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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
80/98

80 彼女と彼の、代行業  其の十





 代われるのはここまでです。

 

 あなたの遺したそれを、私が代われるのはここまでです。


 名前も知らず、

 行方も知らない、


 壊れた世界の唯一神に申しましょう。




 私の存在は、貴方の過去を購うためのものではないのです。










「え? もうしないよ?」

 言ったじゃん、これはただの気まぐれだって。


 定期的に魔薬の提供と転移の奉仕を依頼してきた某双子の長にそう告げた。

 勝手にそんな当てにされてもこっちが困るし。


【なんと?】

【莫迦なことをいうな!】

【転移を使用せねば、ラテン・クイナどのがおいでになられぬではないか!】

【おかしなことを言うな。まったく…】




【そなたのような異物に貴重な守護を与えた当代の城守は、何を考えておるのか】





 嘲るように、現岸守グロック=スロウの控えにして弟補佐であるウィ―ド=スロウが囀った。




 ―――――  瞬間、目の前が眩んだ気がした。




「どこの嘴がいけしゃあしゃあと述べたものやら…」


 赤い髪の童子が気づけば目の前にいた。


【ぬしは】

【龍人族…か】


「初めまして、狂い鳥の岸守どのがた。―――そしてよくぞ、我らが魔王陛下を侮辱してくれたな」 

 万死に値する。


「クルちゃん…」


 掌に満ちた雷剣を手に、戸惑う京香を背後に庇って、宙から舞い降りた童子―――龍人族の一人、クルエル=ニ―ドは無表情に刃をきらめかせた。


 クルエル=ニ―ドはジェールム=コークが長を務める龍人族の子だ。

 いつだったか、魔王城の異世界コラボレシピ作成の際に必要な食材を持ってきてくれたので、彼は京香と面識がある。


「――― だめよ、クルちゃん」

 それは反則。


「それでも、ご友人さま。―――我らが主とその愛によって忠誠を誓う魔王陛下を侮辱したも同じことでしょう? 今の発言は」

 だって、いま奴らは陛下が認めた存在(ご友人さま)を侮辱したのだから。


 ご友人さまと魔王城のみなが京香を呼ぶのは、その城の主が彼女を認めたからだ。

 理由は知らされず、なにより理由は不要だった。

 何故なら 王が認めた から。


( 臣に、否定は許されない )







「……クルちゃんはこんなにちっちゃいのに、賢くて相手の気持ちがわかるいい子だね」

 …なのに、どうして。


 困った表情の異界渡りは、歪な鳥たちを見て呟いた。



「どうして、コトリ族の方々は歪んでしまったままなんだろう」



 哀しい顔で、そう言った。



























 クルちゃんは京香がお好き。(面白いお姉さんという意味で)

 食材を買いに来たついでに、京香に挨拶に来たらこうなったという次第。








 本日の覚書


 ◇クルエル=ニ―ド



 龍人族の少年。

 姿は6歳くらいの赤毛薄氷色の瞳の童子。

 御年は18歳。

 クルエル。クル。クルちゃん。ちびっこ。などと呼ばれてる。

 もちろん、エリート。

 龍人族の主であるラ―くんやその保護者的存在である当代魔王に忠誠を誓っている。真面目っ子。

 いきなりの登場なのは、作者がミニマムに餓えていたからだ。








 本日の棄書


 狂う鳥。


 コトリ族の蔑称。








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