NEKO猫☆MAGIC
BLタグも含めましたが、恋愛関係はありません。
発展途上な関係……という事で。
担任から絶望的な現実を突き付けられ、彼女にはフラれ、人生お先真っ暗………僕… も~人間やめたい………
「哀れな人間よ…その願い儂が叶えてやろう」
寒っ冷たっ!何これ…何でびしょ濡れ?
それに、やけに視線低いし………
!!毛むくじゃらの足に……肉球?
何じゃこりゃー!?
「気に入ったかのぅ?」
「ニャ!? ニャーニャンニャニャニャ! ニャニャーニャニャンニャニャニャ?(あ゛!? じーさん誰だ!てゆーか何だこれ?)」
「じーさんではない、ありがた~い神様じゃ!ヌシが人間をやめたいと言ったのじゃろう?」
言った………確かに言った。
だからって何で猫になってんの?
「儂は猫好きじゃ」
「ニャニャニャンニャ!(ふざけんな!)」
「めんどくさいのぅ……ほれ」
「にゃにしてくれてんだー!」
あ…人語話せるようになった。
「受験生なのに、どーすんだよこれ!」
「すまんが儂は学問の神ではない」
「そういう事言ってんじゃなくて……猫にされたら学校行けないし、受験勉強も何も出来ないだろって!」
「我儘な奴じゃのぅ……仕方無い、とっておきを使ってやろうかの。ヌシの魂を人間と猫 2つに分けるのじゃ」
「はい~? そんな事して平気ナンデスカ!」
「ありがた~い神である儂に出来ぬ事は無い。じゃが、ちと荒業でのぅ…下手をすれば、ヌシは死んでしまうかも知れぬぞよ」
ぞよ。じゃねー!
「責任取って元に戻せ!」
「今は無理じゃ」
「何だと、このインチキ神様!」
「無礼な小僧よのぅ、一生猫にしておいても良いのじゃぞ」
「そ、それだけはご勘弁を……」
「ならば暫し待つがよい。そうじゃ、もうじき優しい飼い主が拾ってくれるから安心せい」
クシュン!
寒いです……腹ペコです……
ちょっとー!誰も通らないんだけど…インチキじじいに騙されたっぽい?
「誰がインチキ爺じゃ。もう来るわい、待っておれ」
神様を名乗る怪しい老人の言葉通り、傘をさした人影が近付いて来た。
頼むから早く拾って!と願いを込めてニャ~ニャ~鳴きまくる。
「うわーお前ずぶ濡れじゃん、捨て猫か? 可哀想だから、家に連れてってやるよ」
ありがとうございますぅ!このご恩は一生忘れません。
こうして優しいお兄さんに拾われた僕は、あったか~いお風呂に入れて貰い、間に合わせだと言う猫まんまにありついた。
僕に『ハク』と言う名前までつけてくれて……どうやら路頭に迷う事態は避けられそう。
でも このお兄さん、予備校で見かけた事あるぞ。
噂じゃT医科大に2度落ちてるって話。
あの時間に帰宅って事は、バイトでもしてんのか? 浪人生が何やってんだよ………このままじゃ あんた、確実に三浪しますよ。
それにこの……汚部屋……これじゃ勉強に集中出来る訳無ーい!
何か恩返しする方法は無いかと考え、拾われた翌日インチキ神様を呼び出した。
「ね~聞いてんでしょ神様?一時的にでも人間になれないの~?」
「ハイリスク・ハイリターンでも良いかの?」
「じじいが横文字使うなよ……もー何でもいいからお願いします!」
「ふむ、承知した。では半日猫、半日人間にしてやるぞよ。よいか、変化したい時は、変身…トオッ!と言うのじゃぞ」
「………ふざけてんのか?じじい」
「ふぉっふぉっふぉっ……」
でもこれで恩返し出来ますよ~♪
人間に変化した僕は、早速 汚部屋の片付けに取り掛かった。ちなみに変化するのに掛け声は不要だと判明。あのじじい……今に見てろ!
その後、数時間かけて汚部屋をピッカピカに磨き上げてやった。
共働きの両親に代わり、家事全般こなしてた僕には楽勝!………とは言えないレベルの荒み方だったけどね。
疲れて休憩してる所に、お兄さん帰宅。
僕を見たらびっくりすんだろな………………どころの騒ぎじゃ無かった!
僕を空き巣か強盗と勘違いしたお兄さんはパニック状態。
落ち着いて欲しくて、ハクだと言っても一向に信じやしない。
しょーがないので、目の前で何回か変化してやると、やっと僕の言葉を信じた。
それにしても何?この派手な頭………
ご主人・侑李さんは真面目な人。
親の負担を減らす為にバイトをし、寝る間も惜しんで勉強していた。
だから僕は、侑李さんの負担を減らす為に家事をする。
本当に高校生の僕が存在してるのか、ちゃんとやってるのか心配ではあるけど、僕は僕で猫と人、行ったり来たりの生活を楽しんでいた。
けどね、ハイリスクハイリターンの影響か最近しんどくて、変化出来る時間も日一日と減ってるし、そろそろヤバそう。
「おーい神様、僕どうなるの?」
「そうじゃな……本来ただの人間じゃから、猫のヌシは消える」
「やっぱ、そういうオチ?あ~あ、ご主人との生活楽しかったな~」
「そう ぼやくな。ただの人間に戻っても、逢えるように力を貸してやるわい」
「サンキュー神様」
そして……その時はやって来た………
最期のお別れを言う為に変化するが、形態を保てなくなった体は、輪郭がぼやけ次第に薄れて行く。
「もうお別れです…ご主人」
侑李さんは泣いていた。
僕だって…さよならなんかしたくない……ずっと一緒に居たいと思うけれど、それは出来ないんだ……
ごめんね……僕は人間に戻ります…
「大丈夫……また…逢えますよ……ゆう…り…さ」
インチキ神様の呪い……もとい、迷惑なお節介から解放された僕は、元の高校生に戻り受験勉強に没頭した。
それも単に侑李さんの志望校・T医科大に合格する為。
4月、T医科大のキャンバスに立った僕は彼を探す。
自分が合格するので精一杯の僕は忘れていたけど、侑李さんが合格していなければ無意味だ………
でも……………神様ありがとう!
「言ったでしょ? また逢えるって」
お読み頂き、ありがとうございました。
よろしければ、ご意見・ご感想などお聞かせ下さい。
評価も受け付けておりますので、併せてお願い致します。