第三十二話
「ふぅ。意外といけましたね。」
「でしょ?”恥ずかしい”より”温泉気持ちい!”が勝つのよね。」
「やっぱ私は恥ずかしかったですっ!」
皆で感想を言い合いながら暖簾をくぐると、ちょうどカタラさんたちも上がってきた。
「おぉ!ぐうぜんですね!!」
「じゃ、俺ら行くから、後はよろ!」
あ、嵐かなにかか?
二人共、アカリさんとノアちゃんを引きずるように連れて、部屋に戻ってしまった。
沈黙が訪れる。
「え、エリエ、行こっか。」
「あ、うん。」
なーんかわざとらしい。
さっきの男の子の話を聞いたときのはぐらかし方といい、今といい、ぜっっっっったいに何か隠してる!
「ねぇ、ロズ。」
「はい?!」
声裏返ってるし。
「なんか隠してるっしょ。なーに隠してるんだ?オラ、吐け!」
胸倉をつかんで揺らしてみる。
でも一向に明かす気はないらしい。
何ならさっきより顔が赤い。
どんなことか気になるじゃないか。
「うぅっ、あっ!え、えっと、僕の話だよ!」
「ロズ???」
ロズの話って?
「えっと、エリエは、現世の記憶が少ないんだよね?」
「あー、うん。両親の顔と、八歳ぐらいの記憶まで。正直どうやって天国に来たのかも知らないし。」
「そんなエリエの為に、一例だけど、僕がどうやってここに来たのか教えてあげようと思って!考えてたんだ!」
ほう。
それはかなり興味がある。
ロズのよく分かってなかった部分だからな。
「まず、僕はアメリカで生まれたんだけど、両親がすっごく厳しい人でね。毎日苦しかったんだ。でも、そんなとき、天使が現れたんだ!」
「天使ぃ???」
一体なんの話だ?
それとロズが天界に来たのと何か関係が?
しかも天使って?
比喩?
まじの天使?
「うん。でもね、その天使も死んじゃった。僕はその子のお陰で生きてこれたのに。だから、その子を探すことにしたんだ。」
「探すって、え?死んじゃったのに?」
「うん。僕の希望の光だったからね。一言でもいいからお礼が言いたかったんだ。」
探すってどうやって。
「あ、もう部屋じゃん。じゃ、こっからは男女別部屋だし、この話はまた今度しよ!」
「え、まだ気になることが」
「じゃーねおやすみエリエ!!!」
ガラガラピシャン
「?????結局どうやってこっちにきたのよ?」
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あー、焦った。
まさかこの話をするのが本人だなんて。
顔赤くなかったかな?
大丈夫だったかな?
恥ずかしいからってさすがに、過去のこと踏み込みすぎたかな?
扉の後ろでうなだれる。
顔が熱い。
「───なんで君に記憶がないんだよ、エリエ。」
こんばんは。作者です。
今回もよろしくお願いします!




