八雲(やくも) 千歳(ちとせ)
はぁ、つまんな。
部屋に響くのは、ゲームのBgmと効果音、ゲーム機のボタンを押す音だけ。
コイツしぶとい。
三日間眠らずにやってんのに、中々攻略できない。
イライラしてきた。
はぁ、お腹空いた。
あ、ご飯無いんだっけ?
クビにされて、何日目だ?
課長、上司、同僚すべていい人だったのに、俺が無能すぎて皆俺に構って、社長からクビだと言われた。
その社長にまで、慈悲深くて手当てまで出してもらって、心配されて。
皆いい人すぎる。
クビにされるなんて、そりゃそうだ。
俺の同僚にこんなやつがいたらキレるね。
俺には生きる才能がない。
次の仕事探しても探しても、落ちるばかり。
このままじゃ、死ぬかもな。
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「命無駄にしすぎ!!!」
ん??
ここは?
「こんな奴、天国で久々に見たよ、もう。生きること諦めちゃだめ。君、悪いことなんもしてないしいい奴なんだけどさ、命の重みを分かりなさい!!罰として、百年転生禁止!!」
え、なんで俺死んでも怒こられてんの?
いや、命を無駄にしてた自覚はあるし、仕方ないのかも。
「え、俺、これからどうすれば?」
「はぁ。自分も怒ってばっかじゃ駄目だね。仕事しなきゃ。さ、パンフレット開いて、好きな場所選んでよ。」
空中に浮かんだ二つの選択肢。
まるで最近のゲームのようだ。
少しワクワクする。
『天使になって働く。』
『ここで天使になって地獄で働く。』
地獄で働くって、、選ぶ奴いんの?
地獄で会いたい人が居るとか?
ここは無難に
ポチ。ファン
おぉ、沢山の選択肢が出てきた。
明らかに光ってる選択肢がある。
「これは?」
「あぁ、今人員が超少ない仕事だよ。それ。時給よくて自分はいいと思うんだけどな。」
時給がいい!
ご飯が沢山食べられるのかな。
ポチ。ファン
「じゃ、行っておいで!!」
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───追い出された。
行く当てなんて無いんだけど。
「君、新しい班の人だよね!」
振り返ってみると、中学生ぐらいの小さい女の子がいた。
こんな子が俺より先に天国にいるんだ。
「あたし、カナグリアカリ!新しい戦闘員が来たって聞いて!!さ、此方!」
着いてきてってことだよね。
丁度いい。
行こう。
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「さて、また新入りだ。こちらはチトセ・ヤクモ。皆で支えてあげるように。」
「よ、よろしくお願いします。」
だんだん声が小さくなる。
ろくに挨拶もできないのか、俺は。
「じゃ、君は一班だから。仲良くするように。」
「はい。」
指を刺された場所に向かってみる。
「君がチトセくんね。あたし、さっきも紹介したけど、カナグリアカリ。アカリで良いわよ。」
「俺はカタラ。よっす!!仲良くしよーな!」
「エリエ・ゼレールです。よろしくね。」
あ、この人たち絶対いい人だ。
もし俺の不備で何かあったら。
そう思うと関わりたくなくなる。
「さ、武器選びに行こーぜ!!いやー、今日から四人班か。楽しくなるなぁ!」
「そうね!作業効率が上がるわ!!」
逆に落としちゃうかも。
「あの、や、ヤクモチトセです。ヤクモって呼んでください。お、俺、無能なんで、あんまり構わないでくだ、さい。」
「ヤクモくんね、了解。別に無能とか、どうでも良いわよ。ここは戦闘員第一番株式会社。強い奴が勝ち残っていくんだから!」
それができるか心配なんだけどな。
「とりあえず、武器選びに行こっか。」
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「ヤクモくん!!」
「はいっ!」
ダダダダッ、ダダダダッ
だ、駄目だ。
全然当たらない。
的に当てようとしても、銃口が衝撃でぶれてしまう。
結局、止めを刺したのはカタラさんだった。
それからも、何回も、何回も失敗しては励まされるの繰り返し。
やっぱり、俺に、この仕事は。
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?!
つめたっ!!
「ヤークモくん!!はい、水。」
「あ、アカリさんですか。やっぱ俺、かなり無能ですよね。足引っ張るし、銃もろくに扱えないし、アカリさんとカタラさんとエリエさんで毎朝練習してるのに、、一向に良くなる気配ないし。」
あぁ、会社の先輩に愚痴ってしまった。
印象悪いよな。
気分悪くなったかな?
「まぁ、正直言って、今の君は使えないわ。」
「・・・ストレートですね。」
「まぁね。でも、天使の寿命はない。今から沢山経験つめば、誰だって無能じゃなくなるわ!」
「でも、それができなかったら?俺がこの会社にいる意味が。先輩も困らせてしまうし。」
「だって、君まだ十年しかこの会社に居ないじゃない。先は長い。気長に頑張ってこ!はい、今からネガティブ発言禁止!!」
「アカリさん、ヤクモくん!!予約まで後二分も残ってないですよ!!」
「いーそーげ!二人とも!!今日は飲むって決めたんだからな!!!」
「さ、行こっか、ヤクモくん!!」
少し心の中が暖かくなる。
「はい!」
皆さんこんばんは。作者です。
今回はヤクモくん編ですね!
ロズくんが居ないのは、これより後にロズくんが入ったからです。
年が上なので、ヤクモくんはロズくんを「先輩」呼びしています。
これからも、『天使にへヴィメタルを。』をよろしくお願いします!!!