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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
64/98

64 彼女と彼の、岸辺  其の一





「彼女と彼の、岸辺  其の一」




 ほうの岸、と呼ばれる極地がある。

 小高い丘の上にあるのは、風を伝える白い花。――――人工の。

 風車は回り、水を興し、力を生みだす。

 ……おらんだ?

 などと呟いたのは、どこぞの異界渡りだ。

 その呟きを理解し得るのは現状のこの世界では魔王ただ一人だが、残念ながらその場所にいたのは魔王ではなく親父三人衆【人外コース】であったために、それはスル―された。

 親父のスル―力をなめてはいけない。

 鈍感力は年を取るとともに臨機応変に成長発達するのだ。決してそれはめんどくさいという一言で終わる感情のもたらすものではないのだと世の親父はいけしゃあしゃあと述べるはず。



    






「…先生、今回はどうして集合場所がここになったんでしょーか?」


 一応、発言者が謙虚に挙手をしつつ呟いた。

 棒読みで。


「そらまあ、あれだろ? ポンの奴がたまには阿呆に子守りをさせなならんだろうとかいったからだろ?」


 目の前の髭なしドワーフがなんか言った。


「奴はいま15人目のガキの出産に立ち会ってるからな。蕩けたゼライムの手も借りたい心境なんだろうよ」


 MY日傘を手にした隻眼の蛇男がなんか言った。



「………ホビの一族の子だくさんっぷりにはもう沢山だっ!!!」




 涙目で叫んだのは、もちろん強制子守りを任じられた異界渡りの篠原京香です。

 終わった。












 岸辺には花が咲いている。


 白い花。


 赤にも染まろう、

 黒にも染まろう、


    ――――いつかそのために。


 

 白い花は咲いている。






 ―――――――― 岸の辺りは、境界線。






 いつか天地は遡る。








 








本日の覚書(つーかもはや棄書)



 蕩けたゼライム。


 齢経たスライムのこと。

 濁点をつけることで、瘴気を浄化しきれずに表面の色が濁り、ぷるぷるのお肌ががぶるぶるのあばたになってる状態を指したものと思われる。スラング。

 ぶっちゃけ、そろそろ崩壊(無価値)の意。





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