表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

ある男の決意

 ラノベの新人賞で、一次落ちした作品です。

 一次くらいは通ってくれるかなと思っていたのですが、難しいなぁ、と思います。……何がそんなに悪いのだろうか。

 友達が死んだ。

 幼い頃からの付き合いの友達で、いつも一緒に居る事が多く、誰よりも長い時間を共有した友達だ。

 馬鹿なこともやったし、互いに競い合うように訓練に励みもした。

 互いの良い所を知っているし、互いの恥ずかしい過去はそれ以上に知っている。

 同じ人を好きになり、二人ともフラれたことなんかもあった。

 無二の親友であり、ライバルだったのだ。

 そんな関係は、いつまでも続くと思っていたけれど、そんな俺の親友は、呆気なく死んでしまった。

 自分達は、人を害する妖怪と戦う存在だ。だから、いつ死んでもおかしくない。

 彼にしても俺にしても、死んでしまうかもしれないという覚悟はしている。

 けれど、今回の件は、あまりにも納得できなかった。

 親友が行った、妖怪退治の現場は、ある学校の学生寮だった。

 その学生寮では、夜な夜な妖怪が現れては、悪さをしていた。

 窓が割られ、備品が壊され、挙句の果てに、寮に住まう学生にも怪我人が出てしまう。その行いは、エスカレートしていったのだ。

 妖怪退治にやって来た親友をはじめとした封滅士達は、痕跡に残った妖気から、相当な力を持った妖怪だと結論付ける。なので、万全を期して、数人で挑むことを提案した。

 どんなに強かろうと、伝説的な大妖怪でもなければ、数人で挑めば確実に仕留められるという自信があった。

 しかし、一般的に良く知られていない封滅士は、一般人にとって、妖怪と対して変わらない存在のようで、寮内に何人もの封滅士がいるのは、とんでもないと、学校側が言いだした。

 確実に、妖怪を退治する為に必要だという封滅士の意見と、偏見による状況を理解していない学園側の意見。採用されたのは、意外にも学園側の意見だった。

 封滅士の雇い主は国であって、国にとって大切にすべきは、封滅士ではなく、一般の国民なのだろう。

 そして、一人で戦うことになった俺の親友は、妖怪との戦いで、力及ばず亡くなってしまった。

 俺が駆け付けた時には、無残な状態になっていた彼の姿。しかし、学校の人間が、そんな彼に対して向けた言葉は、労りの言葉ではなく、妖怪を退治できなかったことへの罵倒だった。

 ふざけるな。

 言う通りにしていれば、親友は死ぬことなどなく、妖怪だって倒せたのだ。それなのに、学校の連中は、彼を馬鹿にする。

 俺は我慢が出来なかった。

 死んだのはお前らの性だと叫び、殴りかかろうとした。けれど、目的を達成する前に、周囲の仲間達に取り押さえられてしまう。

 俺は反省を促され、閉じ込められた部屋の中、俺は考え続けた。

 何故、親友は死ぬことになったのだろう?

 それは間違いなく、学校の連中身勝手さと、それを許した国の性だ。

 この国は、封滅士にばかり、負担を強いる。妖怪とまともに戦えるのは封滅士だけだから。だから、封滅士を酷使するのだ。まるで、奴隷のように。

 この世は間違っている。

 封滅士は人より優れた存在だ。

 何故、劣った人間の言うことを聞かなければいけないのだ。

 俺は、どんなことをしても、正したい。

 二度と、彼のような犠牲を出さない為に。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