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ニートの俺がニートを救えるはずがない  作者: あくちゃん
新規者を引退に持ち込めないはずはない
17/19

古より伝わるなんかすごい攻撃呪文

「ひえええぇぇ怖いですぅ」


少女が大量のモンスターに気づくや否や、その場で丸くなり手を頭につけて

震えている。そうするなら逃げたほうがいいと思うのだが、少女にはその

余裕すら無いらしい。まぁ当然の反応といえばそうだろうが、たかっちは

困ったように少女の近くにいて剣を握って警戒している。


「まぁもうやるしか無いんだよ。あのモンスターを放置するわけにもいかんだろ」


「そのようですね。仕方がありません」


仕方が無いといいつつ、自慢の杖で地面に魔法陣をささっと描き出した。

ゲームをしていた時も思っていたが、この手際の良さは実際目の辺りにしても

相変わらずの早さである。


「あ、ユリオス来てたのねー。ちょうど良かったわ。ちゃちゃっとやっちゃって」


襲い掛かってくるモンスターを引き連れながらこっちにヒサヒは向かってくる。

モンスターを引き連れてくるというより、先陣切って襲い掛かってくる

ボスにしか見えないなと感じ取るも、ユリオスが詠唱を始め魔法陣と

共に輝きだした。


「古に司る森の精霊達よ、我が創造する礎の糧となり

大いなる力を我に授けん。アースクエ──」


「ユリオス早くしなさいよ!」


「・・・わかりました」


一番大事な台詞であるところの呪文詠唱をカットされたユリオスを

不憫に思いながら、詠唱カット分いつもより威力がないユリオスの

得意な範囲呪文をくらう雑魚モンスターであった。まぁそれでも

地面から地割れと共にいくつもの鋭い支柱がでてきて

モンスターを串刺しにする光景は圧巻で、ヒサヒの連れてきた

モンスターを一掃したのである。


震えていた少女もその光景を見ると、ユリオスに対して尊敬の眼差しだ。


「わぁユリオスさんすごいですぅ」


「いやぁそれほどでもないですよ」


こいつもサーバーきってのトップ廃プレイヤーなので、それ程でもないという

呪文は他のユーザーからするとかなりグレードの高い範囲魔法になるのだが

こいつにとっては本当にそれほどでもないので、謙遜している訳ではない。

まぁ一言でいうと強いのだ。


「わたしもそれやってみたいですぅ」


「えぇそうですね。しかし、あおばさんは騎士なので、この呪文は無理ですが

初歩的な呪文ならレベルが上がると覚えれるようになるので今度教授して

差し上げましょう」


「はいーわかりましたぁ。頑張りますぅ」


この子が範囲呪文を使うと、味方まで巻き添えにしかねない怖さがあるが

この子の呪文なら例え究極攻撃呪文でも全て受け止めてみせるさと

覚悟をしながら


「落ちてるクエストアイテム拾うのよ!早く!」


指定のクエストアイテムを言われるがまま拾う二人であり、落穂拾いの

名画そのものだ。せっせと二人は拾っているのだが、毎回思うことは

どうもゲームを楽しむというよりは事務的な感じが否めないので

この方法もやはり一長一短なんだろう。少女はそれでも

楽しげにキャーキャー言いながら拾い集めている。

少女の楽しさの基準がわからないが、楽しそうだからいいか。


「拾ったっすよ~」


「私もですぅ」


「じゃさっさとこっから移動するわよ。GKTに戻るからそれをNPCに渡すのよ」


うんもうだいぶ前からだが、俺がこの場にいる必要もないくらいに

ヒサヒが仕切っている。こいつも仕切るのが好きだし俺も楽だからいいのだが

俺の立場も考えてほしいくらいだ。そんな感情を抱きつつも、ヒサヒが

先導しながら、たまに襲いかかってくるモンスターを邪魔よと言いながら

一刀両断しつつ町に戻るのである。俺でさえ、3回くらい切らないと

倒せないモンスターなのだがこいつも尋常じゃないくらい強い。


町につくと、恵比寿顔の翌深そうな金持ち連中のNPCを素通りし

道中金箔まんじゅうという金持ちがつくりそうな趣味の悪いまんじゅうを

皆で食しつつも、所定のクエストNPCに到着したのであった。


「じゃさっきのを早く渡して頂戴」


とヒサヒの台詞である。いつも急かしてくるこいつから、「早く」という

言葉を消したら少しはマシな女性になるんじゃないのだろうか。

まぁどちらにしても同じ事か。


「わわわっ」


と少女が


「おおぉ、すげーっす」

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