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了介とこにゅうどう君は、大学病院の駐車場に止めた車の中で、村田から送られた日記やレシートの映像をチェックしていた。
了介はこにゅうどう君に確認した。
「この日記は裏が取れているんですか?」
「ざっと見た限り間違いない。新情報は二十七日午前に大学病院で薬をもらってた話か。プライバシーの問題で警察が来ても喋らんのよ」
「大臣はテロを知って精神的に追い詰められていた。二十七日の朝には宗教学教授と会っていますね」
「舟州会の話をしたそうだ。君が生まれるずっと前に、月面都市を作る計画があったんだな。で実験用にメンバーを集めて街も作ったんだが、その中に舟州会のダミー団体のOUJが混じっていた。
公安はОUJの幹部を無期懲役でぶち込んで、経典も全部焼いた。噂じゃ踏み絵までさせたって。シロと認定された関係者は今、北地人協会という原始共産制の農業コミューンを運営してる」
「ОUJの月の寺の名前は?」
「安立行菩薩院」
了介は事件の経緯を推理した。
「舟州会の分派組織は醍醐の会の軍事テロを支援していました。杉野記者は取材過程でそれを掴んで、大臣に知らせた。
防衛局長は杉野記者の動きからテロ計画を知りました。局長は分派に情報を流して杉野記者と大臣を殺させた」
「杉野が調べなければ一発アウトだった」
「いいえ、軍が駆け付けてすぐに首都を奪還したでしょう。ただ、総理は間違いなくこの世にいません。局長は最も被害の少ない効率的な国家奪取計画を邪魔されそうになったから殺したんです」
プロ二人の迅速な対応で首相暗殺は阻止された。局長は二人と組んでどこかで失敗させようとしたが、徳さんは最初から局長を警戒しており、計画は未然に防がれた。
了介は時計を見た。
「そろそろアポの時間です。病院に行きましょう」
二人は車を降りて大学病院に向かった。了介は防衛相の家の豪華さを指摘した。
「大臣の自宅、弱者の味方の家ではないですよ。絶対にどこかで抜いている」
「ああ、後で調べてみよう。しかしま、大臣もこうなったら丸裸だね。素人(カマキリの卵)は怖いわ。地雷原の上でダンス踊ってるよ」
こにゅうどう君は井森美幸のホリプロオーディションダンスを踊った。
首都南部の高層ビル街の一角に、スクラッチタイルの賃貸オフィスビルが建っていた。
テングザル似の男がビルに入っていった。




