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味方主力は東を攻めた。敵は東に兵力を集めた。これを見て、味方は少数精鋭で西を攻めた。
開戦から四日目、若竹隊は西の金の月攻略作戦に参加した。
上陸部隊は金の月に降下した。地面は硫黄蒸気で金色に変色していた。
輸送艦から各部隊が発進した。プンダリーカが主力の精鋭部隊だった。
フリダヤの了介機は単独で降下して、露天掘りの廃鉱山上空に到着した。地面にすり鉢状の大きな穴が掘られていた。
了介機は垂直降下で穴底に飛び込んだ。
長いトンネルが続いていた。道は狭く、暗く、迷路のように入り組んでいた。了介機は左右に曲がりくねり、上下に波打ったトンネルを飛び抜けた。
道に鉱石運搬車二台が放置されていれば、機体を九十度傾けて真ん中を通り抜けた。
落盤で道が塞がっていれば、クロールのクイックターンの動きで反転した。
ゴツゴツした長い縦穴があれば、バーティカルクライムロール(ドリルのように錐揉み回転しながら垂直上昇する動き)で駆け上がった。
了介機は縦穴を抜けてトンネルを突破した。
金色の湖の湖畔に敵の基地があった。敵は出撃準備の最中だった。滑走路に軍艦五隻が止まっていて、そこにトラックが物資をのんびり運び込んでいた。
了介機は相輪型の特殊ミサイルを基地上空に発射した。ミサイルは紫色に燃え上がった。その炎の中から、自走式ビームカノンを装備した「龍」のプンダリーカが現れた。
帯刀機は軍艦の艦尾スラスターを打ち抜いた。
帯刀機はビームカノンを投げ落とした。ビームカノンはハンドスピナー状に回転して地上部隊を弾き飛ばし、またブーメランのように戻ってきた。
敵は対空攻撃を始めた。二機は距離を取って回避した。
了介機は相輪ミサイルをもう一発打って、ビームマシンガン六刀流装備の村田のプンダリーカをワープアウトさせた。
村田機は急降下した。
滑走路の地下ゲートが開いて、嘉風二機が発進しようとした。村田機は銃剣ビームサーベル六刀流で二機を切り裂いて、地下格納庫に突入した。
広いスペースに嘉風三十機が止まっていた。
村田機はビームマシンガンを乱射しながら飛び抜けた。駐機中の機体は爆発炎上した。
村田機は別のゲートをミサイルで破壊して脱出した。格納庫は大爆発して、二つのゲートから火柱が吹き上がった。
帯刀機はビームカノンを敵司令部に向けた。敵は攻撃を止めて降伏した。
四時間後、清海率いる本隊がやってきた。若竹隊はここで一旦ログアウトした。
コックピットブロックから出たパイロットは、とりあえずハイタッチして勝利を祝った。皆まだこれからという表情だった。
若竹隊には四日間のローテーション休みが与えられた。
帯刀と透明感は待機所で金の月防衛作戦を討議した。村田も指揮官修行で強制参加させられた。
了介、星美、元ヤンはオペレーター室で新型機の調整を進めた。帯刀達三人も後から参加した。
他のパイロットもオペレーター室で自主トレーニングを行った。
マスコミは要塞攻防戦を連日盛んに報道した。ニュースは朝から夜まで要塞戦一色になった。関連グッズや特集本がブームになった。
警視庁は逮捕に備えて関係者宅を二十四時間態勢で監視した。
自宅から証拠を燃やす煙が一日中上がった。業者のトラックは関係先を回って証拠を回収した。関係者は料亭に集まって口裏を合わせた。
敵は三倍の兵力を集めて西の金の月を包囲した。味方は引き籠って出てこなかった。
敵が西を取り囲んでいる間に、味方主力は東に猛チャージをかけた。
西の敵は上陸前の準備砲撃を開始した。金の月は真っ赤に燃え上がった。
砲撃は一時間経っても終わらなかった。二時間が経ち、三時間が経ち、とうとう六時間が経過したが、その勢いは衰えなかった。
地上は火の海だった。味方は軍艦単位でトンネルを掘って、地下百メートルまで逃げていた。
敵はバンカーバスター(地面にめり込む爆弾)やサーモバリック爆弾(ダメージがトンネルの隅々まで行き渡る爆弾)を打ち込んだ。マスドライバーで小隕石も飛ばした。
味方はミミズ型の穴掘りロボにトンネルを掘らせて、更に地下へ逃げた。攻撃そのものは届かなかったが、地中を伝わってくる衝撃波で、ミミズロボが予期せぬ誤作動を起こして止まったり、軍艦の標識灯が消えたりした。
十二時間が経過した。地上は炭化して黒くなった。
二十四時間が経過した。夜、地上は降り積もった灰と、火事の火の粉と、絶え間なく降り注ぐビームの青いしぶきが入り混じって、幻想的な光景を見せた。
砲撃開始から七十二時間が経過した。
孔雀ナルト星の司令部は意気消沈していた。参謀の声は刺々しかった。オペレーターの顔には不安が浮かんでいた。一部の若手参謀はポジティブ発言で周囲を奮い立たせようとした。
「落ち着こう!大丈夫落ち着こう!」
「最後の悪あがきだ!行ける行ける!」
「敵はヤケだ!この勝負勝ったぞ!」
作戦主任参謀は司令部の隅に設置された神棚に手を合わせていた。参謀長は誰もいない休憩室でサッカーボールをリフティングしていた。
司令は士官食堂で本国のチベットと連絡を取り合っていた。




