Erie(エリエ)・Zelel(ゼレール)
目が覚めるのはいつも、病院のベッドの上。
そこで私は、つまらない毎日を送っていた。
親やお医者さんには絶対ダメって言われてるのに、外に出てしまった。
だって、ずっと病院にいてもつまらないから。
お絵描きも、本を読むのも、勉強をするのも、動画を見るのも、全部に飽きちゃった。
室内でやることはもう無い。
看護師さんの目を掻い潜る遊びや、ポスターに書かれていること、他の患者さんに挨拶する事。
全部が新鮮で楽しかった。
やっと外に出られて、久しぶりに外遊びをした。
新鮮な空気はとっても美味しい。
病院食なんかよりもずっと、ずっと。
少し遊んでたら、どこからか声が聞こえてきた。
おんなじくらい子の、泣きじゃくる声。
少し耳を澄ますと、すぐそばの茂みの中からだった。
近寄ってみると、ばっちり目が合った。
透き通るような青い瞳。
吸い込まれるぐらい綺麗だった。
「どうして泣いてるの?」
その子は何かの紙を強く握りしめていた。
「お、お母さんに、怒られて。こんな点数じゃダメだって。」
「何点だったの?」
「Aだったんだ。A+じゃ無いからって。」
「A?!凄いじゃない!私なんて、できてD+だったわ!今はもうテストすら出来ないけれど。」
「きみ、の名前は?」
「私はエリエ!エリエ・ゼレール!!あなたは?」
「僕は────ロズ。」
「ねぇ、ロズ。一緒に遊ばない?私、今看護師さんから逃げる遊びをしているの。私は頭が弱いから、どうしてもこのままじゃ見つかっちゃう気がして。手伝ってくれない?」
「君、病人なの?ここに来ちゃいけないんじゃ?」
「良いのよ!どうせ苦しいなら、たくさん遊んでいた方が身のためだわ!!」
「本人が言うなら。そうだね、どうやって逃げるの?」
「それを一緒にかんがえるのよ!!」
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「あー!!楽しかった!!ね、ロズ。また遊びに来てくれる?」
「勿論だよ!!僕も、君に励まされて勇気が出た。ありがとう!また遊ぼ!」
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「ロズ!!勉強教えてよ!!」
「どうしたのいきなり?!勉強嫌いって言ってたじゃん?」
「もしなおったら、ロズとおんなじ学校に通いたいの!!」
「!!わかった!!じゃあ基礎から始めよっか!」
「お願いします!!」
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「この手術が終われば、私も皆と同じになれるんだ!!そしたら、一緒に沢山遊ぼうね!!」
「うん、約束だよ!」
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「ロズくん、だよね。エリエから話は聞いていたわ。エリエと遊んでくれてありがとうね。」
「、、、、、い、え。こちらこそ。」
「きっと、あの子も喜んでるわ!」
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「何よこの点数!!!B+なんて、どうしてそんなに頭が悪くなったの?!あぁ、あの子ね。病人と一緒に居たからこの子まで頭が悪くなったんだわ。はぁ。」
「ごめん、なさい。」
エリエが居なくなって、僕は生きる意味を無くした。
僕は母親を、殺したいほど憎んだ。
エリエのことを否定するなんて、親でも誰であろうとも赦せなかった。
しかし、いくら憎んだとして、結果は変わらない。
エリエに会う方法を探して、たどり着いた。
エリエの所に行く方法。
気がついたら僕は、工具店にある縄とナイフを買っていた。
一言で良いから、お礼が言いたい。
「あの日、声をかけてくれて、ありがとう。」
って。
それだけじゃない。
僕は、君が、狂おしいほどに
ばっ、、、
ここ、は。
気がついたら、私は自室の天井を見上げていた。
全部、全部思い出した。
君は、私は。
あ、あぁ。
私はなんてことをしていたんだろう。
君がどんな気持ちだったか。
君は何を思って私に接していたか。
想像もつかない。
今となっては、何も、聞けない。
皆さんこんばんは!作者です!!
今回はエリエちゃん編でした!
エリエちゃんはロズくんとの記憶を無くしていたんですよね。
ロズくんは気づいていましたが。
これからも、『天使にへヴィメタルを。』をよろしくお願いします!!