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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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豊嶋家の庇護

平井城より岩槻に戻った太田道灌は一旦、弟の資忠が城主である岩槻城に滞在していた。

「兄上、豊嶋を監視せよとの命に従う振りをしておけば良いだけで、2000貫の土地を断らずとも良かったのでは?」

「資忠。以前、豊嶋憎しと思っていた頃のワシなら喜んで命を受け、攻める為の大義名分を作る事に奔走したであろう。 だが共に幸手原にて戦い、宗泰殿と話し、今は所領を奪われた憎しみは無い。だが土地を与えられれば命に従う義理が生じる。 土地だけを受け取り、命に従わないとなれば不義理となろう」


「何を申される。 不義理と申すなら関東管領上杉顕定様の方こそ不義理ではございませんか! 此度、幸手原で古河公方足利成氏の大軍を撃退し、多数の首を挙げ、大打撃を与えたのは宗泰殿の援軍と策があったからこそ。 にも関わらず、その宗泰殿を重用するならまだしも攻めようなどと!!」

弟である資忠の言葉はもっともではある。

なぜなら長尾景春の乱の際、上杉顕定に従う振りをし密かに景春と通じていたのは豊嶋家だけでなく、多くの国人衆も同様の事をしていた。

にも関わらず豊嶋家を目の敵にし、なぜ攻め込む大義名分が欲しいのかが分からない道灌は、口を噤んだまま庭に目をやる。


「何者だ!!」

庭に目をやった道灌が違和感を感じて声を発すると、資忠は太刀を手に取り身構える。


「失礼致しました。 某は長尾景春様の手の者。名は名乗れませぬ故ご容赦ください。 それと某は景春様より密かに道灌様にお会いし、お言葉を伝えるよう命を受けて参りました。」

「景春殿の手の者が昼間から我が城に忍び込むとは、景春殿は何を企んでおる! 返答次第によってはこの場で斬る」

太刀を抜き、忍び込んだ者の首に刃を当てた資忠が睨み付けるが、動じた様子もなく、静かに景春から伝えるよう言われた内容を口にする。


「景春様は道灌様を害するのを止めるよう顕定様と定正様を説得しましたが、お2人を翻意させること叶わず。なれば道灌様にこの事をいち早く伝えよと某に命じられました」

忍び込んだ者の話を聞いた道灌は顕定と定正の顔を思い浮かべながら、自分を殺そうとする理由が思い浮かばず、困惑した表情を浮かべる。


「資忠、刀を収めよ」

「兄上!」


「よい、大丈夫だ。それにワシを討とうとしに来たのであれば、堂々とその事をワシの前で話すまい。 恐らく本当に景春殿の手の者であろう。 して其方は顕定様と定正様が何故ワシを害そうとしているか聞いておるか?」

「申し訳ございませぬが、某はただ景春様のお言葉を伝えるよう命じられたのみ故、分かりかねまする」


「資忠、この者は景春殿が遣わした者で間違いない。誰にも気づかれぬよう密かに城から出してやれ」

「しかし兄上!」

まだ疑っている様子の資忠に道灌が諭すよう理由を説明し、刀を収めさせる。


「景春殿に道灌が礼を申していたと伝えてくれ」

「かしこまりました」

そう言うと景春の手の者は庭から堂々と歩いて出て行った。


「兄上、先ほどの者の話が本当な…」

「資忠、それ以上は言うな。 あくまでも顕定様と定正様はワシの命を狙っておるだけ、其方が関われば太田家に類が及ぶ。 ワシは明日にでも城を出て諸国を巡る旅に出るゆえ、ワシに万が一の事があったとしても馬鹿な事はするでないぞ」


「何を申される!! 兄上あっての太田家ですぞ!!」

真顔で話す資忠に苦笑いを浮かべた道灌が、父が健在で新たな当主の後見となっており、太田家は大丈夫だと諭し、当主となった弟を助け、太田家を盛り立てるように伝える。

まだ納得がいかない顔をする資忠はブツブツと何か言っていたかと思うと、急に顔を上げ道灌の顔を見た。


「兄上!! いっそのこと豊嶋家に身を寄せてはいかがでしょうか? 恐らく顕定様と定正様も密かに豊嶋を攻める大義名分を作ろうとしているのを知られたくない為に兄上を害そうとしているのです。 なればその豊嶋家に身を寄せれば兄上にも豊嶋にも手出しできなくなるはず」

「まて資忠! それでは宗泰殿に迷惑がかかる。 それにワシは以前豊嶋家を滅ぼそうとしていたのだぞ!」


「以前は以前、今は今でござる。 宗泰殿にとって兄上は義父、故に所領を持たぬ兄上が身を寄せたとしても、何ら不自然ではありませぬ。 宗泰殿にとっても悪くない話にございますれば、受け入れてくれるはず。 そうと決まれば今すぐ宗泰殿に書状を送りまする!!」

「ま、待て…」


道灌が止める間もなく、資忠は席を立ち出て行ってしまった。

追いかけようと腰を浮かせかけた道灌はため息をつきながらも、自分が豊嶋家に身を寄せた場合の事に考えを巡らせた。


資忠からの書状が江戸城に居る俺の元に届き、承諾する旨の返事を送った3日後、道灌が江戸城へやってきた。

資忠が考えたのか道灌が考えたのか…。まさか嫁いだ娘の懐妊した祝いという名目で、祝いの品とそれを護衛する兵100人を引き連れて来たというシナリオだが…、ハッキリ言おう。照は懐妊していない!! 

というか勝手に懐妊させるな!! 

といった感じだ。


まあ書状で大まかな理由は聞いていたので、あえて道灌本人にツッコまなかったが、祝いの品が入っているはずの長持の中身は道灌の私物だけって…。

せめて自分の娘に土産ぐらい持って来いよ!!


誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

宜しくお願い致します。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 視点が変わるなら段落を増やして目視で推移が判断できるようにする、もしくは罫線を引く等欲しいかも? 脳が混乱して少し読むのに手間がかかるだけなので面倒とかなら別に大丈夫です 更新頻度のほ…
[一言] まあ勝ち目がない相手で、舅という立場なら 転がり込むわな。嫁入りした時点で予測はしてた
[一言] 道灌来ちゃったね
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