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もう俺以外愛さない  作者: カイザーソゼ
10話 進者往生極楽 退者无間地獄
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10-4

 西の月戦が終わった翌朝、ホログラムチベットは了介達を待機所に集めた。

 星美はサマーニットとレースショートパンツのヒラヒラした格好。透明感はシフォンブラウスとアコーディオンプリーツスカートの柔らかい恰好。元ヤンはシンプルカチューシャとバルーンスカートワンピースのシックな恰好だった。

 帯刀は便乗商品のイカ兜みきゃんTシャツとミリタリーパンツのシンプルな恰好。了介はネクタイにダウンボタンシャツとライダージーンズの細身の恰好。村田は開襟Vネックのワークシャツにドクロの刺繍入りデニムのオラついた格好だった。

 ホログラムチベットはダメージデニムジャケットにクラッシュジーンズを合わせて、汚し加工のワークキャップを被っていた。

 ホログラムチベットは労をねぎらった。


「ご苦労様でした。後は士官学校生が指揮しても勝てます。

 しかし局長派の証拠隠しが急速に進んでいます。小久保さんの逮捕は早くて十日後。証拠は全て消された後でしょう」


 星美は挙手した。


「これ以上こちらのスケジュールは切り詰められないです。警察の方で何とか早めてもらえませんか」

「警視庁の栗山副総監は逮捕を引き延ばして証拠隠滅の時間を与えています。彼らは別に防衛省の味方じゃありませんからね」


 元ヤンが怒った。


「じゃあ、今やってるの全部無駄って事ですか?」


 了介は落ち着かせた。


「局長の車が吉倉門のパーキングビルに放置されている。服にも車にもこだわりのない人だよ。(車内の様子が録画されている)初期設定の車には沢山証拠が残っているから、そっちを押さえたらいい」


 ホログラムチベットも同意した。


「公安のサーバーにもまだ大量に残っています。だから副総監も時間を稼いでいる。

 今朝、高圧ガスのタンクローリーが一台盗まれました。現場からは中村容疑者の指紋が。警視庁を攻撃しようとしているのかもしれません。

 非常に困っています。君達の知恵を借りたい」


 元部下の了介なら課長を説得出来るかもしれない、とホログラムチベットは考えていた。

 了介は即答した。


「分かりました。ではその前に警視庁に忍び込んで証拠を盗んできます」


 透明感は呆気に取られた。元ヤンは「アホじゃない?」と切れた。村田は乾いた声で笑った。星美は頭を抱えた。帯刀は頭の中で作戦を組み始めた。

 ホログラムチベットはしどろもどろになった。


「君に頼みたいのはそういう事ではなくて……」

「証拠はマスコミに公表します。容疑者は証拠隠滅を防ぐためにテロを起こそうとしているので、表に出せば満足して止めるでしょう」

「その……全て公表するのかな?」

「もちろんです。テロを防がないと」

「警視庁がズタボロになる」

「そうですか。三好さんには引き続き関係省庁との調整を頼みます。違法な証拠は採用されないので、徹底的に合法であるという形を取りたいのです。局長が法解釈を変えてくれたので、ひたすら屁理屈を重ねればごり押せるはずです」

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