03 彼女と彼の、自己分析(前)
癒しが足りない。
そう、癒しが足りないのです、我がMPとHPにぜんぜん足りてない!!
と、いうことで。
「レイちゃんに遊んで貰っちゃえー! 」
ひょっこりと今日も異世界へと旅立つ私であります。
ぽこぽこぽこ。
どろんと澱んだ沼色の液体から、ごぼっとたまに空気が湧き上がっていくのが見えます。
「うわあ、あいかわらず、すごい『らしい』部屋だねえ、レイちゃん」
「可愛いことを言ってくれるわねえ、ご友人さまってば 」
うふふふふふふ。
さらりと白い項から落ちる紫がかった銀髪はまさに妖艶と言って間違いない。
ああ、眼福眼福。
「―――― ああんもう、レイちゃんってば本当に美人。これで、1000歳超えてるなんてマジ信じられん、美しいって素敵!!」
がばり、とついついハグってしまう。
グッジョブ自分。
うっかり媚薬もどきのレイちゃんの身体から香る匂いにやられかけてしまいそうです。
「―――― 懲りませんわねえ、ご友人さまは 」
学習能力をつけてくださいませ。
めしゃり、と。
麗しき魔女さまの身体から引きはがされてしまった。
いやじゃいやじゃ、電柱でござる―。あ、ちがった殿中。
いろいろと間違った時代劇ネタが脳内を駆け回った。
祖父の趣味だったんです、年末の赤穂浪士ドラマ。
録画されてた件の階段落ちを見つつ、痛い痛い痛いとか思っていた私の少女時代。
最近は無くなりましたねー、あの手のアクション。
喜べばいいのか、悲しめばいいのか。
「―――― ご友人さまって、すごい話の展開しますわよね」
いかに心の中とはいえど。
「…………… 心読まないでください、レイちゃんサマ 」
このお城には、読心術を駆使する輩がいるのが、たまにキズです。
―――― あたしが無防備すぎるんだという奴もいたけど、無茶言うな。読心術とか魔術とかいうものを扱える奴こそ見たことはないぜ。(故郷である地球の場合のお話)
「で、今日はどこを治してほしいのかしら? 」
美人にお尋ねされました。
それだけで、テンションは馬鹿に上がりまくります。
「全部で!! おねがいします!!! 」
うっかり叫んでしまいました。
「いくら私でも、ご友人様の頭の中身までは治してあげられませんわあ」
おバカさんは、流石にちょっと魔改造が必要になっちゃいますからねえ……。
ぐっさり。
―――― すいませんすいません、おバカな頭ですいません、おネイさまあああああああ。
でも、そんな毒舌な貴女も好きっ!
『何度死んでもあの馬鹿さだけは変わるまい』とたびたび評される私の頭の中身は、やはり今日も変わらなかった模様です。
MPを、萌えポイントと超訳した友人がいます。
それでは、HPはハグポイントとでもすればいいのでしょうか。
精神エネルギーばかりが補充されるね。(幸せだが)
最後になりましたが、評価ポイントとお気に入り登録ありがとうございます。嬉しかったです!