第三話
「どーしたの?えりえちゃ~ん♡もっとのも~よ!」
「そうだよぉ、えりえ。ど~せあしたはあの三人にまかせるんだからさぁ~。」
あー!!!
二人共めんどくっっせ!!!!
しがみつくな私に!
てか二人より私のほうが飲んでるのに、「もっと飲め」なんて言うなよな。
私がお酒が強いほうだと気付いたのは、五十年ぐらい前に課長と飲みに行った時だ。
課長と飲み対決して圧勝したんだっけ?
懐かしい。
ふと、おつまみが欲しくなってきた。
ロズの手を払いのけてメニュー表に手を伸ばす。
どれも美味しそうなものばかりだ。
天国で働いているものは、寿命の給料のほかに、天界共通の貨幣も与えられる。
その貨幣で、みんな売買しているのだ。
天使の中の『戦闘員』という職業は、他よりも給料が高い。
そりゃ、命懸けだしな。
そのせいで最近金銭感覚がバグってきた。
「すみません。注文いいですか?」
「はい。いかがいたしますか?」
「若鳥五十と後は、そうだな。ジョッキ十杯ください。」
「かしこまりました。若鳥五十、ジョッキ十ですね。しばらくお待ちください。」
店員さんは、メモを取り、厨房に入っていった。
あの店員さんの羽可愛かったな。
天使とか悪魔って、それぞれ羽の形違うからな。
それぞれの良さがある。
ってロズ寝てる?!
しゃーない。
寝かせてあげるか。
「カタラさん聞いてくださいよ。」
「え~?なになにぃ?」
「実は上司に頼まれまして。仕事の一環なんですが、レポート提出しなきゃいけなくって、めんどくさいんですよ。それが。」
何故か昨日頼まれたのだ。
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「ゼレール君、ちょっといいかな?」
「はい。何でしょうか。」
「これ、頼まれてくれないかな?天国全体で企画してるやつなんだけど、」
上司から渡された企画書には、『戦闘員派遣します』と書かれていた。
「要は力仕事で困ってたりするとこに行ってお手伝いしてもらうってやつよ。ほら天使って、暇なときは超暇でしょ?」
言い方はムカつくが、その通りだ。
「んで、その試験として、僕たちの会社が選ばれたわけだよ。ゼレール君は成績いいからレポートのまとめ、任せられるかなって。どう?」
どうせ何もすることないし、暇だしな。
「レポートまとめるだけですよね?やってみます。」
「じゃ、レポート百枚提出しといてね。よろしく。」
・・・は?
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「というわけです。」
「あ~。あの人そーゆーとこあるららねぇ。おつかれ~。」
「そうゆうのは先に言えって話です。百枚とか、たまったもんじゃないです。こっちは。」
なんかムカついてきた。
さっききたジョッキをガブ飲みする。
「~~~ぷはっ!!ごちそうさまっ!!よし、二人共帰りましょう。」
「はぁい♡」
「ねぇえりえ~。つれてって。」
こいつらはっ、はぁ~。
天国はブラックです。