生まれました(カエル君編)
かなり、少なめです。
カエルがかえるんや!!
さあ、転生だ。
痛いのも苦しいのも、生きている証。
嬉しいやないか!!
がんばれ、われ! もう少しで誕生だ!!
お・ん おぎゃー!!
こうしてわいは、転生への第一歩を踏み出した。
「王妃様、おめでとうございます。立派な男の子ですよ」
疲れ顔で、上気した麗しい王妃様が、嬉しそうに我が子を受け取ると、そっと頭を撫でて、胸に抱き寄せた。そのベッドの横には、誇らしげに見守る王様がいた。
「そろそろよろしいでしょうか?」
その言葉に、王妃様はそっと王様に生まれたばかりの我が子を委ねた。
壊れ物のようにぎくしゃくと受け取った王様は、涙を零し喜んだ。そして、感動が落ち着くと、バルコニーに連れ出し、その胸にしっかりと抱えたまま宣言をした。
「今!! 跡継ぎであるダニエルが誕生した。この良き日を皆も共に祝ってくれ!!!」
わぁwwwwww!! 『おめでとうございます!』 『ダニエル王子ばんざーい!!』 『祝え!!乾杯だ!!』 『祝福の歌を!』
城下では、ダニエル王子の誕生を祝うお祭りがもようされた。
それは、1月に渡る長いものとなり、いつも以上に活気にあふれた。
うーん。人間というものは不便だ。なんでこないに世話をしてもらわにゃならんのや。カエルには、こんなんなかったぞ!!
いらいら 落ち着かない。
転生したら、彼女にすぐあえるとばかり思っていたんや。カエルことダニエルの気は滅入るばかりだった。
そんな彼を、さらに不快にするものが、沢山のメイドだった。
誰もかしもが世話をしたがって、いさかいになっていた。
『ほんま、勘弁してやぁ~』
このセリフを心の中でどんだけつぶやいたことだろう。
『これが、彼女だったら嬉しいんやがなぁ~』
赤ちゃんなのに、笑ったり泣いたりするより、溜息の数の方が多いなんて、だめじゃん・・・
早くも心が折れそう・・・
《そんなあなたに、よいお知らせです。私は転生サポート局のリドワンといいます。よろしくお願いします》
うるる る こちらこそ、お願いやな。助かりまっせぇ~。
《何か知りたいことは、ありますか?》
彼女には、何時会えるんや?
《時が満ち、恋のシーズンが訪れるころに、めぐり会うことが出来るでしょう》
それって、どんぐらいや?
《ざっと、12年ぐらいです》
そっか、長いなー。
《長いととるか、短いととるかは、人それぞれでしょう。出会った時に、あまりに甲斐性がないと、恋人になってくれないかもしれませんよ》
むっ!! それは大変だ!! どうすれば気に入ってもらえるんや? 恋人になってもらうんには、どうすればよいんやぁ?
《基本、金銭に地位そして容姿・知性・体力(イザという時守ってもらえるか?)ですか? 取りあえず、金銭と地位は、王子様ですのでクリアです。容姿の方も、しっかりチートがついているので、メイドたちを見ても分かるようにめろめろでしょう。後は、知性と体力です。会う時までにしっかり勉強に励み、魔法に剣術・体術を身に着けることができれば、振られることはないかと思います》
わかった! 会える12年後までに頑張るぜ!!
こうして、生後1月にもならないのに、サポート天使のリドワンの元、ダニエルの修行がはじまった。
『本当は、全能チートだから、修行はあまりひつようないのですが、それでは私が退屈です。恋には、障害がつきものですよ』なんて、リドワンのつぶやきは、ダニエルには聞こえていない。それどころか、サポート天使に物凄く感謝をしていた。
元カエルだけに騙されやすい、ダニエル・ハリケーン・エランであった。