世界設定
◆世界設定
世界は大まかに分けると五つの階層に分けられ、それぞれがバームクーヘン(もしくはパイ生地でも可)の薄い層のように折り重なって成り立っている。
この世界で最上クラスの高位生命体が住む『神界』。仏教用語では天竺とも謂われる神域。
徳を積むと人間でも行く事が出来るという『天界』。天国とも言われる聖なる領域。
生きとし生けるモノが雑多に住まう五つの世界の交わる場、『此岸』。現世。
人ならざる者のなかでも、天にも昇れず、彷徨う者が住むとされている場所、『彼岸』。妖羅界。
そして、亡者と冥界の王と役人たちが住まうあの世。『冥界』、『地獄』。
図にすると下のようなモノ。
上方世界
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神界、高天原、天竺
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天界、聖域←修行を積めば、人でも上がれる。
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現世、此岸←混沌の交流場
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妖羅界、彼岸←妖怪の世界
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冥界、地獄←あの世
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下方世界
世界階層 在来種(主な住人)
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高天原、天竺、神域 : 神、仏、高位仙
聖域、天国、霊界(エーテル界) : 修行者、中位仙、神獣、聖獣、天狗、他上位種
此岸、現世 : 人、隠叉、現世のモノたち
彼岸、妖羅界 : 悪鬼羅刹、狐狸妖怪、異形の者
地獄、冥界 : 八大大魔王、冥府の役人たち、亡者、他
どの階層からでも、此岸は比較的気軽に行ける。お役所仕事みたいに区分は決まっている。
「行きはよいよい、帰りはこわい」の歌通り、帰りが面倒臭い。
◇各世界の行き来
高天原から聖域へは許可なしでOK !
(神様は自由気ままで自分勝手なものと、古来より言い伝えられておりますので)
此岸から下界に降りていくには、検問みたいなものや、ちょっとした儀式がある。
(人間が不用意に下界に入り込んで、妖怪や亡者たちの被害に遭わないため)
彼岸から地獄へは、門番が護る地獄の淵(黒穴)を下りていけば、一直線。
(堕ちるのは簡単ですから)
地獄から這い上がるには許可が必要。お役所仕事。
(古くは冥官・小野篁の話や地獄草子の通り。そして上方世界に要らぬ迷惑を懸けぬため)
彼岸から此岸には散歩気分で行き来可。
(よく人間も妖怪も互いの世界に迷い込んで逸話を残すしていく)
此岸から聖域へは、神隠し。鳥居を抜けると的なお清め必須。
(この世の穢れを落して昇るのです。所為、厄落とし)
高天原や神域の入口では、神々の門番が待っている。お役所仕事。
(出入りする者のチェックですね。特権階級の集合住宅に無断で入っちゃダメなのです。不審者チェーック! 危険物は所持していませんか?いませんね。入っていいよ!的な)
◇警備体制
此岸(現世)の人間たち以外では、神界から命を受けた『天狗』が人ならざる者を、警察組織ヨロシク、取り締まっている。
『天狗』は“天の走狗”、“天の御使い”ともいわれ、数が多い。質もピンからキリ。
なにかと待遇が良い日ノ本を中心に活躍している。
地獄だけは冥府の王と冥府の官吏(冥官)たちの領分。
死者は先ず冥府に逝き、地獄で裁かれるのを待つ。その間に地獄から逃げ出す者も出るので、冥府の役人たちは御裁きに加え、大忙しの日々を送っている。
◇隠叉
五つの世界、すべての理を外れた者。逸脱した者。人ならざるヒト。
「“人に隠れる夜叉”と書いて隠叉と呼ぶ」と古来より伝わる特異な力を持つ人種。
彼らの特徴は皆、「元は人間である」ということ。
彼らは「人の身で、人間ならざる者たちと契約を為し、その力を身に宿すことに成功した」者たちである。
隠叉は、契約した神魔の力をその身に宿し、その力を行使して、時たま歴史の狭間に現れる。
例えば、
―――或る者は鴉天狗と契約して、足の速さと飛ぶ力を獲得し、情報伝達に尽力した。
―――或る者は、神代の高位神と契約し、朝敵を討ち払い、国を掌握してよく治めた。
―――或る者は、第六の天魔と噂される魔王と契約して、日ノ本統一を目指して尽力した。
―――或る者は、悪知恵の働くと巧妙にして巧妙な古狸と契約して、天下を奪い取り、つかの間の平和を長引かせた。
―――或る者は、己の願いと虐げられてきた報復の為、己諸共、隠叉となる覚悟を決め、気まぐれに歴史を変えることに尽力してきた。
下に恐ろしきは人の欲望。望みなり。
◇隠叉に至る道
隠叉となる人間には、強い望みを持つ者が多い。
その理由に応えて、人外たちは隠叉と契約を結ぶかどうかを決めることが多いからだ。
