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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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夜襲

江戸城を出発し、入間川(隅田川)を渡河し、葛西城を守る豊嶋泰明と平塚基守の兵と合流した後、利根川を渡り陣を敷く。


利根川を渡河するにあたって、泰明も基守が利根川を渡河しては退路が失われると反対したが俺の一存で強行した。

渡河途中の敵を攻撃するのが常道だが敵が渡河を躊躇えば対陣が長引く。

そうなると関東管領である上杉顕定や扇谷上杉定正が兵を挙げる可能性があるので短期決戦をする為には渡河をして迎え討つしかないのだ。


とはいえ陣を張って待ち構えるだけでは芸がないので騎馬兵300人を選出し100人一組として軽装で夜に出陣させる。


目的地は大野城(市川市大野町付近)、曽谷城(市川市曽谷付近)、小栗原城(船橋市本中山付近)の3城、騎馬隊には一気に城へ向かい投擲型滑液包炎を投げつけて即離脱するように命じている。

まあ一言で言うと千葉家への挑発だ。


挑発に乗って攻めかかって来てくれれば古河公方の軍が来る前に撃退し戦力を削れるし、挑発に乗らなければ他の城へも投擲型滑液包炎を投げつけるまでだ。


それにしても陣を張った場所が史実では国府台城となる場所とは…。

うん、狙って陣を張ったんじゃないよ。

ただ防衛しやすい場所に陣を張ろうとしたらそこが国府台城となる場所だっただけだ。

この合戦が終わったらここに城を築こう!!


国府台に近い曽谷城の城主である曽谷重胤は豊嶋軍が国府台に陣を敷いたとの報をうけ、千葉孝胤が到着するまでの間は籠城をするつもりでいた。

城に籠る兵達も、たった400程の曽谷の兵だけでは豊嶋軍に攻めかかれば全滅する事を理解しており、家臣達も誰一人打って出ようという者は居なかった。


「なあ、豊嶋の軍が国府台の台地に陣を作ってるって言うが、流石に夜襲は無いだろ…、昼過ぎに渡河したんだぞ、なのに夜間の警備を厳重にしろって」

城門から少し離れた場所に作られた柵を守る足軽が、篝火を背にしながら仲間の足軽に声をかける。


「夜襲は無くても明日にはこの城に豊嶋の兵が攻め寄せて来ないかが心配だ。 何でも豊嶋の兵は8000近いって言うぞ、こんな小城に籠っても一日も持たないだろ。 攻め寄せてきたら俺は逃げるぞ。 豊嶋の兵は敵なら降伏しても容赦ないって言うからな」


「ああ、公方様が負けたって言う合戦か? 確か降伏した10000近い人間を撫で斬りにしたっていうしな」


「おい!! 無駄話をするな、敵が夜襲を仕掛けてきたらどうするんだ!!」

「組頭、夜襲をかけて来たら逃げるしかないでしょ。 無駄死になんてまっぴらですぜ」


「貴様!! 戦う前から!! 曽谷家に仕えて10年、殿は飢えに怯え村を捨てて逃げて来た俺のような者でも忠勤に励めばさしたる武功が無くとも組頭に取り立ててくれる程。家臣想いのお方だ、お前達もご恩に報いる時ぞ!! 城自体も小さいが、1000や2000の兵で攻められても領主様の指揮の元一丸となって戦えば10日や20…、ん?」

「組頭?」


30代ぐらいであろう組頭の説教が急に止まった事に訝しんだ足軽が声をかけるが、組頭の視線は城近くの武家屋敷の方を向いている。

「組頭、どうし…」


組頭の視線を追うように足軽達が武家屋敷の方を見ると、ポツポツと暗闇に火が浮かび出したと思った直後、一気に複数の火とその光に照らされた騎馬の一団が浮かび上がる。


「て、て、てきゅちゅゅぅ~~~!!! や、や…しゅ…」

組頭が敵襲を知らせようと声を上げるが、気が動転し呂律が回らず、大声も出ない。

そして火を片手に持った騎馬の一団が城に向かって突撃を開始されるとその場で腰を抜かし、這うように城へ向かって行く。

足軽達も目の前の光景にただ立ち尽くし、騎馬が突撃を開始すると我に返り逃げようとするも足がもつれその場に倒れ込む。


突撃をして来た騎馬の一団は、その場で動けない足軽達には目もくれず散開する。

足軽達の目には頭上で火を回し勢いを付けて、城門や空堀を隔てた先にある塀、城内の建屋に向け火を投げ込むと何かが割れる音がし、直後火が燃え広がっていく光景が広がっている。


