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転変地異と異世界転生  作者: 檪井青
8/12

生後一年がたちました(水奈編)

 

 ようやく一年がたち、この世界の時間の概念や常識を順調に知ることが出来ました。


 私のいるこの地は、わりと温暖な気候で、一年通してとっても過ごしやすいことがわかりました。


 1日は、25時間の1週間が7日、それ×5が1月になり、さらに×10月+7日が1年で、全部で357日になります。そうそう時間も1日25時間といいましたが、60進法ではありません。なんと50進法です。50秒で1分で50分×25時間で1日です。地球での時間とくらべて、実はとても短いです。地球と大分違うので、暫くは惑いそうです。

 時間は、5時・10時・15時・20時に町の中央にある時計塔から鐘が鳴り響きます。


ぐおーん !! ごおーん!! です。


 その大きな鐘のちょうど真ん中で、小さな鐘が同じ時計塔から鳴ります。


 からん ころん かーん ころりん ぽろん


 だいたい、この小さな鐘が鳴るとごはんです。1日三食!

 1歳となり、私も離乳食になりました。田舎の割に豊かな土地なので、ご飯がとても美味しいです。そうそう、お米があったのです。この土地では、お米がざっくざっくと収穫できるようです。


   やりました!!


 調味料は無いようですが、似た作物はあるので、これから開発していけばいいのです。幸い前世での趣味は料理です。作り方ばっちりわかっています。


 ラッキー ちゃちゃちゃ ウー!


 言葉も片言ですが、話せるようになりました。周りがどれぐらいで話せるようになるのかわかりませんが、両親に言わせると、とっても早いそうです。


 そうそう両親の名前もわかりました。

 お父さんが、エドアル・グレリエール。

 お母さんが、エマリナ・グレリエールです。

 兄弟もいます。兄のルナンドです。たまに顔を見ます。普段は、学校の寄宿舎にいるので、休みの日しか会えません。学校は8歳からで、兄の年は、12歳だそうです。兄が学校に行くようになり、さみしくなった両親はチョメチョメして、私ができたそうです。


 はずかしい・・・。


 話は変わります。

 

 実は今日、私の1歳の誕生日です。家族がそろっておい祝いをするそうです。

 昔(前世で)夢見た、桜色のひらひらドレスでおめかしです。これで鏡があればなお良かったのですが、生憎とこの世界には鏡というものがありません。不思議ですが、他人の評価で判断するしかないのです。でも皆さんとても褒めて下さるので、鼻が高々になって折れそうです。


 食堂に入ると、机の上には、質素ながらも綺麗に花が飾られていました。お皿には、何時もより多く果物がのっています。でも、きょろきょろ見渡しても肝心なものが見当たりません・・・。

 

 がーん!! ショックです。


 そう、私が探していたのは、誕生日ケーキです。もしかして、この世界にはケーキがないのでしょうか?

 それなら、大きくなったらすることリストに追加です。


 「さあ、こっちの椅子に座りなさい」


 お父さんが、椅子を引いてくださりました。私は、ちょこちょこと歩いて「ありがとうございます、お父様」といってから座りました。すると、せっかく綺麗に整えた髪をぐしゃぐしゃにして頭を撫でられました。


 「お父様、ひどい! せっかく綺麗にしたのに・・・」


 もちろん、しっかり頬を膨らませて抗議します。それを見ていたお母さんが、しょうがない人と、くすくす笑いながらそばに寄ってきて、私の頭に右手をかざすと魔法の呪文を唱えました。するとあっという間に元通りです。


 「お母様ありがとうございます」


 私は極上の笑顔付きでいいました。そうそう、私の両親は、お父さんがちょっとワイルドでかっこよくて、髪が黒で瞳が青です。お母さんは、見た目はマリア様のように優しそうに見えますが、怒るととっても怖い報復が来ます。髪は銀色で、瞳は青です。お兄さんは、見た目がお母さん似で、性格はお父さんに似ています。


 私は、お母さんのお母さん(おばあさん)に似ているそうです。

 そして聞くところによると、髪は金色で瞳は青だそうです。


 「エティ。誕生日おめでとう」


 エティとは、私のあだ名です。

 兄からプレゼントをいただきました。紙ではなく、綺麗な模様の布にくるまれていました。出てきたのは、絵本です。物凄く高価なものです。


 内容は、お姫様がお城を抜け出して世界中を回る物語ですが、この話は、物語の中にさり気にこの世界の地理が描かれていて、お姫様が旅先で食べるのはそれぞれの名産物なのです。そして、お姫様を助けてくれる動物の名前や特徴は実際のものと同じとなっています。

 

 つまり、とーても勉強になる本なんです。


 私は女の子なので、主人公がお姫様ですが、男の子用になった、王子様バージョンなるものがあります。


 ところで、貰ったばかりで、読んでもいないのに、なんでそんなに詳しく知っているかですって?


 とある彼らが魔法の映像付きで寝物語として聞かせてくれていたからです。


 それは妖精さんや精霊さんです。時々私のところに遊びにきていました。これも、天使様によるサポートの一つのようです。でも、お兄さんにそんなことは言えません。


 「お兄様、ありがとう。大切にします」


 そして、笑って誤魔化します。

 次にお母様が私にある物を差し出しました。

 

 「私からのプレゼントはこれね」


 こ・これは! 来ました。魔法の杖です。この世界の人は、皆魔法が使えると知っていましたが、ついに私も魔法が使えるようになるようです。


 「まだ一歳になったばかりでよくわからないかもしれないが、これからは魔法を使う練習をしような」


 お父さんがそういいました。それで、絵本のことを思い出しました。


 あぁ~。 なんでこんな肝心なこと忘れていたのだろう!!


 そうです。お姫様は、世界を旅しながら魔法を学んでいくのです。最初は初級の魔法からです。つまりあの絵本は、魔法の教科書でもあったのです。

 

 なんて万能なんでしょう!! 凄すぎです。


 「あー、このプレートに右手を置いてなぁ」


 「はい」


 想像がつくのでさっさと済ませましょう。

 よくあるチート物で、ばれたらどうしようというのがありますが、私は大丈夫です。天使様のミカエル様から1番に習ったのは、隠匿のスキルの使い方です。


 魔法の属性は、器用属性にしました。つまり、すべての属性が使える代わりに、初級から中級までしか使えません。本当は、上級も特級も、神級も可能ですが、大変なことになりそうなので隠します。 

 

 これなら、イザという時に使ってばれたとしてもなんとか誤魔化せるはずです。という、ミカエル様のアドバイスに従います。 

 

 「ほう、器用属性か。珍しいな」


 えっ?  そんなことないですよね?  ミカエル様も太鼓判を押してくれましたよ。

 

 「そうね。でも、この国の中でも、5人いますし、世界中なら23人いますよ」


 お母さんの言葉にほっとしました。


 「さあさあ、お腹がすいたでしょうから、せっかくのご馳走が完全に冷めてしまう前にいただきましょう」


 取りあえず、1回目の一大イベントは、終了しました。


 とても疲れたのでさっさと寝ましょう。

 

 

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