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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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川越夜戦 2

1485年 4月19日 未明


川越城を囲む、足利、上杉軍の将兵の多くは寝静まり、僅かな兵が、篝火を切らさぬようしながら、周囲の警戒をおこなっている。


とは言え、警戒をおこなっている将兵は、川越城を囲んでから一度だけ城方が夜襲を仕掛けたが、罠に嵌り這う這うの体で城へ逃げ帰って以降、足軽雑兵にまで酒を振舞い酒宴を開き、城方の出方を伺ったものの、罠を警戒してか城に籠る兵は打って出る事は無く城へ引き籠ったままであり、今回も城から打って出て来る事は無いと思い込んでいた。


ましてや、日野に陣を張る豊嶋軍に関しては、目の前に長尾景春の守る砦があり、川越までの道には陣屋が設けられ、日野に異変があれば、昼間は狼煙、夜は火を使い知らせが直ぐに伝わるようになっていると聞かされており、軍の外周を監視する兵達は、雑談をしながら酒宴に加われなかった事に対しての愚痴を言っていた。


そんな足利、上杉軍に、大泉虎吉と多田弘雅率いる兵2000と、荷物を背負った風魔衆50が密かに近づいて行く。


足利、上杉軍も、陣から少し離れた場所に陣屋や関を設け、念のために警戒はしていたが、風魔衆の音羽半兵衛率いる兵に強襲され討ち取られ、今は音羽半兵衛の兵に入れ替わっているので、大きな音を立てないように気を付けて進む。


「この辺りが限界かと。 これ以上敵に近づけば気付かれまする」


多田弘雅率いる足軽隊を後方に残し、風魔衆に先導され鉄砲隊を率いて進んでいた大泉虎吉は、足利、上杉軍から300メートル程離れた場所まで進んだ所で動きを止める。


「大泉様、これより我らが派手な合図を上げる為、敵に近づきまする。 合図が上がりましたら一気に前進し、鉄砲を放ってくだされ」


「分かった。 殿より風魔衆の方々は我らと違い替えがきかぬと申されておった。 其方達も無理をするでないぞ」


「有難いお言葉、この合戦が終わりましたら共に酒でも酌み交わしましょうぞ」


そう言うと、風魔衆の組頭は配下に指示を出し、背負っていた荷を解き、筒を10本程用意すると、5人一組となり、地を這うようにして進みだした。


「良いか皆の者、合図があがれば一気に敵へ近づき4組がそれぞれ順に一斉射をおこない、直ぐに引く。 狙いを定める必要はない。 4組が順に一斉射をする事が我らの役目ぞ」


大泉虎吉が4人の組頭にそう指示を出すと、小声で返事をし、それぞれが率いる組の元へ戻っていく。


暫くすると、敵まで100メートル前後辺りまで接近した風魔衆が、運んで来た筒を2人がかりで抱え立ち上がると、筒先を敵軍に向け、筒の後ろに垂れ下がった導火線に火を付ける。


ボッッン!!! ヒュㇽ~~~~~~~~~!!  バァ~~ン!!! パチパチパチ…。


足利、上杉軍の中に一発の打上げ花火が撃ち込まれ爆ぜると、半円を描くように火の花が咲くと、次々に同様の火の花が咲く。


突然の爆音、そして花火が爆ぜた事で、何が起きたのか分からぬまま慌てて飛び起き、降り掛かる火の粉を慌てて払う。

だが、まだ火の粉を振り払えたものは火傷程度で済んだが、爆発地点付近の兵は何が起きたのも分からぬまま犠牲となっていた。


「こ、これは…。 なんと盛大な合図。 いや、見とれている場合ではない! 皆の者、進め~~~!!!」


大泉虎吉が立ち上がり、鉄砲隊へ向け指示を出すと、4人の組頭に率いられた鉄砲隊が一気に走り出し、何が起こっているのか分からず、慌てふためく敵に近づき、一斉射を放つ。


ドドドドッ~!!! ドドドドッ~!!! ドドドドッ~!!! ドドドドッ~!!! 


鉄砲が撃ち込まれ、慌てふためいていた兵が被弾して倒れ込むみ出した事で、足利、上杉軍の将兵は敵襲を受けていると気付きだす。


「敵襲~~!!! 敵襲だぁ~~!!!」


本来であれば上空で破裂し大輪の花を咲かせるはずの花火が地表近くで10回も破裂し、広範囲に火花が飛び散った事で、先程まで酒に酔い、眠り込んでいた兵達にとっては何が起きているのか分からず、パニック状態で右往左往している。


そこに追い打ちと言わんばかりに。鉄砲の一斉射が4回。

近くに居た仲間が鉄砲に撃ち抜かれて倒れ込む姿を目にした足軽雑兵が恐怖の入り混じった声で「敵襲!!」と叫ぶと、その声が伝播していく。


「今だ!! 懸れ~~!!!」


頭上に掲げた太刀を振り下ろし、突撃を命じると、俺の率いる2000の騎馬隊が西側から一塊になって、足利、上杉軍に向かって馬を駆る。


同じ頃、派手な合図を目にした武石信康、菊池武義、馬淵家定も兵達に檄を飛ばし、敵陣に向けて突撃を開始した。


南西側から馬淵家定率いる2000の足軽隊が。

西側からは俺の率いる2000の騎馬隊と、菊池武義率いる2000の足軽隊が。

そして北西側に回り込み坂戸方面より武石信康率いる2000の騎馬隊が突撃をする。


混乱する敵陣に騎馬隊が一塊になって斬り込むと、その後騎馬隊は200ごとに分かれ、混乱し右往左往している敵兵が居れば、すれ違いざまに斬りつける。


実は騎馬隊の面々は槍を持っていたのだが、突撃し目の前に居た敵を槍で突いたら槍を手放し太刀を抜き、その後は太刀で敵を斬る…、というよりも太刀を敵の頭上に振り下ろしている。


