9話 合宿START!
ずるずると引っ張ってしまってすみません
僕たちは合宿場に着いた。
この合宿場は国が運営しているので、おそらく多くの税金が投入されているのだろう。建物自体は少し古さを感じるが、それでも備品自体は綺麗だ。なんなら自動販売機まである。しかも4台。建物もかなり広い。だが、国営ということもあり、掲揚柱には常に国旗が掲げてある。そんなことはさておき、まずは学校行事お得意の『入館式』 この入館式の時間が勿体無いような気もするが、そこは目を瞑っておこう。
「いまから、入館式を始めます。司会を務めます一年三組の須野田です。よろしくお願いします。では、まず、国立少年の家の所長の湯野沢さんにご挨拶をいただきます。それでは、湯野沢さんよろしくお願いします。」
一人でどんだけ喋らないといけないねん。 そんなことを心の中で突っ込みながら、話している内容を右耳から左耳へと通過させる。一応、大切なところは心に残すように意識しながら。
今の心情を表すとしたら、
眠い。
眩しい。
帰りたい。
ゲームしたい。
でも、オリエンテーション合宿に来ているからには我慢するしかない。
「それでは、一組から自分たちの部屋に移動してください。」
やっと、ながーいありがたーいお話が終わり、部屋に行けるらしい。でも、一組からという事は自分の六組はかなり後だろう。
それから、待つこと10分ようやく
「六組さんも移動しようかー」
やっと、六組の移動のタイミングがやってきた。事前にしおりを見た感じ自分の部屋は自分を含めて五人で、一人は同じ中学の奴。もう二人は違う中学の奴。最後のもう一人は、今日の朝バスに置いていかれる直前だったあの富田だった気がする。ここに来るまでのバスの車内で富田とは仲良くなっておいたので、富田と一緒に部屋に向かうことにした。
部屋に着くと、ドアが普通に空いたので中に誰かいるのかと思いきや、誰もいない。鍵はかけていないらしい。まいいや。富田と一緒に部屋に入る。
入った瞬間、部屋の時が止まったかのように、静寂に包まれる。
うん。気まずい気まずい気まずい。
会話が全く弾まない。そういえば、コミュニケーション能力無いんだった。※初めて出会った人のとき限定
二人の気まずい空気が流れていると、他の部屋の人が入ってきた。
「宮野くん? で合ってる?」
「あ、うん」
なぜかこういう時だけ初対面の人でもタメ語になってしまう。悪い癖だ(?)
「とりあえず、よろしく」
「よろしくお願いします」
ふと、相手の顔を見ると、イケメンだ。最近のJKとかが使っているのかは知らないけれど、顔面偏差値とやらで考えると、61くらいありそうだ。多分モテている。いや、確実に。今日の朝確かに、超可愛い人とイケメンが二人で歩いているところを目撃していたのだ。俗に言う『リア充』
ネットの書き込みサイトとかではよく「リア充爆発しろ」とか「リア充〇〇」とか言われているのを目にする。だけど、そうやって人のことをすぐに批判したりするのは人間の良く無いところだと思う。
「あ、あと20分で晩御飯だ」
「おけ、ありがとう」
今、ここに到着したばかりで、とても夕食を食べれそうにない。噂によるとビュッフェ方式らしいから、少しずつだけ取って食べよう。
夕食を食べる場所に着いた。(何という名前かは知らん)クラスごとで時間が割り振ってあるとはいえ、一度に2クラス分の80人近くが一ヶ所に集まると、小さな大阪駅構内のようになる。
「な、富田」
「な、なに?」
「そ、その」
「・・・」
「一緒に食べようや」
「え?」
「え?」
「別に構わへんけれど、それをずっと言いたかったん?」
「うん」
「宮野ってかわいいなあ」
男子同士特有の茶化し方。お前は彼女か! そんなことを一人でツッコミを入れていると、さっきから、やけに視線を感じる。しかもフワフワした視線。もしや
「ね、宮野くん」
予想通り、若菜だ。今みんなは基本的に学校のジャージを着ているのだが、ジャージを着ている若菜もかわいい(変態発言)
「お! 若菜やん。どうした?」
「いや、宮野くんがいたから、つい」
かわいいか。え? そんなに最近のJKって男子に話しかけるのか??
「あ、いやそれだけ」
ま、こんな男子に話しかける用事はないよな。
「わかった。またな」
「うん!」
ピュアボイスで返事が返ってきた。今日の夜眠れるか怪しい。
夕食を食べ終わるとすぐにお風呂の時間になった。自分たちの部屋からお風呂までは遠い。だから、早めに部屋を出ないと行けない。ただ、問題が一つある。それは、お風呂に行くまでの途中で女子のフロアの横を通過しないといけないということ。誰かさんと会うと気まずくなってしまう。うん。
とりあえず、富田を風呂に誘い一緒に行くことにした。さて、問題のフロアに差し掛かった時に若菜ではなく、宮野に遭遇した。
「お、宮野久しぶり」
いやいや、数時間前にも会ってるんだが。
「阿野も今からニューヨーク?」
「ニューヨーク? 何言ってるの?」
この令和の時代のおいてこのダジャレは流石にまずかったか。でも、富田は阿野がいるからこそ声を出して笑わないものの、鼻では笑っていてくれていた。結局、このダジャレをなかったことにして、お風呂へと向かった。
その後は、何も起こることなく就寝時間を迎え、オリ合宿の1日目が終わるはずったのに・・・
この作品が良ければいいねやブックマーク等お願いします!