5日目「和室」
昨日の片付け。
検索したところフードバンクは自宅から車で10分くらいの所にも事務所があり、食料を持って行くとあっさり引き取ってもらえた。
ブックオフにも行き、本とCDを売ってきた。
家から物がどんどん減って行き、体も軽くなったような気がする。
SNSに載せるのも、最初は恥ずかしかったものの、他の隊員たちが潔く汚部屋を晒してしるのを見て、爽子もだんだん開き直って来た。
そして今日は片付け隊入隊から初めての週末。
莉音の服やおもちゃを置いている和室を、莉音と一緒に片付ける予定になっている。
グループメールをチェックすると、物がとにかく多かった人がすごい勢いで物を減らしていた。
毎日、80キロとか100キロとか。
クリーンセンターに直接搬入しているらしい。
爽子も自分の住む自治体のクリーンセンターの場所と搬入方法を調べてメモしておいた。
来週くらいに行くことになるかも。
和室のカーテンを洗う。
布団をベランダに干す。
莉音に、「要らないものはここに入れてね」、と言ってゴミ袋を何枚か渡す。
床の間が莉音スペースになっていて、教科書や絵本やおもちゃを置いている。
その間に爽子は押入れの中を片付け。
大量にある莉音の服を仕分けして行く。
会社の先輩や友人からお下がりをたくさんいただいたが、紙袋1つの中で来た服はせいぜい1着か2着。
残りは紙袋のまま押入れに突っ込んである。
そんな紙袋が9袋!
それらは中身を確認せずにリビングの方に並べておく。
押入れの中の収納ケースを出し、まだ着られる服と小さくなった服を仕分け。
山のように積まれた小さくなった服を、一軍と二軍に仕分け。
一軍はお下がりに回してもいいが、とりあえずもう少し取っておこうと思っている。
二軍の服は、お下がりの服と一緒に後で古着やさんに持って行く予定。
綿の肌着はまた別に仕分け。
小さめに切って掃除に使う。
大量の布おむつ、ベビー布団、保育園のお昼寝布団、おくるみ…たちは捨てられない。
まだその時ではない、という気がする。
出産の予定は全く無いが…。
同じ理由で、赤ちゃん用のメリーやガラガラも、特にきれいなものだけケースに入れて取っておいてある。
…他に行こう。
古くなった敷物、シーツ、毛布、枕カバー、クッション、抱き枕。
よくこの狭い押入れに入っていたな、と感心するくらい出てくる。
どうして今まで捨てなかったかと言うと、シーツは洗い替え用にとか思っていたけれど、晴れた日に洗うのでたいていその日のうちに乾いてしまう。
つまりは、捨て方がイマイチ分かっていなかった、というのが本音。
綿が入っていない布類はきちんと畳んで縛って古布の回収日に。
クッションとかは小さく潰して袋に入れて可燃ゴミに。
今日は可燃の日なので、急いで収集所に持って行くと、回収前に間に合った。
収集所に一度に持って行くゴミは3袋くらいが常識的、と知恵袋で読んだので、もっと出したいところをぐっと我慢して残りの袋はまた夫の部屋に置かせてもらう。
昨日から近所の人の目が気になって仕方ない。
突っ込まれそうなことはしない方が無難。
莉音に「調子どう?」と聞くと、
「え?」と言って何も捨てていなかった。
読んでいた本からちょっと顔を上げて、「いらないもの、無い」
と言う。
ぬいぐるみもりかちゃんもまだよく遊んでいるし、場所が狭いからぎゅうぎゅうでもまだ仕方ないかな?
早く西側の爽子の部屋を片付けて莉音の部屋を作ってあげたい。
机も買ってあげたい。
物置のようになっている自分の部屋のことを考えると、急に憂鬱になる。
何日かかるんだろう。
いや、何日かかってもやらねば!
1人では難しかったけど、片付け隊にいるうちに何とかしたい。
爽子は思い切って、自分の部屋の写真を撮ってグループメールにUPした。
「今まできれいな部屋だけ写真を載せていましたが、私の正体はこれです。
汚部屋です。
どこに何があるか、もう私にも分かりません。
1番奥にソファがありますが、物に埋もれて見えなくなっています。
窓も開けに行けないし、実はカーテンももう何年も開けてません。
こんな自分が本当に嫌です。
絶対に変わりたいと思います。
明日からこの部屋を片付けます。」
送信したら恥ずかしくてすごく後悔した。
グループメールに隊員たちから次々とコメントが入る。
「爽子さんすごい!男らしい!」
「勇気に感謝します。うちにも汚部屋あります!一緒に頑張りましょう!」
唯子からもすぐにコメントが入った。
「やっぱり汚部屋ありましたね!最初はみんなきれいな所しか見せられない人が多いです。
でも、散らかった部屋を潔く晒せた人の方が変化も早いですよ!
現実を直視しましょう!
機能しない部屋があるということは、自分も循環していない、よどんだところがあるということなんです。
もっと自分を大切にしましょう。
自分にもっと快適な生活させてあげましょう!
爽子さんは必ず変われますよ。
応援しています!」
何だか泣けてきた。
もう後には引けない。
頑張って片付けよう。
お昼は莉音と2人でココスに行った。
ドラえもんのぬりえをして、ドリンクバーをお代わりして、莉音はすごく嬉しそうだった。
そういえば笑顔を見るのは久しぶりな気がする。
小学校、やっぱり環境が変わって大変なんだろうな。
せっかく家にいるんだから、これからはもっと莉音の話を聞いてあげよう。