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もう俺以外愛さない  作者: カイザーソゼ
8話 サッチウィーブ
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8-2

 敵は複数の防御陣地を築いて街を守っていた。

 主力はトラックの運転席に手足を付けた戦闘ロボである。陣地に籠ってレーザーを打ってきた。

 アノマロカリス型の大型ガンシップが空中から敵前線を支援した。アノマロカリスは一反木綿の動きで空を飛んで、地上に榴弾砲やビームを打ち落とした。

 ハルキゲニア型の陸上砲艦が後方から支援した。ハルキゲニアは背中の棘状砲身から長距離ビームを打ち込んだ。

 味方は輸送艦から戦闘シャトルを飛ばして、ケンタロボ隊や装甲車を砂漠に下ろした。

 地上部隊は上空部隊に支援を要請した。


 ニルデーシャ部隊は高度六千メートル上空から敵地上部隊を爆撃した。

 六千メートル上空を対空砲で狙う場合、砲口はほぼ真上を向く。この状態では砲身はほとんど動かなくなるので、偶然真上を通過してくれない限り当たらなかった。ミサイルも上がるまで時間がかかるので、十分余裕を持って回避行動を取れた。

 ニルデーシャ部隊は悠々と対空砲火をかわしつつ、爆弾を投下した。

 遥か上空から、音速を越えた速さで爆弾が落ちてきた。

 超音速の爆弾は落下時の音が聞こえないので、前兆なく当然爆発したように見える。ハルキゲニアはいきなり炎上して突っ伏した。アノマロカリスは火だるまになって地面をのたうち回った。戦闘ロボは陣地ごと吹き飛ばされた。


 地上部隊は装甲車を盾にして前進した。上空の味方が目立つ敵を片付けてくれたが、地上にはまだ多くの敵が潜んでいた。

 敵が防衛陣地から攻撃してきた。

 地上部隊は敵陣に赤い誘導レーザー光線を照射した。上空からリクエスト通りに爆弾が落ちてきて、敵陣を爆破した。

 地上部隊は敵陣にロボットカラスの群体兵器(集団で一個体を成す無人兵器)を放った。カラスの群れは黒煙を上げる敵陣の頭上を旋回した。まるで死骸の臭いを嗅ぎ付けたコンドルのようだった。

 地上の敵が攻撃してきた。

 群れは急降下して自爆特攻を図った。群れは一匹、二匹と簡単に打ち落とされたが、それ以上の数が殺到して敵を吹き飛ばした。

 地上部隊は炎上する敵陣を無事通過した。


 敵の空中部隊が現れた。若竹隊を含む味方部隊は迎撃に回った。

 若竹隊はフリダヤが前に出て、プンダリーカは後ろに付いた。

 プンダリーカはリンクアタックシステムを搭載していた。プンダリーカが攻撃の指示を出せば、他の機体が代わりにビームやミサイルを発射した。


 コックピットの中で、透明感、元ヤン、村田の三人はホログラムレーダー画面を確認した。

 敵を示す赤い点が八機、広く距離を取って南から接近していた。味方を示す青い点が二十四機、敵を待ち構える形で広く展開していた。

 三人は右のボールレバーの小指のボタンをダブルクリックした。これでリンクモードに切り替わる。

 コックピットモニターに、敵を示す小さな緑の四角が八個表示された。

 三人は中指のボタンを長押しした。これで敵はロックされる。

 コックピットモニターに、照準を示す小さな緑の丸が八個現れて、四角を囲んだ。四角は赤白に点滅した。

 三人はもう一度中指のボタンを押した。これで発射の指示が出る。


 フリダヤ隊は飛天ミサイルを一斉発射した。ミサイルは尻尾を白く光らせて南へ飛んでいった。


 ミサイルの姿はすぐに消えてしまったが、レーダーにはしっかり映っていた。

 レーダー画面上で、ミサイルを示す青三角八個は赤点に向かって飛んでいった。赤点はミサイルに気付いて反転しようとした。


 遥か彼方の南の空が白く光った。


 レーダー画面上で、全ての青三角と赤点四つが一瞬で消え去った。残りの赤点は南に逃げたが、途中で二つが消滅した。


 部隊は警戒要員を残して地上支援に戻った。


 上空の味方は大忙しだった。地上のあらゆる部隊から支援リクエストが来た。味方は戦場を飛び回って爆弾を落とし続けた。

 ニルデーシャの爆弾搭載量は少なかった。補給のために戦場と輸送艦を頻繁に往来しなくてはいけなかった。機体の中に爆弾を仕込まないといけないので、ピットインの時間も長かった。

 フリダヤは誰より長時間飛び続け、誰より多く敵を攻撃した。外部コンテナを交換するだけなので、ピットインの時間も短かった。ニルデーシャがステルス能力を捨てて外部コンテナを使ってきても、爆弾を積む力はフリダヤの方が上だった。

 プンダリーカは敵の増援に備えて空中待機を続けた。敵は何度もやってきたが、その都度ステルスとレーダー能力を生かした長射程攻撃で跳ね返した。

 フリダヤは非ステルスでレーダー能力も低いが、働き者で火力は高い。ニルデーシャやプンダリーカはステルスでレーダー能力も高いが、ひ弱で火力は低い。

 プンダリーカはリンクシステムでステルス能力を維持したまま、火力はほぼ無限になれた。いずれは戦場の全兵器を人形使いのように操れる日が来るだろう。

 フリダヤも全身レーダーアンテナの両機と繋がる事で、遠くまで見通せた。攻撃はベテラン任せで回避に集中出来た。


 作戦開始から六時間後、砂漠の空はピンク色の夕日に染まった。

 味方部隊はネオムデハル様式の敵都市を取り囲んで降伏勧告を行った。建物の屋根や屋上に、ロボットカラスの群れが何万匹も止まっていた。

 若竹隊はここでログアウトして、別部隊に機体の操作を譲った。

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