3話 入学式まで
今回もよろしくお願いします
この高校は、構造が複雑だ。案内板を設置して欲しいくらいだ。担任すら、理解しきっていないところがどうやらあるらしい。
おいおい、この担任大丈夫か。そんなことを思いながら、体育館への道を歩く。
教室から、遠い。遠すぎる。
「これ、迷子になるやつだ」
独り言が漏れてしまった。恥ずかしい。
そんな気持ちを裏腹に、名前の知らない同じクラスの人が話しかけてきた。
「それな」
いやいや、お前誰だよ。
そんなことを思い、勇気を振り絞って名前を聞いてみる。
「名前、なんていうの?」
「ああ、自己紹介がまだだったね。私の名前は室田若菜よ」
「室田さんよろしく」
「若菜でいいよ」
まさかの、名前呼びの承認!? 大歓喜。女子の下の名前を呼ぶなんてこと、僕がしていいのだろうか。少し疑問に思いながらも
「わかった。じゃあ、若菜で呼ぶね」
「よろ〜」
高校での女子の友達が一人増えた。これで、一旦は高校生活安泰。そんなことを思いながら、歩いていると、若菜に声を掛けられた。
「宮野ってどこ中学なん?」
予想していない質問に驚きを隠せない。
「能原中やで」
「そうなんや、私は谷部部中やねん。周りなんにもない田舎でさー、毎日電車に乗って来てるねん」
「そうなんや、大変やな〜」
谷部部中学は本当に田舎だ。僕も、一回近くを通ったことがあるけれど、周りには田んぼしかない。公共交通機関があるかすら怪しいくらいだ。
その後も、若菜との会話は続いた。話しているうちに、体育館に着いた。
最後に一言いうとしたら「若菜めっちゃ美人…」ということ。
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