6話 テニスとの再会
最近、忙しすぎるんです...
俺は、小学生四年生から六年生まで。阿野は小学五年生から中学二年まで、硬式テニスのレッスンを受けていたので、一番できるスポーツである。
この硬式球を打つ音が懐かしい。中学の間は、ソフトテニスだったから、音に少し物足りなさを感じていた。音がやはり気持ちい。
「やっぱ、硬式テニスはいいなー」
思わず心の声が漏れてしまう。それに反応して阿野が
「それな、やっぱり、テニスは硬式でしょ!!」
この言葉で、二人のテニス部に入る決心が少し固まった。しかし、まだ、見学した部活の数が少なすぎる。もう少し見ておく必要があると思う。
「な、阿野」
「何?宮野?」
「今日は一旦帰って、また明日続き見学しようや」
「そやな、帰りコンビニにでも寄るか」
「お前は、金を節約しろ」
「いや、お金は遊ぶためにあるねんで」
「はい、帰りましょ」
「はい・・・」
本当に阿野は金を使い過ぎだ。すぐにゲーセンに行くし、少しは節約したほうが良い。そんなことを思いながら、校門へ向かって歩き出した。
「宮野くーん!!」
どこかで聞き覚えのある声。記憶に新しい声。今日聞いた声。この声は若菜の声だ。
「宮野くんも見学に来てたんだー」
ふわふわ系ボイスと美人な若菜のWパンチでやばい。
隣から、すごい険悪な視線を感じる。阿野が『お前、いつの間に女子と仲良くなってん?』と言いたいばかりのような目で見てくる。
辞めてくれ。
「そ、そうやねん」
普段女子と話さないから会話をするだけで、体温が上がる。いや、話す機会が無いと言った方が正しいのかもしれない。
「えー宮野くんもテニス部入るん?」
「今の所はね。そういえば、若菜もテニス部入るん?」
「うん、今の所はねー。女子はソフトテニスと硬式あるねんけれど、どっちの方が良いかな?」
それを俺に聞きますか? そんなん硬式としか答えるしかない。
「個人的には硬式の方が楽しいと思うけれどな」
会話を少し続けて、心と体温が落ち着いてきた。緊張で視野が狭くなっていたが、ふと若菜の周りを見ると美人と可愛い人しかいない。やはり、『類は友を呼ぶ』と言うように、美人の周りには美人が集まるようにできているのか。この世界はよくできている。見ているだけで視力が1.0になりそう。
「わかった!ありがとう!またね宮野くん!」
『ぐはっ』※可愛さダメージを受けた音
「ま、またね」
良かった。無事に挨拶をすることができた。
女子との会話はいつでも緊張するものだ。
ふと横を見ると阿野が
「お前、いつの間に女子と仲良くなってん?」
予想通りの質問だった。
「いや、今日体育館に行く途中で仲良くなっただけだから」
「ふーん」
信じてくれよ。友よ。
「と、とりあえず帰ろ」
「この話はお預けということで」
「はい」
これは説明するのが面倒だ。そんなことを思いながらカバンからスマホを取り出す。
俺の通っている西明高校は公立なので校内でのスマホの使用が禁止されている。たとえ緊急時であったとしてもだ。そのため、学校に入る時に電源を切り、出る時に電源を入れるというかなり面倒なことをしないといけない。ま、公立だからそこは割り切るしかない。スマホの電源をつける。
「阿野はもちろん家に帰るやろ?」
「え?宮野の家まで着いて行くけれど??」
まじか。ま、すでに知られているしいざという時のために訓練させておくか。そう思い、二人で俺の家まで歩き始めた。
学校から俺の家までは徒歩で約二十分くらいで着く。かなり好立地なところに家がある。帰り道の途中にはコンビニが二つあり、ラーメン店も2件あり、飲食店も多くある。なんなら、来月にはハンバーガー屋が新規オープンするくらいだ。
「な、宮野。ちょ、コンビニ寄っていい?」
「え? お金を節約しなさい」
「親のお金が入っているやつで買うから。」
「お前の親悲しむで」
「バレなきゃいいねん」
その通りではあるがな・・・
いやいや、宮野!お金は大切ですけれど? しかし、ここまでくると俺に止める権限などない。
「仕方ない、着いていってやるわ」
「まじ宮野神!」
阿野は条件反射のように言い、二人はコンビニへ入った。
コンビニへ入ると阿野はすぐにアイスコーナーへと向かった。
「どれにしようかなー」
小学生の頃から思っていたが、阿野はいつも幸せそうな顔をしている。どんな時でも。
「んー・・・ めぼしいのがないから、ここは唐揚げにするは」
「ご自由にどうぞ」
宣言通り、阿野はレジに行き唐揚げを店員さんに頼んで購入してきた。
「これがたまらなへんねん」
よっぽど美味しいらしい。日本語がおかしい。
「ほら、買ったなら早く帰るで」
そう言い、コンビニを後にした。
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