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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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来訪の理由

「宗泰殿、此度某が参ったのは三浦家と豊嶋家の間で同盟を結びたいと思った為、直接話をしに参ったのだ。

昨年の合戦で三浦家も豊嶋家も所領を大幅に拡大した。 恐らく今後、それを良しとしない者達が何かと絡んで来るであろう。 それをさせぬための同盟だ」

「確かに、所領を拡大したのを良く思わない者は多いですね。 実際、既に豊嶋家は関東管領上杉顕定様に目を付けられているようですし…」


「それは致し方あるまい、交渉に行かした三崎信重の話では顕定様の使者を相当手玉に取ったと聞いておる。 まあ使者自体も未熟であったようだが顕定様の怒りも相当であったと聞くからな」

「いや…、あれは道真殿のお力添えがあったおかげ、使者も道真殿の言葉に流されたと言う感じでした。 それにしても三浦家と豊嶋家で同盟を結ぶとなるとそれこそ横槍が入りそうですが…」


現状、武蔵の国で一大勢力となった豊嶋家と、相模の国で一大勢力となった三浦家が同盟を結んだとなれば恐らく関東管領上杉家だけでなく、相模に本拠を置く扇谷上杉家、更には反乱を起こしている長尾景春からも第三勢力の台頭と見なされる恐れがある。

恐らく無いとは思うが、関東管領上杉家と長尾景春が和議を結んで豊嶋、三浦両家を潰しにかかってくる可能性も無くはないので現状、同盟を結んで下手に刺激をしない方が良いようにも思える。

だが同盟を結ぶ事で仮に関東管領と景春が和議を結んだとしても下手に手を出せない勢力になるので早々合戦になるとは思えないし、道灌から奪った領地を返還せよと再度言って来ても強気で断る事が可能になり、しかも三浦家に従う海賊衆と繋がりを深めノウハウを吸収する事で豊嶋海賊衆を組織する事も可能になり更に交易がしやすくなる。

実際、江戸城近くに建設中の新たな江戸湊には造船所を作り、既に三浦家から派遣された船大工指導の元、ガレオン船に近い船の建造を始めているから船乗りとしての技術は捨てがたい。


「一つお伺いしたいのですが、仮に豊嶋家と同盟を結んだ後、扇谷上杉家、関東管領上杉家と敵対した場合はどうされるのでしょうか? ご存じの通り豊嶋家は両上杉家から良く思われておりません、後々合戦となる可能性もあるかと思いますが」

「その懸念は尤もだ。だが既に腹は決まっておる。 元々関東管領上杉家とは繋がりはなく、扇谷上杉家に形式上従ってはいるものの高救親子が逃げ出した後関係は悪化している。 言うなれば三浦家も扇谷上杉家から良く思われていない以上、合戦となれば受けて立つのみ!」


何故か凄く力の籠った発言だが、その後話を聞くとどうやら高救親子が逃げ扇谷上杉家の当主上杉定正に色々吹き込んだらしく、今回の高救の出家、隠居も時高が仕組んだことになっているらしい。

まああながち間違ってはいないが…。

それに加え、時高の娘が嫁いでいる大森家の当主が捕らわれているにも関わらず豊嶋との交渉で一切大森家の話を出さず、結果大森家が今後どうするかで混乱し内紛になりかけた事を定正から書状で叱責されたらしい。

当然、解放された大森実頼も三浦家の対応に怒りを爆発させ嫡男に嫁いでいた彩姫を離縁させ送り返したらしい。

それだけならまだしも送り返された彩姫から大森家での扱いを聞き、今度は時高が怒りを爆発させたようだ。

この時代、女性は色白でふっくらした体形、顔付きが美しいとされているが、彩姫はスレンダーで色白とは言い難い肌の色という事で大森実頼の嫡男である定頼は見向きもせず、小田原城内に家を建てそこに住まわせており、初夜すら同衾していなかったらしい。

これを聞いた時高は大森家が言いがかりをつけ離縁したと思い込んでいるようだ。


「宗泰殿、今や三浦家は多摩川まで所領を拡大している。 そして豊嶋家も荏原郡を手中に収め多摩川の対岸を抑えている。 多摩川を挟んでいるとは言え所領が接しておる。 強固な同盟を結んだ両家を敵に回そうと思う者はそうそう居まい。 これは両家の所領を守る為に必要なことぞ!!」

