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転変地異と異世界転生  作者: 檪井青
9/12

生後1年がたちました(カエル君編)

 今日で、この世界に誕生してから、一年になる。


 かえるの時と違ってなんて長いんやぁ~!!


 半年ぐらいして、ようやくハイハイ出来るようになった時は心底喜んだ!


 これで鬱陶しいメイドどもから逃げられるっちゅうもんや。うん?今、不穏な気配がしたが・・・、気のせーかい?


 これもすべては、彼女に会うためなんやー!! ふぁいと!!


 そして、物凄く上がっていくスキル。それは当然、隠匿スキル。逃げて隠れて捕まって。毎日が鬼ごっこだ!!


 当然、ハイハイの達人になったぞー。


 実は、元がカエルだから、人間は二本足で歩くというのを失念していた。


 最近になって、隠れている時に「ハイハイが上手すぎてなかなか歩こうとしませんね・・・?」ということをメイドたちが話しているのを聞いてきづいてしまったんやぁー。


 ショック。 多分、二本足の方がはやいんだよな・・・? 遠くを見てしまう。


 ところで、捕まるとどうなるかって?

 

 当然、もみくちゃにされて引っ張っての取り合い、手がちぎれるっちゅうねん。


 わいは赤ちゃんなんやで、王子さまなんやで、次の王様なんやで、壊れ物のようにそっと優しく触ってくれんか!!


 もうお腹一杯なのに、みんなそれぞれが飲まそうとするのはやめてくれ!!


 おしめを替えてくれるのはいいんやが、5分おきとかなんやいな・・・。


 もう、わい、涙でるわぁ・・・・・・。


 そんな毎日でした。


 えっ? 転生サービス局の天使様に相談? もちろんしましたとも。でも、わいの担当のリドワン(もう様なんてつけるもんか)に助けて欲しいとたのんだら、間髪入れずに《無理です》とかえってきた。なんでも、世界の外からのサポートしかできないらしい。頼りになんないよなぁ~。

 なんか間接的にも助ける方法とか、少しぐらい考えてみてくれてもいいんとちゃうん? そんな時のチートな魔法とか教えてくれてもいいんじゃないの?


 そして、今日はわいの誕生日。さすがに一日中隠れているわけにもいかない。なんでも、国中でお祝いの祭りと、なにやら儀式的なものがあるそうだ。


 覚悟を決めて、メイドに着替えさせられ、これまた立派な椅子に座らせられた。


 ううん? なんか何時もと違うぞ? 今日は周りにメイドがいない! よくわからないが、なんて幸せな時なんだろう。生まれ変わってから、今が一番幸福な気がする。


 この後、久しぶりに見た母(王妃様)に抱かれて、教会(この世界の神は、ノルニル様といい、運命をつかさどっている)に連れて行かれた。これからすることは、一応、転生サポート局のリドワンに聞いている。


 なんでも、万能教科書にもなる絵本を貰って、魔法の杖を貰って、最後に魔法属性を調べる銀のプレートに右手をのせて儀式とやらは終わるらしい。わいは、全ての属性があるが大丈夫か心配になったので、先日、リドワンに尋ねてみた。

 その答えは、《問題ないです。魔法属性が全く無いというのは、大変なことですが、全部の属性がある分にはとても喜ばれますよ》だったが、なんか引っかかるんやな・・・? わいの本能が警告しているような・・・。でも、今更属性を替えることは出来へんみたいやしーしょうがないやろ?

 

 そうこうするうちに、儀式をする部屋に着いたようだ。


 うわー。なんて厳粛な気分になる部屋に祭壇だろう。きょろきょろしたくなるが、そこは我慢や。これから儀式が始まるんや。


 わいは、祭壇の前に置かれた、煌びやかではないが豪華で大きい椅子に座らされた。そして、祭祀さまがわいの目の前に立って、厳かに儀式が始まった。祭祀様のお召し物は、青を基調としたシンプルなデザインだが、この部屋にはよく合っている。


 『過去を司るウルズ様・現在を司るヴェルザンディ様・未来を司るスクルド様、そして、母なるノルニル様に愛されて、この世界はあり続ける。忘れることなかれ。魔法は彼女らの愛。愛を無くす行為をすれば、たちまちその者は魔法を失うだろう。さあ、受け取りなさい。世界の真実を学ぶための本を・・・』


 そこで、王様がわいに絵本を手渡した。それは、代々跡継ぎが受け継ぐ絵本らしい。なんでも、ある王子様がこの世界中を旅しながら学んで立派な王様になる、そんなお話らしい。


 『そして、魔法を使うための杖を・・・』


 今度は王妃様がゆっくりと近づいてきてわいの左手に杖を握らせた。これは、わいように、特注で作らせたものだ。


 『最後に、女神様の愛を、この銀のプレートに右手をのせて知らしめん』


 そういって、祭祀様がわいの右手をそっと掴み、銀のプレートにのせた。現れるのは当然、全能属性。さあ、反応はどうですかいな?


 結果は、祭祀様が固まった。何時まで経っても反応なし。


 「どうした!?祭祀よ!はやく属性を教えないか!!」

 

 しびれを切らした王様が、ちょっと怒り気味。王妃様は、おろおろ。ついでにわいは、真っ青、冷や汗付きだ。


 あのリドワン、わいに嘘ついたな!! 何が大丈夫や!


 《いえいえ。本当に全く属性がなくて魔法が使えない方が困ったことになりますよ》


 どういうことや!!!


 《さっき言っていたでしょう? 女神様たちの愛を失う行為をすれば、魔法は使えなくなる。つまり、犯罪者の烙印を押されることと同じです。下手したら殺されて、それで終わりです》  

  

 げっ!! それは、いやじゃ~!!


 「王様、申し訳ありません。あまりの素晴らしさに、時が止まってしまっておりました」


 「どういうことだ!?」


 「はい。ダニエル王子は、全能属性でした」


 ・・・  ・・・  ・・・


 みんなの、無言が非常に辛いです。


 「なんと、女神様にまで、溺愛さているのか!? すばらしい!!我が国のこれからは、安泰だ!」

 

 そう言って、王様はわいを抱き上げると、教会の外へと足早に向かう。


 教会の外には、何時の間に集まったのか、民衆に溢れていた。


 「みなのもの! ダニエルの属性は、全能属性だった!! きっとこの国を良き方向に導いていくだろう」


 わーーーー!! すごいですう!!


 民衆の声に、喜びが伝わってくる。さっきは、焦ってリドワンを怒ってしまったけど、これで善かったんだな。


 兎に角、こうして怒涛の一日が終了や!


 

 

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