の上に出口が見えてきた。首都高の高架橋が正面を横切っていた。
バンは坂を駆け上って大ジャンプ、高架橋に着地した。
白バイロボBも後を追ってジャンプしたが、飛び過ぎて高架橋を飛び越えてしまい、別の高架橋の橋桁に衝突した。
首都高の車も止まっていた。バンは車体を左に傾けて、道路の左端を片輪走行で走った。
警察の輸送シャトルが飛んできた。シャトルはバンの前方に降下して、クモ型の六脚戦車一台と、白バイロボ二台を下ろした。
クモ戦車はビーム砲を打ってきた。バンは車体を戻して急停止した。ビームはバンの数メートル手前に着弾して土埃を上げた。
白バイロボ二台が接近してきた。バンは群れを放った。
群れは白バイロボ二台の頭に張り付いて、外部からそのコントロールを奪った。ロボの頭はゴキブリのヘルメットを被ったようになった。
透明感と村田はハックバイクを操作した。
二台は急カーブで反転してクモ戦車に突っ込んでいった。
クモ戦車は小型ミサイルを連射した。透明感機はレーザー二丁拳銃の流し射撃で打ち落とした。
クモ戦車はビーム砲を発射した。村田機はジャックナイフからの縦一回転でかわした。クモ戦車がもう一発打ってきたが、これは調子に乗ってウィリーからのトリプルアクセルでかわした。
クモ戦車が六脚ローラーダッシュで突進してきた。村田機は正面から横滑りでクモ戦車の真下に滑り込み、無防備な裏側に肉薄射撃を打ち込んで、裏側から滑り出た。
クモ戦車はダウンした。透明感機はクモ戦車をジャンプ台にして飛び上がり、輸送シャトルの貨物室に飛び込んだ。
透明感機は自分の胸を打ち抜いて倒れた。群れは頭から離れて、シャトルの操縦室に向かった。
コントロールを奪われた輸送シャトルが降りてきた。まず村田機が、そしてバンが貨物室に入った。輸送シャトルはハッチを閉めて飛び去った。
星美は軍服に着替えて、応接室で午後のワイドショーの生中継に出演していた。
放送中、星美の携帯が鳴った。星美は謝り、スタジオのキャスターは苦笑いした。
キャスターは誰からか尋ねた。
「妖怪レモン汁かけ?からです。警視庁副総監の不正の証拠を公表して欲しいと言っています」
画面上に速報テロップが流れた。
―「警視庁でテロ 機動隊と首都高三号線で交戦中」
スタジオは静まり返った。
星美は慌てて携帯をタップした。
部屋中にホログラムモニターが現れた。モニターに副総監個人の資産データや、防犯カメラシステム導入における裏金の流れ等が映し出された。
「はわわ!私のうっかりさん!」
画面が切り替わって、「しばらくお待ちください」というメッセージが表示された。
しかし「星美砲」がネットに動画を大量アップした。警察やテレビ局が消しても、すぐにその十倍アップした。




