STORY1 戦場
◇◇◇ TROOPER's ◇◇◇
P.M.3時27分 《砂漠地帯の街 病院》
銃声、呻き声や雄叫び、建物が爆ぜる音。 俺達は今、戦闘を繰り広げている......ただしゲームでの話だがな!
俺達がプレイしている、このゲームは、オンラインFPSゲーム〔TROOPER's〕と言うフリーアクションゲームで、様々な銃火器や戦闘車両、ゲームにしか無いオリジナル装備を使い、ステルス有り、バイオレンス有りのプレイを楽しむゲームで、今受けているミッションは、[砂漠地帯にいる敵勢力を壊滅させろ!]と言うクエストで、現在800人ものプレイヤー達が参加している。
【KENJI】『こちらAー 3!ポイントC2に敵兵がまた増援を100人くらい出して来やがった!助けてくれ!オーヴァー!』
突然、俺の無線にAー3分隊の分隊長である、KENJIさんから救援要請が入って来た。
多分だが俺も含めた、各分隊長に通信が行ってるんだと思う。因みに俺はAー5分隊の分隊長をしている。
【Sol】「シャロン分隊長、どうしたんですか?」
俺がいるAー5分隊のメンバーのSolさんから、そんな質問が来た。シャロンは俺のキャラネームだ。
【俺】「Aー3分隊のKENJIさんから、救援要請が来たんですよ」
【Sol】「場所は?」
【俺】「ポイントC2」
Solさんがそれを聞くと、右手で空中にメニュースクリーンを出して、メニューの一覧からマップを選択し、出て来たマップをチェックする。
《メニュースクリーン》視界投影機を使うことで見える〔TROOPER's〕の機能で、複数の選択欄が有り、通信やアイテムの収納などが出来る。
《視界投影機》〔TROOPER's〕のプレイヤーの左目に最初から着いている装備で、メニュースクリーンを見たり、暗視機能や味方のカメラ映像も見ることが出来るアイテム
【Sol】「今、此処が、ポイントB4だから少し遠いですね」
【ファム】「でも、ハンヴィーを使えば直ぐですよ」
【GeRaRD】「そのハンヴィーは、少し前に敵兵の無反動砲で吹っ飛んだろ!?それに今回のミッションは、《兵器配達》が使えないんだぞ!!」
《兵器配達》メニュースクリーンの選択欄の1つで、プレイヤーが欲しい銃火器や戦闘車両を指定場所まで突然C-5ギャラクシーが現れて空輸してくれる機能、1部のミッションで使用出来ない場合がある。
【ファム】「そりゃあ、そうですが、何も怒鳴らなくても」
【GeRaRD】「ああ、ゴメン、ついカッとなった」
【リリー】「ゲラさん、サイテー」
【GeRaRD】「うるせぇ!突撃バカ!」
【リリー】「はぁ!?誰が突撃バカよっ!?」
【GeRaRD】「お前だよ!いつも、いつも、ミニミでバカスカ撃って突っ込む事しか出来ねぇじゃねぇか!」
【リリー】「あれは、陽動よっ!!」
【GeRaRD】「あれの何処が陽動だよ!?ただ突っ込んで殺られてる、だけじゃねぇか!」
【Sol】「おい!お前ら、いい加減にしろ!隊長が渋い顔してるだろ!」
【GeRaRD】【リリー】「「あっ」」
Solさんの指摘で、ようやく本題に入れる。俺は、Solさんに「ありがとう」と言って改めてマップを見ながら言う。
【俺】「此処の、B3とB4の間にAー8分隊がいる。確か、Aー8分隊が敵の車両基地の1つを制圧したと言ってたから、合流して、Aー3分隊の援護に行くついでに、車両もゲットしようと思う」
【Sol】「分かりました」
【GeRaRD】「隊長、すみません、つい熱くなってしまって」
【リリー】「私も、すみません」
俺がSolさんに、そう言った後、GeRaRDさんとリリーさんが、俺に頭を下げた。俺は「別に良いよ」と言って、終わりにした。
そして俺は、メニュースクリーンを出してコールを選択する。
【俺】「Aー5、シャロンより、Aー8、lenさんへ、聞こえますか?オーヴァー」
【len】『ああ、聞こえるよ、オーヴァー』
【俺】「lenさんは、Aー3の援護に行きますか?オーヴァー」
【len】『ああ、行くよ、オーヴァー』
「実は、俺達も行こうと思ってたんですが、俺達が乗ってたハンヴィーが敵の無反動砲で大破したので、lenさんの分隊で拾って欲しいのですが、大丈夫そうですか?オーヴァー」
【len】『あれ?お前ら今、ポイントB4?オーヴァー』
【俺】「そうですね、オーヴァー」
【len】『んじゃあ、近いから行くよ、オーヴァー』
【俺】「ありがとうございます。オーヴァー」
【len】『お前、車両が無いから、俺のトコに通信しただろ?オーヴァー』
【俺】「それもありますね、後は単純に近くにいたので、オーヴァー』
【len】『はぁ〜......分かった、今行くからな、ただし貸し1つだからな?オーヴァー』
【俺】「ええ、構いませんよオーヴァー」
そんな感じで、lenさんの分隊と無事に合流する事が出来たが、まさか俺の予想をいい意味で裏切る物に乗ってくるとは.........
