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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
81/98

81 彼女と彼の、代行業  其の十一




「た~だいま!」

「おかえり」


 ご機嫌の顔で、魔王城へとご帰還である。

 素直に我が家へ帰ればいいのにと言われても、可愛いクルちゃんを目的地《魔王城》までお連れしてあげたくてたまらなかったんだもの、いいじゃんかねー。


「ね~」

「御前失礼いたします、陛下」 


 お手々つないでたクルちゃんに可愛く小首を傾げて同意を求めたのに、イスランへの挨拶を優先されてしまいました。

 …うん、泣いてないよ?

 ただ、「ね~」って可愛く笑顔で首を50度ほど傾けたままおでここつんってしてほしいだけだよ、細かいお願いだけどしてくれないかな?クルちゃん。


ジェールムの遣いの身でありますので、早々ながら退去させていただきます。失礼をいたしました」


 可愛いクルちゃんは左手に持った食材袋片手に去っていきました。


「あたしの癒しが消えた…」

「とりあえず、俺の膝の上からどかないか? 京香」

 重い。


 魔王陛下がご不満だそうな。

 女性に「重い」は禁句だろうがあ、うっ!


「事実しかいっとらん」

 そして、おまえ磯臭いな。




 今日も魔王陛下ってば、空気読まなーい。

 ワカメで巻いて干瓢で縛って煮るぞ、貴様。


 御津の大袷に少年一名を送った後だっただけに磯臭い異界渡りは、魔王の食し方を思考してみた。


 結論は、『煮ても焼いても、食えない』ことに決まっていたけども。














「で、どうなったんだ?」

「美味い。もう一杯!」


 今日も異界渡りの夕食は魔王城でだ。

 新鮮なワカメうまいです、御出汁が美味しい。


「で、どうなったんだ?」

「痛い。眼が痛い」


 目の前の黒男に、今日のメインである網魚の酒蒸しについていた柑橘系植物メルピの果汁を飛ばされたわけです。痛い。

 置いてあった手洗い用のボウルで眼を洗い、白いタオルで顔を拭きつつ、無情な黒男に返事した。


「保留」


 しぱしぱするお目目が楽になったあとに呟いたら、目の前の魔王陛下はゆるやかに口角を上げた。

 まあ、悪い顔。


「魔王陛下ってば、悪い人~」

「いい人になった記憶はないな」


 友人の返事で思う。

 やっぱり、この男は腹黒であると。



「お主も悪よノウ、越後屋」

「いえいえ、御代官さまこそ」

 ふふふふ。

 はははは。



 ノリのいい友人って本当に得難いものだよね、はいはいはいはいはい。















 素敵に同類。

 やつらはもちろん、時代劇もばっちし見てます。






本日の覚書



 網魚あみうお


 腹まで網目のついた青魚。

 御津の大袷にて購入可。(移動ルートの場所、位置によって入手できないことあり)

 お勧めはシンプルに塩焼き。



 ミルピ


 日当たりのよい低木に成る果実。(柑橘系)

 ホビットの子供でも採取できることから、封の岸でもよく栽培されている。

 最初の新芽は黒色で、大きくなるにつれて実の色が変化する。(黒→紺→青→緑→黄緑)

 芽はベリー系の味から酢橘系の味へと変化なさるそうです。……便利だな。





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