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君と過ごす日常的な非日常  作者: こころ 
阿《ぱっくり》・吽《ぴったり》
5/98

05 彼女と彼の、食事嗜好(前)









 ぽちっとな。


 ――美味しそうな写真である。


 携帯で某レシピ料理のサイト巡りをしていたところ、実に美味そうな料理を発見しました。

 材料は、「卵、ミルク、芋、鮭、バター、調味料各種」。


「……… うむ、いけるな 」


 ピ―――。

 

 握りしめるは、印刷終了したレシピ!

 世界の違いもなんのその、我が嗜好に染まるがいい! ジェムっち。

 決して、キミの絶望に浸る顔が見たいなんてそんなSっぽいことは、別に……。

 

 ―― ごめん、ちょっとだけあるかもしれない。(素直)



「 待ってて、ジェムっち。いま、イの友が行くわ!! 」



 ということで、本日も異世界へとご出発である。

 ちなみに、イの友とは「胃の友」のことである。

 ネーミングセンスがないことはよく理解しているのでご容赦いただきたい。







 魔王城には、ちゃんと厨房というものが存在している。

 どうやら、この世界における人間たちは、そう聞くとグロテスクなものを想像するらしい。

 人間のアレとかソレとかドチラとか。

 だが、そんなものはない。

 ジェムっち曰く、「美味くもない人間なんぞ食材に成るわけねーじゃん。美食派ばかりなんだぞ、ここの連中は」とのこと。

 うんうん、信じてるよ。マイ胃フレンド!

 そんな食事は想像もしたくないです。


「ということで、異世界で美食しようぜ、マイフレンド! メモの用意はいいかい!! 」


 今日の出現場所は、厨房です。

 目の前には、赤髪蒼眼の青年が一人。


「―― ご友人さま、いきなり現れて食事の要求ですかい、…いい根性だ」


 むにむにむにむに。

 ぎゃー、やめて。頬がつぶれる。

 細くて長い指で、「ほっぺたむにむにの刑」を実行された。

 ジェムっち、一瞬で真横に立ってるんだもん、防御なんて出来るわけがない。

 ちくしょう、龍人族なんか基本ステータス高すぎて羨ましいじゃんか、うええええん。


「……泣きまねする子は俺、嫌いですよ」

 

 ち、効かなかった。







「材料①! 卵!」

 気分は、点呼を取る隊長である。

 班長でも可。

「うーん、今日は卵どれにするといいわけー? クッ卵? ダフ―卵? まさかのサイウェルの卵!!? 」

 ジェムっち、卵たくさんあるねえ。

 ちなみに、クッ卵はこの世界における一般的な卵。三原色のとさかがついた鶏の卵らしい。…うん、卵は白色だったよ。

 ダフ―卵は雌雄同体の砂蜥蜴の卵。小さめサイズ。味は濃厚です。

 サイウェルの卵はあれだ。巨大魚サイウェルの卵。浅瀬の砂地に産みつけられる卵のサイズは、すいかの大きさ程はあるのだ。黄(赤)身は濃いけど、白身はうす味。…そんな卵。



「材料②! ミルク! 牛の乳! 」

 点呼は続くよ、どこまでも。

 まだ始まったばかりだもん。

「ご希望は、メッシ―マ種? ライハン種? それとも、虹の泉の水牛モッスモスがお好み? 」

 どれでもいいよ、何処産だろうが。

 あ、でもモッスモッス牛乳はあたしが飲みたいので避けといてね。後で冷やしていただきます。

「―― なかなか手に入んないのに、これ」

 不平は華麗にスル―させていただきます。

 呑んで食われてこその食材じゃないか、ジェムっち。



「材料③! 芋! …もうこれは、ミイ芋で是非! 」

 点呼ではない、それは宣言だ。

 仕方ないだろう、だってあのとろとろ感のでるポテトサラダにするなら、これしかないんだもん!!

「 ……… 」

 無言で、ジェムっちはミイ芋をテーブルの上に置いた。

 流石だ、友よ。ぬかりがない。



「材料④! ……鮭!」

 さて、問題はここである。

 どう出る、ジェムっち。


「―――白酒でいい? 」


 でんと置いたのは、甘みの少ないドワーフ産の酒。―――アルコールである。


「………」

「―― ご友人様、息してる? 」


 あああああ、ジェムっち、ジェムっち、さすがだジェムっち。お約束の男。

 笑いが止まらん。

 察するところ、これまでの経験から「さけ」という発音から、以前使用した料理酒用のそれを出してきたのだろうが。

 ああ、まさしく友よ。マイ胃の友よ。

 いま私はキミに捧げたい。

「天然大ボケ無自覚男(初代)」の称号を!! 



「…鮭、とは! 脂のよく乗った赤身の魚な。ちなみに、字で書くとこうなる!」


 「 鮭 」


 うむ、達筆。

 若干の丸字は勘弁しておくれ。

 どうせ地球の文字を読めるのは一人しかいないんだし、この世界では。


「……読めないけど、酒のときとは違う文字なことだけはわかった」


 ジェムっち、以前の漢字を覚えているのか。素晴らしい。……どんな記憶力だ龍人族、ちょっと羨ま悔しい。

 ちなみに、「酒」と書いた時は発酵に失敗した梅干を拝んだときの母の表情によく似た顔をしていたジェムっち。

 やっちゃった感ただよう表情だったよ、うん。

 異世界の文字は、そんなに嫌われるものなのでしょうか。





 その他に必要な塩コショウ、バター、パン粉、パセリ、オリーブオイルの代用品を魔法のように用意してくれるジェムっちに感動の眼を向けつつ、レシピを音読する京香だった。








 

そっと密かに注意事項であります)

 鮭について、主人公がどや顔で「赤身の魚」と作品内で説明しております。

 ……鮭は本来「白身の魚」です。摂取する餌の色素に由来してサーモンピンクと呼ばれる特有の色に変化されるということです。

 (卵の黄身が黄色いのと似た理由。どや…)


 ……ですが、料理などのレシピで白身の魚と書かれてるときに鮭を使用する方もいないと思いますので、本文変更せずこちらにて補足説明とさせていただきました。

 正直、本文変えたら半分は文いじることになりそうになっちゃったので。(汗)

 ――― ご了承くださいませ。(ぺこり)

 


 ………赤身でも白身でも鮭は美味しいよね?|w・)))




 お邪魔しました。



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