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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
否《いいえ》・是《そうです》
59/98

59 彼女と彼の、二枚貝  其の四

「彼女と彼の、二枚貝  其の四」





 クラフト・オルギナと呼ばれる連中がいる。

 そいつらはちょっと異様な技術を持っている。

「あ~は~は~。ちょっとあたしいま怖くてうごけません先生」

「ついでに口も閉じるとかんぺきでありんすよ、壁の文様」

「せめて花って言おうよ、そこは!!」

 口の悪いサドが多すぎるってこの世界!! 

 心のグローブは何処に往ったのみんな! 心のバット(棘付き)しかもってない奴らしかいないのはどういう仕様ですか!!?

 言ったら言った分だけ打ち返される千本ノックマシーンもどきな異世界のS規格に異議を叫んだ篠原京香(23)だった。






 貝は海に沈み、泳ぎ、潜る。

 二枚に分かれたその外殻は裡にひっそりと息づく胎身を守り、土と水と、しおと闇にまぎれて眠る。

 ―――陽の光のもとで在らざる姿に変容することさえも全て隠しながら。




「ちわっす」

 お疲れ様っす、ミナイの姐さん。そして、初めまして変な人。

「御苦労さまでありんす。ラテンどの」

「………ちわっす、初めましてっす」

 あ、尾語うつった~という前に、どうして初対面であたし変な人認定うけてんのかなあははははん。

 敬礼してミナイ姐さんに会釈した男の人に対して突っ込むところは多々あるのですが。

 とりあえず、その落ちそうで落ちないバランスのフィギュア放してあげて。

 見てるこっちが怖いんですそのバランス。

 不器用の塊な自分を自覚しているために、そうお願いしたいのが篠原京香の現状(進行形)であった。





「何度見てもエコな水圧指向性動力ですね」

 すげえマジエコ、ガチクリーンな循環システム。エコポイントで換算したらどんだけもらえるのかな。

 ぽこんと水泡が混じる水はアクアリウムのように透明な壁に添うようにして揺らめきながら上がっていった。

「エコとやらは判りませんが。……袷さまが最高なのはわかりますよ!」

 きらきらと声がきらめいているのが分かった。

「………そうですね」

 なんかヤバいスイッチ踏んだ気がしたので心のグローブでキャッチした瞬間に横へと送った。

「で、ミナイの姐さん。そろそろお仕事のお話してほしいな、あたし! こちらのプロフェッショナルな技術のことについてお教えてほしいなすっごく専門職なこと教えてほしいな!!」

 笑顔で投球! ただし、思いっきり相手の見えない濃霧の中で!的なかんじで。

 無言でこちらを見つめている袷さま至上主義者その2が何処まで応じてくれるのかこの待ち時間が怖い。


「………………」

「……………」


 ああ、沈黙の天使が通っていく。

 次に来るのは終末の笛かノアの方舟か。

 出来ることなら、祝福の天使にこそ到来してほしい。


「―――ラテンどの。 そこな変態の依頼を聞いて差し上げてほしいのでありんすよ」


 祝福の天使、来たあああああ!!!!!!


「依頼、っすか?」

 外部からとは珍しいっすね。


 不思議そうに己の住処の、弐の職がミナイ・グーに仲介された変人の挙動不審を真顔でスル―したクラフト・オルギナの若きエース――ラテン・クイナには、是非にこの依頼を受けてほしいと思いますのさっ!! 













 …京香、語尾崩壊。





クラフト・オルギナ


 技能集団。という名のオタク。

 手先の器用な深原族ヴィルギン始めとした連中の職能集団。

 作るものは槍から時計からオルゴールからフィギアまで。なんだってこなしてよ。

 ちなみにオルギナは造語。

 ゴミという名の宝の中で生息中。



ラテン・クイナ


 クラフト・オルギナの若きエース。深原族。

 子供の頃からクラフト・オルギナの中で育つ。

 クラフト・オルギナの最も大事な仕事である大袷のメンテナンスのサブについてる。優秀。

 基本語尾は「っす」。








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