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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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新兵器

■1488年夏 秩父某所


「殿、お暑い中遠路ようそこおいで下さいました」


「遠路…か? 入間川を船で遡上した故、遠路ではないが…。 それはさておき出迎え大儀!」


鉢形城の上座に通されると、技術省長官の板橋頼家を始め、秩父に所領を持つ風間元重や風魔衆の幹部達に出迎えられる。

一通り挨拶を受けると早速、秩父にまで足を運んだ本題に入る。


「それで頼家、例の物は完成したか?」


「はい、琉球を経由し、明より仕入れました良質な燧石と、殿よりお預かりしました図面を元、試行錯誤を重ね遂に火縄の要らぬ鉄砲が完成いたしました。 なれど、筒の長さが通常の鉄砲と同じ物を作るのは当然として、筒の長さを短くした物までとは…」


「筒の長さが短い鉄砲は命中率も射程も短い。 合戦の場で役に立つのかと言いたいのであろう? 安心せよ。 大いに役立つはずだ。 まずは職人に命じ、火縄を必要としない鉄砲の短筒を2~300程作らせよ」


試し撃ちの時点で、命中率、射程共に、通常の鉄砲より劣る短筒を2~300揃えろとの命に困惑する板橋頼家だが、俺が大いに役立つと言い切った事で、それならばと言った感じで、声に出し拝命する。


「さて、元重、例の物はどうじゃ?」


板橋頼家に続き、俺に問いかけられた風間元重は、軽く頭を下げると、笑みを浮かべながら報告を始める。


俺が風間元重に命じていたのは、木砲だ。

青銅製の大筒は既に海賊衆の大船や安宅船に搭載し実戦配備をしているが、なんせ青銅製の大筒は重たい!

船ならば、積み込み、設置する手間がかかるだけで、その後はあまり重さは苦にならないが、今後、陸での合戦に大筒を使用するとなると、どうしても軽量化する必要がある。

しかも、敵に奪われたら面倒な事この上ないし、戦地への輸送に時間も人でもかかるのだ。


だが木砲ならば、青銅砲に比べ射程に劣るものの、軽く、道具さえあれば現地生産も可能。 1~2発の使い捨て前提なので、木製なら奪われ敵に使われても、暴発する可能性が高く、奪われそうになったとしても、燃やしてしまえばいい。


なんでもっと早くに気が付かなかったのかと、木砲の事をネットサーフィンをしていて知った時に思ったが、今更なので前向きに考える事にした。

まあ実際、木砲を使えば良かったと思う、大きな合戦って、川越夜戦ぐらいだったので、ショックは小さかったけど…。


そして出来た木砲は、乾燥させ割れの無い太い丸太の中心部を刳り貫いて作るのだが、水車の力を使ったドリルで統一規格で穴をあけ、柿渋を染み込ませ乾燥させた後、念のために荒縄で補強し、炭で黒く色付けした物になっている。

青銅砲に比べると発射する弾の大きさは小ぶりとなっているが、城攻めだけでなく、野戦でも相応に役立つはずだ。


初撃で木砲の斉射をおこなえば、鉄砲以上に大きな音と煙、そして不幸にも弾が直撃した者の身体は一瞬で欠損する。


未だに鉄砲の一斉射でも敵兵が大混乱に陥る状況なのだから、木砲の一斉射など腰を抜かすはず。

現時点ではオーバーキルだが、その威力を知った者達が戦わずに降伏する事を選択するようになれば、敵味方供に少ない犠牲で合戦を終わらせる事が出来る。

合戦で死傷する兵の多くは農民達だから、犠牲は少ない方がいいに決まっているのだから。


「およそ射程は鉄砲と同等程度ではございますが、音は凄まじく、量産も持ち運びも容易故、とりあえず100程用意しており、殿のご命があれば、ひと月で100~200程は生産が可能でございまする」


「やはり柿渋を染み込ませ乾燥させるのに多少の時はかかるか…。 これは致し方ないな。 とりあえずいつ命があっても良いように支度だけしといてくれ。 鉄砲と違い作っても、長い間使わず蔵に仕舞っておくと劣化する可能性があるからな」


風間元重の報告を聞き、命を与える。

さて、火縄の要らない鉄砲。

フリントロック式の鉄砲が出来た。


通常の鉄砲は現在の火縄銃でも問題は無いのだが、フリントロック式の短筒が出来たのは大きい。


既に豊嶋家の馬は鉄砲の音を、それなりに慣れているから、次の段階として馬上で短筒を放っても暴れないように慣れさせれば、騎馬鉄砲隊の完成だ。


豊嶋家が鉄砲を導入した事で、合戦の有りようが替わり始めている中で、騎馬鉄砲隊の編成と木砲の実戦配備、これで更に合戦の有りようが変わる。


本当ならパーカッションロック式(雷管式)を早期導入したいが、どうしても技術力が追い付かない。

蒸気機関も開発させているけど、未だに試作すら出来ていないし…。


「殿、もう1つ、殿より試作を申し付けられておりました外輪船が完成いたしたのですが…」


フリントロック式鉄砲の完成と、木砲の完成で上機嫌になっていて忘れていたが、技術省長官の板橋頼家には外輪船の試作を命じていたのだ。


「して、どうだ? 役に立ちそうか?」


「恐れながら、試しに小早船に設置し、櫂で漕ぐ小早船と競わせましたが、櫂で漕ぐ方が早く…」


「であろうな…。 櫂で漕ぐのと組み合わせての運用となろう。 だが、船足が遅く、合戦の役には立たずとも、櫓で船を漕いでいる漁師などの船には使えよう。 それに、此度は外輪船が完成した事に意義がある」


そう言うと、板橋頼家は、安心したのかホッとした表情を浮かべている。


そう、外輪船に関しては、合戦の役に立つ立たないなど二の次なのだ。

試作が完成し、実用に耐えうることが出来れば良い。

技術の積み重ねは重要なのだから。


これで蒸気機関が完成すれば、人力ではない外輪船が完成する。

暗車式(スクリュー式)はまだまだ無理だろうけど…。

稚拙な文章ではございますがお読頂き誠にありがとうございます。

また誤字報告ありがとうございます。

本当に、誤字脱字、言い回し等、稚拙で申し訳ございません。


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― 新着の感想 ―
[一言] 荒野のガンマン…(笑) おそらく本当はリボルバー式の拳銃を作りたかったんでしょう。 騎馬鉄砲隊としては弾込めも含めて一人で馬上で行える様にしなければならないので。 ま、最低限の仕様としてのフ…
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