「確かに、多摩川を挟んで所領が接しているおかげで境界争いなども起きず、両家にとっては良い話ではあります。 しかし同盟を結んだとなれば豊嶋家は長尾景春から時高殿が手にした所領を返すよう求められ、三浦家は扇谷上杉家から豊嶋家が手にした所領を返すよう求められる可能性がありますが、時高殿は無視をされるおつもりですか?」


「ワシは無視をする! と言うよりも既に豊嶋家の所領は関東管領が事実上認めた形となっているので問題は無い!」

「左様でございますか。 それを聞いて安心しました。 それで同盟を結ぶとして、どのような同盟を結ぶおつもりですか?」


「どのような同盟? 同盟と言えば所領の不可侵、人の行き来の保証、合戦の際の援助であろう?」

「確かにそうなんですが、同盟を結んだと言うだけではどのような同盟なのか? どの程度本気の同盟なのか周囲は分かりません、なので軍事経済同盟と銘打って同盟を結ぶのが良いかと」


軍事経済同盟、この時代は同盟を結んでも家の都合によって一方的に破棄し敵になるなんて普通の時代だから同盟を結んだと言っても周囲が付け込み亀裂を入れようとして来るのは目に見えている。

だったら何の同盟かをハッキリとしておけばこの同盟の本気度も分かるだろうから付け入る隙を与えない事が出来るような気がする。

だが三浦家も豊嶋家も戦国大名化は出来ていないので国人衆を調略し内側から崩そうとするだろうけど…。


「ではこの同盟は軍事経済婚姻同盟だな! これを世間に公表すればおいそれとは付け込んで来るものもおるまい!!」

「時高殿、最後になんかついていましたが…、これは豊嶋家と三浦家の軍事経済同盟では?」


「いや、軍事経済だけでは弱い!! 故に婚姻関係を持ち三浦家と豊嶋家が姻戚になる事でより強固となろう! どうだ宗泰殿、彩を娶って貰えるか? 歳は16と宗泰殿より上だが、幸い大森定頼は手を付けてないゆえ無垢な女子じゃ。明るい性格でそれでいて気立ても良い、宗泰殿にとっても悪い話ではあるまい」

「いや、某は既に道灌の息女である照を娶っております。 道灌の父である道真殿が目に入れても痛くないという程可愛がっている孫娘です。 その照が居るにも関わらず彩姫を娶るとなると、道真殿の怒りを買うかと…」


「うむ、その事なら問題はない! 宗泰殿と照殿の事は調べておる。 既に道真殿とは書状でやり取りし良き縁談だと返事を貰っているからな」


道真のジジイ!!

なにを人の知らない所で縁談を認めてるんだよ!!

ていうか照が居るのに良い縁談ってどう事?

時高はどんな書状を道真に送ったんだ?


「しかし、そうなると照を正妻とするか彩姫を正妻とするかで時高殿と道真殿、ひいては三浦家との同盟関係にも関わって来るのでは? 時高殿には申し訳ないと思いますが、某は照を正妻から外すつもりはございません。 彩姫を娶ったら、2人とも正妻とし上下を設けるつもりはありませぬが、それでは時高殿をはじめ三浦家の方々が納得されないと思われますが?」

「それを聞いて安心した! 道真殿も宗泰殿はそういうだろうと言っておったのでな、既に三浦家の者達には照殿と彩を上下無く同等に扱う事で婚姻を結ぶと伝えておる。 三浦家の者も皆納得した上での婚姻であるのだ」


なにそれ…道真のジジイ、俺の性格を読んだうえで話を進めた? というか逃げ道を塞いだ?

この時代は正妻とは別に側室とか大勢の女性を嫁にするのは普通だからその辺は転生のご褒美と思ってたけど、正妻が2人、しかも上下は無しなら家のメンツとか気にしないの?

俺がおかしいのか?

戦国時代に馴染んだつもりだったけど、よく分からん事だらけだ…。


誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

宜しくお願い致します。


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[気になる点] いや…、あれは道真のお力添えがあったおかげ、 使者も道真殿の言葉に流されたと言う感じでした。 ↑ 最初の道真に殿がないのはミスですか?
[良い点] 執筆お疲れ様です。楽しく読ませてもらってます [気になる点] 「それは致し方あるまい、交渉に行かした三崎信重の話では【随分と】顕定様の使者を【相当】手玉に取ったと聞いておる。 まあ使者自体…
[一言] > ガレオン船に近い船の建造 綿の布帆が記録に残るのは、織田信長の鉄甲船から。 大型船は、竹など編んだ網代帆(あじろほ)※笹帆とも言う 小型船は、藁など編んだ筵帆(むしろほ)※麻紐を使った…
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