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
P.M.3時27分 《砂漠地帯 ポイントC2 市街地》
現在KENJIさんの分隊は、市街地中央の民家に立てこもり、敵の銃撃が止まない中、対抗していた。
【KENJI】「クソッ!敵の数が多すぎるし、こっちの弾薬が足りねぇ!」
【175】「ぐぁっ!やべぇ、ダウン入った!メディーク!」
【フェイ】「今行きます!イナゴさん、少し動かしますよ」
そう言ってフェイさんは、175さんを引きずって遮蔽物が多く、窓が無いリビングに行って、メニュースクリーンからアイテムを選択して、その中からメディカルキットを出し、175さんを回復させる。
【175】「悪りぃ......助かった」
【フェイ】「いえいえ」
175さんが回復し、持ち場に戻ろうとした、その時
【マーレン】「RPG!」
民家の南側の窓で射撃してたマーレンさんの警告を聞き、皆が一斉にその場に伏せた。
次の瞬間には、ドォーン!と音をたて、民家の南側に大穴が開いたが、その場に居たAー3分隊の人たちは、皆んな無事だった。
【マーレン】「ちくしょう!やりあがったな!!」
マーレンさんは、大穴が開いた壁に身を隠しながら、さっきのRPG-7を持った敵に、手榴弾を投げた。
手榴弾は、RPG持ちの敵の足元に転がり、ドォーン!と爆発してRPG持ちの敵を含め3人倒した。
【マーレン】「よっしゃあ!殺ってやったぞ!」
【KENJI】「ナイス!」
RPG持ちの敵を倒した事に皆が喜んでると、今まで黙ってたファントさんが青い顔をして、皆んなに言った。
【ファント】「隊長!北側より滑空砲搭載型装甲車と重武装ヘリコプターが来ます!」
その言葉を聞いて皆が顔面蒼白に、なった。
そして、滑空砲搭載型装甲車(BMP-1)が此方に滑空砲を向けて、発射した。
(終わりだ......)誰もが思った。しかしBMP-1が発射した砲弾は、KENJIさん達のいる建物で無く、市街地で最も敵が密集してる所に着弾した。
それを合図かの如く重武装ヘリコプター(m-i24 ハインド)もKENJIさん達の所で無く、敵が多い所に機関銃やロケット弾を打ち込んでいった。
未だ状況が分からないKENJIさんに俺から通信をいれる。
【シャロン】『Aー5、シャロンより、Aー3分隊へ!今ポイントC2にAー8と共に到着しました!そのBMP-1とハインドは、俺達が乗ってます!状況は、多目的浮遊球を使って分かりましたので援護します!』
《多目的浮遊球》〔TROOPER's〕のプレイヤーの初期装備の1つで、野球ボールくらいの大きさをしており、浮遊して撮影や録音 などをする。その他に様々な用途に合った能力を付ける事が可能
【シャロン】『通信終了!』
一方的な俺からの通信終了の後に、BMP-1とハインドから2人ずつ出て来て、戦闘を開始した。
それからは、一方的な攻撃が開始された。BMP-1(乗員3名)に搭載された73ミリ低圧滑空砲やmi-24ハインド(乗員3名)の57ミリロケット弾とAー5、Aー8分隊の歩兵4人とKENJIさんのAー3分隊5人の合計15人により80人強いた敵は、全滅した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
P.M.4時12分 《砂漠地帯 ポイントC2 市街地》
【KENJI】「助かったよ、ありがとう」
【俺】「いえ、大丈夫ですよ」
【len】「おい、こんなに早く勝てたのは、俺たちのおかげだぞ!」
【俺】「そうですね、ありがとうございます。この借りはいつか」
【len】「当然だ、因みにKENJI、お前もな!」
【KENJI】「ああ、そうだな、俺も借りが出来たからな」
そんな会話をしてると突然、兵士達に、〔TROOPER's〕の登場人物のHoward大佐から通信が入ってきた。
【Howard大佐】『作戦成功だ!皆ご苦労だった、帰還してくれ!』
どうやら、ミッションをクリアしたみたいで、俺の視界投影機にも『MISSION CLEAR』と出ている。
皆んな喜びハイタッチをしたり、お互いの功績を讃えている。そして、それが終われば皆、次々に「おつかれー」や「乙〜」と言って、ログアウトして行った。残ってるのは、俺やファム、他のプレイヤー達ぐらいだが、面識が無い。
【ファム】「終わりましたね〜」
【シャロン】「ああ」
【ファム】「これで、国に帰れますね」
【俺】「映画かよ」
【ファム】「ふふっ、それにしてもハンヴィーが大破した時は、終わったなぁ〜って思いましたよ」
【俺】「まぁlenさんの部隊の、お陰でBMP-1が手に入ったし、KENJIさんの援護に行けたし良かったと思うよ」
【ファム】「ですね」
俺とファムが話をしていると、メニュースクリーンのメッセージ欄に1通のメッセージが入る。だが、そのメッセージの送信元には、何も書いてなかった。
【俺】「ん?」
【ファム】「先輩にもメッセージが来ましたか?」
【俺】「ああ」
【ファム】「ひょっとして送信元には、何も書いて無いですか?」
【俺】「ああ.....お前もか?」
俺が聞くとファムは、「はい」と答えた。普通ならメッセージには、送信元が書いてあるはずだ、プレイヤーネームだったり、運営だったりとな、俺達は、取り敢えず謎のメッセージをクリックする。そしたら視界が真っ暗になった。ゲームをプレイしてる時の画面でなく、“俺の視界が”真っ暗になったのだ。