第六十九話
「だからエリエ。僕を、倒してね。好きだったよ!」
いつもの笑顔で、幸せそうな顔で、そう言った。
ロズは、みるみる変化している。
私は、それを眺めるしかできなかった。
何を言えば良かったのか、何もできずにただそこにいるだけ。
心が空っぽになるって、こんなことを言うのだろう。
ジリリリリっ
携帯用ベルから音が鳴る。
無意識に対応した。
「エリエちゃん!今どこ?」
アカリさんの声だ。
「今、は。ロズと一緒に、居ます。バケモノになってしまったロズと。」
『くそっ、ミスった。全員でくるべきじゃなかった。少なくともカタラだけでも置いておけば。すまない、エリエちゃん。この件はあたしと後で話をしよう。とりあえず、会社に連絡をして武器を。あー、くそっ。すぐにはそっちに行けない。応援を』
「アカリさん。」
『どうした、エリエちゃん?』
「私に、任せてください。」
『エリエちゃ───?!』
電話を切った。
目の前のバケモノは、もうかつての仲間では無い。
そう、思わなくては。
会社の番号にダイアルを合わせ、連絡をする。
『はい、こちら、戦隊員第一番株式会社武器庫所属。』
「一班のエリエ・ゼレールです。武器を。」
『只今。』
手元に斧が出現する。
力一杯、それを握った。
「殺してやる。ロズも、ロズをこんなことにしたクソどもも!」
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まずは観察。
今回は会社の資料なんてないから、自分の目で見たことが真実。
どう来るか様子見しよう。
「ゔ、ゔぁぁあ」
右手だったもので薙ぎ払う簡素な攻撃。
相手は武器を持っていない素手。
これなら、すぐに決着が
バリバリバリバリッ
?!
床一面が凍る。
こんな時に能力持ちなんて。
氷で足が滑る。
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「エリエー!早くこないと時間終わっちゃうよ??」
「ろ、ロズ、なんでそんな速く滑れるの?スケートなんて私したこと無いんだけど。」
「まぁ、家族と行ったことがあるからね。」
「エリエちゃーん!!大丈夫??」
去年の冬、班のみんなでスケート行ったな。
ヤクモくん転びまくってたな。
アカリさん、とっても綺麗なフォームで滑るから、ビックリしちゃった。
カタラさん、地獄で鍛えてたんだって。
とっても得意そうだった。
ノアちゃん、結局最後まで滑らなかったな。
あぁ、なんでこんなこと思い出すんだろう。
今、目の前にいるのは理性も記憶もない、化け物のはずなのに。
左手が変形して銃になった。
銃なのは、ロズがスナイパーだったからなのかな。
足があのスケート場のスケート靴になってるのはこの記憶からなのかなぁ。
首にかけてある誕生日にあげたゴーグル、キツキツなのに、まだ首に残ってる。
あぁっ、戦いたくない。
元に戻ること、無いのかな。
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思い出すな。
今はコイツに集中だ。
視界が歪む。
涙なんて、流してる余裕はない。
こんばんは、作者です。
ゴーグルの設定、やっと出せて満足です。
今回もよろしくお願いします!




