23 彼女と彼の、装身具(アクセサリー) 其の五
だっぴーだっぴーぴーぴーぴー。
京香の母親の青春時代あたりに流行ったらしいこの語尾。
「●りピ―語」と呼ばれて普及したらしい。
今では死語となったものではあるのだが。
「廻り巡ってこんなことになるとは思いもしなかったわねあのころは」などと呟いたのは、某時期のニュース番組を見ながらの母親の独白である。
ここは、ミニ―くんことミニ―ス=ファン=スローの自室。
DERONN。
「…でろーん」
うっわー。
心で叫び、仕草で素直な今の感情を表わしてみた。
ちなみに両手の掌は指先までぴんと伸ばして反り返らせ、京香の身体の前に押し出すような形に保たれている。
のー、のー。NOOOOOOOO!
心の距離は叶うことなら100mは保ちたい。嗅覚が死ぬる。
「お前のご希望だろうが」
「失礼な女だな、あいかわらず」
二名の男どもは平気そうだが、匂いに敏感な女性としてもの申す。
「でも臭いよ! この脱ぎ散らかされた皮!」
眼元がうるんでいる自覚は大いにある篠原京香23歳の青年の主張。(20文字以内vr)
「えー。臭いか?」
「うんにゃ」
俺はそうは思わねえけど。
「………この親父ども!!」
匂いへの耐性は女性よりも男性の方が強いらしいです。しかし、だからといってこの熟れ鮨なみの強蛋白質の匂いに平然としていられるその神経にはどうやっても納得が出来ません。
のー。のー。のおおおおおおおおおおおおお…えっp。
文字数を二桁に略した分だけ京香の主張は敗北を喫した模様。せめて300文字の青年の主張でなくては駄目だったんだろうか。
「…………」
口呼吸って結構きついってことを初めて知った京香だった。(涙)
蛇牙族は年に数回繰り返される脱皮とその立派な牙が種族的特徴です。
「蛇牙族の牙は高く売れるって本当ですかー?」
魔族や聖なる一族での話ではない。
主に人間族の王族だとか貴族だとかの間で高額取引されるんだってさ―。
「…売る気は誰にもねえんだが」
まあ、ハイエナどもが墓場さらって盗ってったりしたやつが売れてるらしいぜ。
ミニ―くんが若干の怒りを込めて説明してくれました。
盗掘品泥棒に対しての怒りみたいなもんか?
「―――ところで、わたしのピンキーちゃんな石のお話なんですが」
どうにもフリーダムな連中のおかげで話が進まないので強引に進めてみた。――早く、早く我が手の内にしたいんです。
「…ピンキーな石ってなんだ?」
ピンクダイヤモンドの話か?
首をかしげたのはミニ―くん。
「……そうです」
酔っぱらってたミニ―くんがピンキーピンキー言ってたのでどうやら言い間違えたらしい。
京香ってば恥ずかしい!
「京香。――俺にはおまえの恥じらいの基準がよくわかんねえよ」
というか、おまえには恥じらうだけの自制心なんかねえんだと思ってたぜ。
ロドのおっちゃんが恥じらう京香に対して突っ込んできた。
見ると隻眼の蛇牙族も頷いて同意を表わしている。
「自制心がなくて社会生活が送れるとおもうか!」
率直きわまりない親父どもにもの申す。
私はこれでもしっかりと自立した社会人なんです!
本日の反省および気づき
話を蒸し返す連中ばかりで本題に進まない。
共同理解は大事だよってことですね。
すごく理解した。