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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
70/98

70 彼女と彼の、世迷言  (後)







「…じゃあ、ちょっと出かけてくるわ」

「行ってら」


 二日酔いで悲鳴を上げる京香の言葉に、軽い口調で魔王は述べた。

 …おかしい。こんな男だっただろうか、この異世界の魔王どのは。

 己のしてきたことを棚に上げて悩む京香だった。


「…ちょっとはカッコつけようぜ、イスラン」

「部下に見せるカッコはあっても、二日酔い中のダチに見せるカッコなぞ持った覚えはない」

「………」


 否定できないあたりが類友だなと、京香は思ったりしてみた。









 今日の朝ごはんは、Mっちの渾身メニュー殿堂入り激辛カレーだった。

 朝から食えるか!


「ううう、果物かアイスが欲しい。お口の中が痛いよ―」

 あ、頭も痛い。


 …食べたけどな。


「……なかなか凝った報復だな」


 ちなみに魔王さまのカレ―にはサラダとパンと牛乳がセットでついていた。京香は大盛特製カレ―のみ。

 間違いなく、標的は片方のみだ。


「いやですね、魔王さま。ただの偶然ですよ」

 いつだかのご友人さまの好みのレシピを再現しただけです。


 給仕もこなす調理人がすっごくいい笑顔でそう答えた。

 答を聞いたその主は、何も言うまいと沈黙を守った。

 今日も京香の周囲には、彼女のためのSが多い。

 昔の人は適材適所と謡ったものだが、よく言った。

 敵S的M(てきざいてきしょ)

 ―――間違いない。 






 しかし、あまりにMPが足りない。

 二日酔い+胃腸の不具合。

 なんというアンチパーフェクト。

 目的地にたどり着く前に溺れそうだ。

「癒しが…癒しが、足りない!」

 ひよひよと鉄板の上で踊るお好み焼きの上の鰹節のごとく、力弱く呟いた京香であった。

「…仕方がないな」

 頼んでもいないのにイスランが近づいてきた。

 顔面にはいつもどおりの平常埋け面が浮かんでいたが、その裏では何を狙っているのやら。

 絶賛体調不良の京香には、残念ながらそれに気づくことは出来なかった。

「うあ~? なんぞ?」

 だるだると顔を上げた京香の前には、某(腹)黒男が一名。

 距離はまさしく0.


「俺様が癒してやろう」


 楽しげに顎を掴んで顔を固定された。








 ――――― 魔王なんざ大嫌いだ。


















 何があったのかは、えてして語るまい。(笑)

 酒に負けたダチは遊んでなんぼ。






本日の覚書



 魔王 は セクハラ を 覚えた。




 本日の覚書②


 Mっちの渾身メニュー殿堂入り激辛カレー


 カレ―が食べたい京香がレシピ片手にねだった異世界コラボ料理の一つ。

 使った香辛料の種類は58種!

 黄色ではなく黒色なあたりが摩訶不思議な異世界風カレ―である。

 …レシピ変換するのに、凡そ3ヶ月かかったとかかからないとか。







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