槍で敵をザクザクと突きながら、と思っていたが訓練の際、一騎打ちや馬の足が緩んでいる際は槍で戦う事は出来たが、一撃離脱のように突撃した際は、敵に一突き入れた後に槍を引き抜く事が出来ない事が判明したからだ。


突撃状態で敵を槍で突いた後、当然馬速を維持したままなので槍を引く事が出来ず、かといって持ち手が木製の為、槍で敵を持ち上げて投げたりなどは出来ず、無理をすると槍が折れるか、手首を痛める。

なので一突きしたら殆どの騎馬兵は槍を手放し太刀を手に取っている。



「真壁が裏切り小田殿を攻めておる!! 真壁殿返り忠!!!」


「小山兵が結城殿の兵に攻めかかっておる!! 小山殿返り忠!!!」


「多賀谷殿の陣が山川勢に攻められておる、山川は豊嶋に寝返ったぞ!!!」


「関東管領、上杉顕定殿、長尾忠景に攻められお討ち死に!!!!」


「獲物を向けて来る者は皆敵ぞ!!  味方の振りをし近づく者に気を付けよ!!  向かって来る者は皆討ち取るのだ!!」


豊嶋軍の騎馬隊が、口々に大声で叫びながら足利、上杉軍の中を駆け抜ける。


そして成氏の雇った伊賀者が減った事で、足利、上杉軍の中に潜り混んでいた風魔衆も動き出し、騎馬隊同様に流言を叫びながら目に付いた武者を狩って行く。


騎馬隊が突撃して暫くすると、菊池武義、馬淵家定が率いる足軽隊と、周囲に潜んでいた風魔衆が足利、上杉軍に突入する。


足軽隊も騎馬隊同様、敵陣に突入すると100ごとに分かれ突き進む。

昨日の夕暮れから鎧を脱ぎ酒を飲んで酔っていた兵達は、鎧を付ける間もなく手元にある槍や刀、長巻などを手にしてはいるが、全く統制が取れておらず、それどころか花火の爆発と流言に慌てふためいており、足軽隊はさしたる抵抗を受けることなく次々と敵を討ち取っていく。


更に足利、上杉軍の兵達にとって最悪だったのが、足軽隊と同様に敵陣に攻込んだ風魔衆だ。

夜襲前は、敵陣の外周で外から敵陣に向かう者に目を光らせていた風魔衆だったが、夜襲が始まると、事前に用意していた手榴弾を複数持って敵陣に突入し、焚火の中に手榴弾を投げ込んでいった。


よくテレビの時代劇などで見る鉄で出来た籠に薪をくべるような物はこの時代には無く、夜間の光源と言えば月明かりと焚火の明かりだ。

その光源である焚火に手榴弾を投げ込むと、直後、焚火の火が導火線に燃え移り爆発し、火の付いた薪を周囲に撒き散らす。


当然の如く、焚火の近くに居た者は、手榴弾の中に詰め込まれた石等に加え、爆発により飛び散った火の付いた薪が容赦なく襲い掛かる。


地上近くで破裂した花火で飛び起き、騎馬隊による電光石火の突撃であわてふためき、各所で叫ばれる流言に混乱した所へ、足軽隊が襲い掛かった事で、恐怖が波のように足利、上杉軍の兵達に伝播していく。


そして、足利、上杉軍にとって最悪だったのが、石神井城を出陣し、途中で滝野城、岡城の兵を糾合した俺の叔父である豊嶋泰明軍5000が南東側から容赦なく攻めかかった事だ。


混乱する足利、上杉軍の目が西側に向いている所に、南東よりの新手が現れ、混乱の輪が広がる。


ボッッン!!! ヒュㇽ~~~~~~~~~!!  バァ~~ン!!! パチパチパチ…。

ボッッン!!! ヒュㇽ~~~~~~~~~!!  バァ~~ン!!! パチパチパチ…。


直後、川越城から数発の花火が放たれ、門の付近を守っていた兵達の近くで破裂した。


「皆の者!! 勝機は今ぞ~~!!! 我らの勝ちを信じ散って行った武士(もののふ)達の仇を取るのは今じゃ!! 懸れ~~~!!!!!」


川越城の各城門が開くと、そこから道真の怒号と共に、太田軍が喊声を上げながら打って出て、混乱する敵に容赦なく襲い掛かっていく。


「清信…、いや六平太、其方達の死は無駄にせぬぞ!」


そう呟くと、生前、走野清信が使っていた鎧を着た道真は長巻を手に突撃をして行った。

周囲は馬廻りがガッチリと固めているので長巻を振るう事はないだろうが…。


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本当に、誤字脱字、言い回し等、稚拙で申し訳ございません。


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