這うようにして城に逃げ込んだ組頭が敵襲を伝えたのか、火が燃え広がると同時に城内で数回「敵襲~~!!!」との声が聞こえ、城内が喧噪に包まれた。

一度に複数個所から火が上がったのを確認した騎馬一団はそのまま城を攻めることなく走り去っていくが、その一団を追うように兵がばらばらと城から飛び出して行ったが、そのまま何処かへ消えて行った。


放火された城の城主達は昼間に豊島軍が渡河をし陣を張った事を知り城へ兵を集めてはいたもののまさかその日の晩に襲撃されるとは思っていなかった。そのうえ、騎馬の一団は投擲型滑液包炎を城へ向け投げると即座に走り去り、その追撃のため城を飛び出した兵は戻って来ていない事を聞かされ、そして焼け落ちた城門や塀を見て最早籠城は不可能と、残った兵と家族を連引き連れ、城から逃げ出した。


夜が明ける少し前、各城を襲撃した騎馬隊が、誰一人怪我をする事も無く戻ってきたので食事を用意し休息を取るように命じた後、叔父の泰明の元へ向かう。


「叔父上、日が昇る迄には兵を率いて出陣をして頂きたい」

「今からか! 承った!! だが何処を攻めるのだ? 今宵焼き討ちをかけた城か?」


「いえ、小城など捨て置いてくだされ、攻めるのは佐倉よりこちらに向かってきている千葉孝胤の軍勢、まもなく上総の真里谷信勝の軍が合流すると思われますがどちらにせよ、軽く煽って来て頂きたい」

「煽る? 攻めるのではないのか?」


「軽くひと当てし、敵が追ってくれば引き、止まればまたひと当てし引く感じで煽り、ここまで敵を引き付けて頂きたいのです。 某の兵2000と武石信康をお預け致しますので叔父上の兵と合わせて約2700程、うまくやれば千葉孝胤の軍勢を釣れるかと」

「なかなか難しい事を…、ワシは小難しい事が苦手なのを知っておろうが」


「そう申されますな叔父上、簡単な事にござる。 江古田原沼袋のおりに叔父上が道灌の兵にされたような事をして来るだけにございます。 ただ今回は兵数が多いのでやり様によっては首も数多獲れましょうぞ。 敵の物見はここに居る音羽半兵衛が率いる風魔衆の乱破組150人が狩ります故、それに半兵衛は将としても兵を指揮できますので必ず役に立つはず」


叔父である泰明との会話を聞いていた音羽半兵衛が恐れながらと泰明に策を伝えている。

音羽半兵衛の話を聞いた泰明は悪戯の仕方を教えられた童のような笑顔になり、そして笑いだす。


「面白い!! 面白いぞ!! 相手がワシであれば首を刎ねるまで地の果てまで追っていくぞ!!」


いや、あんた、それが原因で史実では江古田原沼袋の合戦で討ち死にしてるんだからね!!

地の果てまで追って行くって言う自分の物差しで他人を計らないで…。

今や豊嶋家一門の中で父である泰経に並んで筆頭格なんだから。


家臣を呼び直ぐに出陣の支度をするように命じ、泰明は音羽半兵衛と悪い顔をしながらあれやこれやと策を立てている。


俺と風間元重がその光景を眺めつつ苦笑いをしているが多分、俺達も策を練っている時はあんな顔をしてるんだろうな…。

誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

宜しくお願い致します。


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