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12話 心臓バクバク

よろしくです

もうこんな時間か。時計を見ると時刻は八時半を指していた。

九時からはカッター研修のプログラムが組んである。オリ合宿のしおりを確認しながら、着々と準備を進めていく。なぜか、他の同じ部屋の人(富田とみたを除く)は居ないが、気にしないでおこう。

集合時間の二十分前に富田と共に準備を終わらせ、集合場所へと向かおうとしたとき

「じかん やっべ!」

そう叫びながら二人組が勢いよく部屋に入ってきた。自分の部屋のもう二人だ。

「二人とも、もう準備できてるん!?」

準備どころか、もう集合場所に行こうとしてるところだ

「いまから、集合場所に行くところ」

「まじか 俺ら遅れてたら、『トイレ行ってます』っていっておいてくれへん?」

ここにきて嘘をつくことになるとは(万が一の時だけだけれども・・・・・・)

でも、ここで協力しないと後々の交友関係に亀裂が入ってもらっては困る。

「わかった」

と返事だけして、僕と富田は集合場所へと向かった。


集合場所に着くと、だいたい半分ぐらいの人が来ていた。事前に決められているカッターの座席と同じ番号を探して、自分のところに座る。

「あ! 宮野くん」

この声。若菜わかなしかない。顔を上げると、今日の朝ご飯を食べていた時にも若菜の隣に座っていた人と一緒にいた。気まずい。

「若菜 どうしたん?」

「宮野くんも同じ船だったんだね」

「そうみたいだね」

「名前を知らなかったから、全く気づかなかった」

「そういうもんやで 人というものは」

まずい、ついつい話し過ぎてしまった。隣の人からの視線が痛い。

「みっちゃん そんな怖い顔しないの」

この人はみっちゃんというのか。ここで若菜が付け足すように

「紹介するね、私の友達の沖野おきの千春ちはるちゃん!」

沖野さんの顔を見ると若菜に圧倒されている

「よ、よろしく・・・・・・」

「こちらこそ」

とりあえず、返事はしたもののこの三人で話すとか気まずすぎる。誰か来てくれ。頼む。


十分後。結局誰も来なかった。いや、来れなかったと言った方が正しいかも知れない。若菜の明るいオーラで多分周りの人を呼びつけなかったんじゃないかなとと思う。

そんなことを考えていると、この家の職員の人が

「いまから、カッター研修を始めます。まずは注意事項を説明す流ので後ろの船のあるところに移動してください。」

だんだん実際にカッターに乗る時間が近づいてきていることを実感した。

いやだ。やりたくない。

説明だけはしっかりと聞いておこう。


説明を聞き終えて、ライフジャケットを装着する。自分にぴったりのサイズがなかなかない。大きいのか、小さいのかしかない。我慢しよう。とりあえず装着してみる。装着の仕方が合っているのかがわからない。ここは、しっかりと聞いておくことが大切だろう。そう僕は思い職員の人に

「これであってますか?」

と尋ねた。もちろん返事は即答で

「あってますよ」

本当にか? ま、合っているというのなら合っているのだろう。この人の言葉を信じよう。

普段乗る機会のない船ということもあり、実際にかなり緊張している。心臓がバクバクと音を立て、血管が広がっているのを感じるレベルである。

「みなさん カッターの乗り場へ移動しますよ」

いよいよついにだ。緊張する。ここから、乗り場までは歩いて十分ぐらいの所にあるらしい。


カッターの乗り場についた。

ボートはAからKまである。自分のボートはK。つまり、乗るのは一番最後になるだろう。

「Aボートの人から順に乗っていきますよ」

予想通り、Kは一番最後だった。と結論を出そうとした時に

「Kボートの人も乗り始めますよ」

おいおいまじかよ。予想と違う。本当は他の人が乗るのをみて乗り方を学んでから乗りたかったのに、学ぶ時間がないじゃないか。

あっという間に、自分の乗る番がきてしまった。どうしようか。とりあえず、事前に学んだ通りに乗ろう。


船を少し揺らしてしまったが、無事に船に乗ることができた。

自分の席に座ると、

「なんか、乗る時足震えてたで」

こんなことを言ってくるのは富田か若菜くらいだ。しかも、富田はまだ船には乗っていない。つまり、若菜だということが確定した。

「宮野くん もしかして、不器用?」

どうしてバレた。多分そのくらい足が震えていたのだろう。

「おっしゃる通りで」

「やっぱり!」

とても嬉しそうに言うが、何がそんなに嬉しいのだろうか。

そんなことを思いながら話していると

「出航しまーす」

いよいよ出航らしい。

「宮野くん! いよいよだね」

この船の上でその話しかけ方はやめてくれ。他のみんなが明らかに誤解している。

せっかくなら次は、綺麗な海をみたい気分ですね

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