46 彼女と彼の、極光 其の三
「彼女と彼の、極光 其の三」
「―――― 美しいわね」
そう言ったのは氷佳の魔女《レイクシエル=オッド》。
「ふん。ただの現象だ。……いつかは終わるものにすぎん」
そう言い切ったのは最後の竜王《ヴィラード=オクス》。
珍しいことに両性体である彼は人の姿をとっていた。
極日のなかの極日。
―――【覆いの幻日】の日になると、なぜか竜体を保ちにくくなるのだと彼(彼女?)は言った。
「マスター。もう少しこっち向いてください。こっち!」
そんなレアな主の姿を形に留めたいと感じたらしい、その下僕…いや従僕…いやサーバ…いや、やっぱりMな下僕《ジェールム=コーク》が人が持ち込んだデジカメ片手ににやにやしていた。
『なんで正解あったのに言い直すんですか!! ご友人さま!』
いつもだったらそんなツッコミをしてくる筈のmっちは今日は全てをスル―するつもりのようだ。
エロテロリストと呼びたいレアな人型の姿を撮影することに集中しているからである。
しかも光属性の魔法を使ってのフラッシュもどきも多用中だ。レフ板もってるのはどこの使い魔だ、おい。
……どんだけ主好きよ、龍人族という名の竜王親衛隊の長め。
愚問か。
Sなご主人様に蹴られて弾かれて無茶な命令を下されて、尚嬉々としてその命令をこなしにいく奴のことだ。
―――― 実はここまで愛されてしまったラ―くんこそが可哀想なのかもしれんななどと、友人たちの関係についての新しい考察を得かけた京香だった。
「ちい、メモリが! ご友人さま、今度は是非最大MGの用意を是非!!」
…もう、使い切ったんか。デジカメメモリ。
一応、1万枚は撮れる容量だったはずなんだけど、おかしいな、あれ?
そして『散れ、どMめ』などというラ―くん(エロテロリスト)によって足蹴にされて尚、満面の笑みを浮かべながらデジカメを宝のように抱きしめているジェムっちを見て思う。
変態。
冷たい視線を見せつつ、両手の指を交差させたが奴には無意味だった。
「あああ、これで俺の人生終わってもいい」
満足げに呟くのを見て思う。
お前(の人生)は既に終わっている。
七つの星は異世界にはないものの、心から指さして述べてやりたい京香だった。
……おいちゃんのライフポイントはもう0よ。(カフッ
「…ねえ、イスラン。じぇむっちのあれはどうなの。男としてありなの、あれ」
まだ求愛行動中の雄とか言われた方があたし納得できるんですけども。
真横で暇そうに本を眼元にかぶせてうたた寝していたイスランに聞いてみた。
「ん……。…ああ、放っとけ」
アレが奴らのデフォだ。
ねぼけまなこのイスランが返事した。
「いやまあ、らーくんは一応彼女でもある彼ですから、一応彼であるじぇむっちをあっしーもといめっしーもといらっしー……好きやったなあ」
名犬らっしー。
「何をわけのわから混乱と現実逃避に勤しんでおるのだ貴様は」
ただでさえ阿呆なのに、更なる阿呆にしか見えんぞ。
「ほえ?」
視界の枠の中に真っ赤色が。
「あいかわらずの阿呆娘だな、貴様は」
赤眼と赤髪、それから小麦色に焼けた肌のエロテロリストがそこにいた。
「……ぎゃああああああああああああ! くんなエロリー、顔面犯罪者、くんなあああああああ」
即行で引いたあたしは、間違っていないと信じているとも。
あれ。
……進まないぞ。
お話が進まないぞv
――― エロリー含むSM主従のせいだというのはもうお分かりですねvvv
…タイトルが泣いていますな。