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もう俺以外愛さない  作者: カイザーソゼ
6話 神を見た夜
39/83

6-6

 北の帯刀隊五機は毘沙門隊十六機を足止めしていた。敵は遠距離から縄文ミサイルを打ってきたが、帯刀隊はホログラム分身と見越し射撃で全弾カットした。

 焦った敵が前に出てきた。

 帯刀隊は残りのミサイルを全弾一斉発射した。敵は囮光弾を発射して急回避した。

 帯刀機は見越し射撃を二発打った。最後はビームカノン一門を投げ飛ばした。

 敵Aが味方ミサイルをかわしきった所に、帯刀機の攻撃が飛んできた。敵Aは最初の一発を右のバレルロール(側転)でかわし、次の一発をインメルマンターン(バク転して反対方向へ飛んでいく動き)でかわそうとしたが、バク転の途中でビームカノン本体が飛んできて空中衝突した。

 敵Aは動かなくなった。

 六本腕のフルアーマー村田機が飛び出した。手に六枚の盾を持ち、両肩両腰にドライブユニットを四基付けていた。

 ウッズ化した村田は従順だった。フリスビーを拾いに走り出す犬のようだった。

 敵は村田機に縄文ミサイルを打ってきた。村田機はホログラム分身で縄文ミサイルを四方八方に散らした。ミサイルは次々爆発した。

 村田機は爆炎の間を高速エルロンロールで突き進んだ。盾が蒸発した。

 敵はオレンジ色のビームを打ってきた。村田機はビームの雨の中を高速ダイブ&ズーム機動で突き進んだ。

 至近弾が体をかすめた。ビームのしぶきが全身にかかった。かすめた跡は高熱で赤い線に、かかった跡は赤い斑点になった。

 村田機は全身傷だらけで弾幕を突破すると、アーマーをパージして無傷のプンダリーカに戻った。そして動かない敵Aを捕獲して、急いで逃げ帰った。

 毘沙門機の背後で、オレンジの炎が燃え上がった。

 炎の中から、富士山ほど大きな合掌土偶が現れた。合掌土偶は長野県を一刀両断出来る巨大マカナ(黒曜石の剣)を手にしていた。

 帯刀機は単独で飛び出した。村田機はブーメラン型の全翼機を放り投げた。

 帯刀機は全翼機をキャッチして、左腕を後部中央のスラスター口に突っ込んだ。

 指先から根の形のハックユニットが伸びてきて、スラスター口の奥にあるコアブロックに侵入し、外部から全翼機のコントロールを乗っ取った。

 合掌土偶は右手で長野県ソードを振り下ろした。

 帯刀機は物理ハック全翼機を弓のように構えて、見越し射撃で太いビームを一発打った。

 ビームは合掌土偶の右手中指の関節を打ち抜いた。中指はちぎれ飛んだ。長野県ソードは合掌土偶の手から離れて宙を飛んだ。

 GIFの上空を、長野県ソードが縦回転で飛び去っていった。

 敵部隊は縄文ミサイルを全力発射した。

 帯刀機は高速機動で爆炎の間をかいくぐり、弓を構えた。爆炎の合間に毘沙門機の姿が見えた。

 帯刀機は構えた弓を微妙にずらして、ビームを見越し射撃した。細いビームは爆炎と爆炎の間を飛び抜けて、毘沙門機の頭を打ち抜いた。

 毘沙門機の動きが止まった。合掌土偶は崩れ落ちて土石流となった。

 土石流が猛スピードで押し寄せてきた。敵は一瞬で飲み込まれた。帯刀隊は全速力で撤退した。


 南の味方は星美機を残して全機撤退した。

 邪鬼機が単独で前進してきた。殿の星美機と邪鬼機は直接対決に入った。

 邪鬼機は全身からムラサキシジミを大量放出した。邪鬼機を中心に、紫色の鱗粉を放つ蝶の群れが同心円状に渦巻いた。

 星美機は群れにビームを発射したが、霧状にばらけて消えた。

 星美機はミサイルを発射したが、尻尾の光が消えて止まった。

 星美機は大量のウェポンコンテナをワープで呼び寄せた。同時大量ワープの影響で、敵味方のレーダー画面が一瞬乱れた。その隙を付いて、星美機本体も短距離ワープした。

 星美機本体は渦の中心、邪鬼機の真上にワープアウトした。

 星美機は中心目がけて垂直降下。折り畳んだ翼の実体剣で邪気機の左手、左足を切り落として渦の真下に抜け出した。渦は紫色に燃え上がって消滅した。

 邪鬼機は囮光弾を撒き散らして後退した。

 星美機は全弾乱射の流し射撃で追い打ちをかけた。背中のミサイル、両腕のビーム砲、ワープしたウェポンコンテナ、最後は三本足のロケットブースターを嵐のように叩き込んだ。

 邪鬼機はかわしきれずに右手を吹き飛ばされた。ロケットブースターで頭を砕かれた。

 邪気機の胸部アーマーが左右に開いて砲口が露出した。そこから、ユーラシア大陸ほど大きな百合の花が一輪咲いた。

 花びらの一枚一枚がアゲハ蝶の形をしていた。おしべは触覚の形で、タコ足のようにうねっていた。花の中心部から花粉のような、鱗粉のようなオレンジ色の粒子が放出されていた。

 イタリア半島ほど大きなおしべが星美機に切りかかってきた。星美機は短距離ワープで強引に回避しようとしたが、イタリアおしべは輪違い紋ごと星美機を粉砕した。


 南北の味方部隊は淡路島空母まで後退した。これで全機撤退が完了した。

 淡路島空母の北から土石流、南から巨大百合が迫ってきた。

 淡路島空母は緊急ワープを始めた。空母の周囲に紫色の光の球体が発生した。球体は生き残り全てを包んだ。

 百合が迫ってきた。帯刀機は球体から出て弓を構えた。

 全翼機の機首砲口から同じサイズのアゲハ蝶の百合が咲いた。邪鬼機と比べて色が薄かった。

 二つの蝶花が宇宙空間で激突した。アゲハの花びらで互いに押し合い、触覚のおしべで激しく切り結ぶ、受粉とも共食いとも付かない光景。

 すぐに帯刀機のユリが押され始めた。帯刀機本体も球体の中に追い落とされた。球体は収縮して消滅した。

 味方は全機ワープして消え去った。戦場には巨大な花二輪と瓦礫が残された。花や瓦礫は続いてやってきた土石流に押し流されていった。

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