隠叉となった人間は『宿主』と呼ばれ、契約した人外とある種の共生関係を結ぶことになる。
『宿主』を決めるのは、“力を貸す”『人ならざる者』の方であり、それは絶対の理。
人がどう足掻こうとも、神代以前からの『世界の理』である。
『宿主』は行使した『能力』の代わりに契約した人外に『対価』を渡す。
そうして、この『隠叉』という制度は宿主と人外、相互の協力の上に成り立っているのだ。
隠叉に至る道、契約には4つのタイプがある。
能力が一番弱い『加護レベル』の契約。
身体能力の強化や、普通の人より体が丈夫になり、病気になりにくくなる。
また、契約を結んだ人外によっては、その人外に由来した特異な力を少々行使できるようになる。
ただし、あくまで“加護”なので、期待はできない。
代償がない代わりに、知らぬ間に契約を結んで、知らぬ間に契約が解除されていることもよくある。
その次が『流派・団体レベル』での契約。
これはある流派や団体の当主が代表して契約を結び、下の者に加護を与えるというモノ。
代々、契約・派遣社員の如く、長期的に契約を結ぶ代わりに、代償がほとんどない。
ただし、力は村ひとつ護れる程度の弱い力。
隠叉の世界では比較的一般的な契約方法であるゆえ、特別な呼称法は決まっていない。
『加護レベル』が一人の人間がシャベルなどの道具を使って行使できる程度の力だとしたら、流派・団体レベルは人間が車や機械を使用したり、なにか武道などの一般にはない特殊技能を習得して、その力を行使する程度の力。
まだまだここまでは、人の域を出ない力である。
さて、お次は戦国大名や古い家に多い『血筋契約』。
妖怪の血筋だの、神様の血筋だの、聖人の血筋などと過去の実家の所業に、人外と交わった者が多いのが特徴である。
また、人外自身に血筋ごと執着されているとか、隠叉に良くも悪くも愛された血の者達。
血縁内で代々、契約した隠叉が自動的に受け継がれていくのが特徴である。
契約が解消されるのは、血筋がお家の血筋が途絶えた時。または宿主と人外、両方の合意があった時のみ。
強力な契約法ゆえ、力を求める者達は、比較的代償少なくて済む、人に扱える力の中で最上のこの契約法を好んだ。
ただし、能力の対価として、契約を結んだ人外が命じる代償は別である。
この契約法は、高貴かつ力の強い隠叉が多い分、代償もまた高くつく。
血筋契約の上にまだ、禁断の最上位の契約方がある。
最も強く、契約した隠叉の力も思い通りに行使できる『魂レベルの契約』だ。
契約した人外の能力によるが、望めば天災レベルの天変地異も思いのままだ。
他にも様々な特典がある。隠叉の中でも最も上位の契約法だ。
ただし、魂レベルで契約を結んでいるので、契約解除は不可である。
『魂レベル』での契約は、隠叉との半ば融合だ。
あらゆる理を外れる代わりに代償は高く、また悲しみも付きまとう。
戦国時代、捨て駒とされた者達や、決死の覚悟を決めた者達に多い契約法であった。
契約失敗代償は、自我の消失。肉体崩壊。精神崩壊。存在ごとの消滅。
などなど、とにかく失敗した時の代償が大きいからだ。
ゆえに、禁断の契約法。覚悟を問われる最上位の契約法なのである。
◇人外が転じた存在、妖魔
四十九院家が封魔を武器にしてきたと、四十九院22代目当主有間が申していたが、祓い封じる対象はなにか、と申しますと『妖魔』という存在だ。
妖魔は妖怪に“魔が差して”人間に危害を為す存在となってしまった者達の事である。
妖魔と化した者は、自我を失くし、本能のままに暴虐の限りを尽くす。
これを捕え、封じれば、『隠叉』の基となることもあるし、祓えば天変地異を征伐したと上から報奨金を貰えることもあった。
ここで注意したいのが人外は、七つを越えない子どもか、ある特別な眼『見鬼』を持つ者にしか見えないこと。
されど、被害は確実に見えない者にも降りかかってくるということだ。
関ヶ原の合戦では、多くの血の穢れで妖魔が呼び寄せられ、慌てて討伐したという逸話が残っているくらいである。妖魔を放って置くと人死にが出るのだ。
ゆえに魔を祓うものが必要であり、陰陽師や神社仏閣、四十九院家のような封魔を生業とする家々が歴史の裏側で隆盛していったのである。
とりあえず今回はここまで。
ちなみにですが、『隠叉』の字ですけれど、
「隠」=隠れる、オンの読みは有ります。
「叉」=また、シャの読みはあって、「に」の読みは有りません。
当方の造語ですので、あしからず。
「ヒトのなかに隠れる夜叉と書いて、オニと読む」
夜叉=《(梵)yakṣaの音写》顔かたちが恐ろしく、性質が猛悪なインドの鬼神。仏教に取り入れられて仏法を守護する鬼神となり、毘沙門天の眷族とされる。八部衆の一。by国語辞典。 つまり、鬼。
ついでです。
羅刹=《(梵)rākṣasaの音写。速疾鬼・可畏と訳す》大力で足が速く、人を食うといわれる悪鬼。のちに仏教に入り、守護神とされた。
阿修羅=《(梵)asuraの音写。非天などと訳す》
インド神話で、不思議な力を備えていた神々の称。のちに、悪神とされて、常にインドラ神と争う悪魔・鬼神とされた。仏教では、仏法を守護する天竜八部衆の一。修羅。