11 彼女と彼の、落書き事情 其の二
ゼリーはプルンとしておりますね。
最近、そんな彼等は食材としてのみでなく、世界に大いに貢献しております。
クイックリー。
早く世界がぷるるん充しますように。
ベタに転びかけたその時、ぶよんと感触がいたしました。
体中がぷるるん充足。
「――これは、まさか」
急いで見つめ直すこと、数瞬間。
「――ぷるんちゃあああああんん!」
目の前には大きなスライム女王さまがいらっしゃいました。
さてさて。
スライムさんというと、おまえらただのレベル上げ要員か、むしろ、核はどこだ見えねえよ、というゲームにおける底辺にして主要な魔物(?)なわけですが。
この世界では、びっみょう~です。ハイ。
「なんて優しいの、ぷるんちゃん。どろどろの真っ黒な土にまみれてしまいそうになっていたひ弱な少女を護ろうとするなんて」
なんて優しいモンスターさんなの…。
きらりとイタイ発言を漏らした京香(成人済)。
「―― 世間では、23歳に美少女という言葉を使用することは許されておらんだろう」
「痛いな、ご友人さま」
確信犯で、自分を少女と呼ぶところがイタイですよ。
―― じゃかましい、このSM主従ども!
くわっと白い歯並びを見せつける、今日のお仕事。
―― 咬むぞ、貴様ら。
歯科にかかったことがないのが自慢の歯並びを見せつけました。
「………」
ぷるん。
そんな姿を眺めたぷるんちゃんは、そっと後ろに跳びました。
―― ひかないで、おねがい。
人格というものもない彼らにまでひかれそうになった場合、流石の京香も泣きたくなります。
「ううう、ぷるんちゃんがツンだ。ひどいよー」
人として泣いていいと感じた事実でした。
「うーむ、思考回路さえないスライムにまで避けられるとは」
「なんだ、ただのゴミか」
―― ちくしょう、ラ―くん。貴様Sだな。
心のなかで突っ込んだあとで、これは奴にとっての褒め言葉だと気づいたので、魂の底に封印しました。
「にしても、よくスライムの個体の判別つきますねー、ご友人さま」
こいつら、基本的にそう変わらないのに。
ジェムっちが、不思議そうな顔で告げてきた。
「勘だろう、野生の勘」
なにしろ、こいつは考える前に手と足が動く奴だからな。
ラ―くんが断言しくさりました。
――― 否定する要素があるのか?
ついでのように京香に視線で語りかけた相手は可愛かった。
ミニマム万歳。
視線の冷たさも乗り越えられます、可愛さ正義。
赤銅色のウロコが麗しいですね、ラ―くん。
「どうせ、あたしは胎で考える動物さ! …だが、今回ばかりは否定しよう! 」
あたしだって、頭は使うときがあるんだ!
えへんと一言、根拠があるスライムの個体選別の方法を教えてあげた。
「スライムたんの核になる種に「ぷるんちゃん」って、マッキ―で書いてあるんだよー」
ちなみに、ピンク色のマッキ―使用しました。
「「 阿呆か!!! 」」
ジェムっちとラ―くんに怒られました。
なんでー?