5話 HR終わり
今回もよろしくお願いします
席について、すぐに担任の藤原先生が喋り出した。
「今日は、色々と回収物がありますから、みなさんテキパキ動いてくださいね〜」
『テキパキ動けるかどうか先生にかかっていると思うんだが』大抵の人はこう思うだろう。自分たちは高校生だが、つい先月までは中学生という義務教育の期間内だったのだから、子供と一緒だ。それを仕切るのは大人である。
そう考えていると、
「まず、何を集めるんだっけ?」
おいおい、先行きが心配になる。せめて、把握だけはしておいてくれ。もしかして、藤原先生はマイペースな人なのかもしれない。
「あ、まずは就学支援の封筒を集めます」
良かった。何を集めるか思い出したらしい。
その後は止まることなく順調に進んでいき、回収物を一通り集め終わった。
「次は、オリエンテーション合宿の案内配ります」
オリエンテーション合宿とか、聞いただけでもめんどくさい。隣の人の名前すら知らない人がほとんどなこの状況で、数日間一つ屋根の下で宿泊しないといけないと思うと、ほんと嫌になる。唯一の救いは、合宿先が海の側だということ。
「オリ合宿は、明後日から3日間だからなー。準備今日のうちにしておけよ」
オリ合宿があるのは、合格発表の時に知らされていたが、存在自体を忘れていた自分は、もちろん用意なんかしていない。母に手伝ってもらうしかない。
「確認事項は一通り読んでおけよ」
かるーくだけ読んでこう。そう心の中で決めていると、
「はい、回収物は集め終わったので、今日やらないといけないことは終わりました。今日は、終わりにしましょう。部活動見学もあるし」
やった!!
思っていた以上に早く終わった。この後は、阿野と部活動を回ろうと約束している。確か、阿野との待ち合わせ場所は下駄箱にしたはず。『早く、下駄箱に向かおう。』そう思い、教室を後にした。
下駄箱につくと、先に阿野が待っていた。
「遅いぞ、宮野!」
遅いか?。いやそんなはずはない。何しろ担任が早く終わりたがっていたから、相当僕も早いはずだ。
「これでも、ダッシュできたんやけど?」
「遅い」
「悪かったって」
とりあえずの謝罪をしておく。親友なので、謝罪と言っても形だけに過ぎないが。
「じゃ、見学しに行くか」
「そやな」
まずは、何部へ行こうかなと考えると阿野が
「商業部行かへん?」
と聞いて来たので、断る理由はない。
「じゃ、そうしよ」
と言い、俺と阿野はまず『商業部』へ向かった。
商業部につくと、明らかな暗くて思い空気が教室周辺をまとっていた。生徒同士で会話をする声もなく、淡々と先生が話し続けるだけ。その教室の時が止まっているような感覚に陥った。阿野はコミュニケーション能力が高く、どんな状況でも先生に質問や挙手ができたりする。なんなら、女子の大群にすら、話しかけられる勇気があるくらいだ。その阿野ですら、
「な、宮野」
「な、なに?...」
「この部活辞めとかね」
キッパリこの部活動は無いと切った
「そやな、次の部活行こう」
「うん。あの部活は嫌な予感する」
僕たちは早々に、教室を去り次の『マンガイラスト部』へと向かった。
『マンガイラスト部』に着いた。教室のオーラがすごいキラキラしている。なんか教室に入りにくい。でも、そんな状況でも阿野は遠慮なく教室に入っていく。予想通り、教室の中は女子しかいない。それも、さっきの商業部みたいに雰囲気が暗くない。みんな明るいタイプの人達だ。俗に言う陽キャと呼ばれる人達だと思う。
「お!見学の人!?!?」
僕は、少し小さくなってしまう。そこで、そこで阿野が答える。
「あ、そうです。どうな感じかなーと思ってー」
「そうか、ゆくっり見ていってなー」
意外とあっさり会話が終わった。でも、この部活に入ることは無いと思うが、一応どんな感じか見ていこう。
何しろ、自分はアニメが好きだから、イラストを描ける人はすごいなと尊敬している。並べられた机の上に、十冊近くの手作りの本が置いてあった。中を見ると、手書きの絵が多数あった。どれもクオリティが高い。(時々、変な絵が入っているが...)
「僕、こんな絵描けないわ」
「それな」
「次のところ行かへん?」
「そうしようか」
僕たちは、一応の挨拶だけして、『マンガイラスト部』を後にした。
次の『男子硬式テニス部』へと歩いていると、阿野が突然、
「そういえば、宮野って一人称が『僕』の時と『俺』の時があるよな。」
「確かに」
中学の頃から気づいてはいたが、特段気にしていなかった。気にしていなかったからこそ、迷う。
「どっちの方がいいんかな?」
「そりゃ、『俺』の方がいいでしょ」
「やっぱりそうよな・・・」
「『俺』で統一するわ」
「うん、そうし、『僕』ってなんか子供っぽいし」
「でも、『僕』の言い方は子供っぽいし、かといって『俺』はなんかこう...」
「わかる、その何ともいえない感じ」
一人称がこんなにも難しいのはおかしい。女子なら、一人称は『私』で完結する。子供っぽくもないし、『俺』のような何かを感じることもない。そんなことを思いながら歩いてると、『男子硬式テニス部』の活動しているテニスコートに着いた。
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