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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
76/98

76 彼女と彼の、代行業  其の六






 君は何を望むのだろう。


 私に、


     何を。















 眠る魔王を見つめていた。

 今日も今日とて、返還の儀式は行われた。

 疲れ果てて、まどろみに眠る君を見つめて、その心の中を疑う。


 眠りのなかで、彼は夢を見る。

 それは美しい空であり、海であり、大地だった。

 それを京香は覗いたことがある。

 見慣れない大地に、満ちた豊穣、涙がこぼれたほどの美しい夢。

 けれど、それは存在しない。


 破綻した楽園。


 ――――城守と彼等が呼ぶ、魔王たちの記憶に残された過去の夢。


 神様が夢見た世界。――――始まりのうてなの夢。



 世界の各所に点在する極地とその守。

 機能する神寶のそれ。



 巡り、結ばれ、実った、世界の夢。



 ―――― 美しい、と素直に思ったことを覚えている。



 この世界は美しかった。

 この世界は守られていた。


 ―――― 過去形でしか語れぬそれを、彼女は  。 






「………寝よう」


 覗き見た夢の終焉を知らぬ間に、彼女は眼を閉じる。

 暗闇のなかで、彼女は彼女の夢を見始める。

 彼女の、世界の、夢を。







 知識を智恵に。

 智恵を知識に。


 そうして、世界は廻っていく。



 では、――――異世界の知識と智恵を知るものは何を廻すの?


 それが、運命だとか宿命だとか、そんな馬鹿な解答しか導き出せないのだとしたら。



 ――――― あなた、お願い。死んでちょうだい。



 無意識に震えた自分の身体を叱咤して、京香は夢の闇に落ちた。





 この世界は、――怖ろしい。












 本日の覚書



 異界渡り は たまに この世界 を 恐怖 する 。




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