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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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出陣の命

今年も一年間、ありがとうございました。

誤字脱字が多く稚拙な文書ではございますがこれからも宜しくお願い致します。


皆様の2022年も良い年でありますよう心よりお祈り申し上げます。

常陸の大洗湊と那珂湊を伊豆海賊と安房海賊が共同で襲撃し、町を焼き払い、多くの財を奪う事に成功した事で、清水綱吉が意気揚々と江戸城へ報告にやって来た。


今回の襲撃は外房の海賊衆も密かに参加していた事もあり、無数の船を前に、常陸の海賊衆は戦意を喪失して

逃げ出した為、被害は軽微との事だ。

そして肝心の音羽半兵衛とその兵500も混乱に乗じて、無事に常陸へ潜入した。


それにしても、清水綱吉の報告を聞く限り、真里谷の勢力下にある海賊衆が常陸の湊を襲撃するのに加わるとは思ってもみなかった。

伊豆海賊と安房海賊に紛れ、乱取りを行っていたとの事だが、海賊衆を家臣として取り込んでいないと、例え自分達の勢力下の海賊衆であったとしても、利がある方へ味方するとは。


清水綱吉が報告を終え、場を辞すと、それと入れ違いで風間元重がやって来る。


「申し上げます。 古河に集まりし兵、約35000、明朝に古河を発し、また古河の動きに呼応し、平井城の関東管領上杉顕定も15000の兵で武蔵に兵を進める模様。恐らく途中で国人衆の兵を糾合し、総勢60000を超えるかと思われまする」


「総勢60000は下らないか…。 して、目標はここ江戸城か?」


「足利成氏の動きにつきまして、確たる証がございませんが、岩槻城と川越城を攻め、その後江戸城へ向かうかと思われますが…。 なれど関東管領上杉顕定の元に忍ばせた者よりの話では、上杉軍は、まず忍城を攻め、その後川越で成氏と合流し江戸を攻めるとの事故、成氏が直接江戸を攻める事は無いかと」


「そうか、地理的に古河からなら川越城に向かわず、直接江戸城へ兵を向けた方が良さそうなものだが…、太田と豊嶋に挟撃されることを恐れたか? して、下総はどうじゃ? 成氏は下総に兵を送りそうか?」


「申し訳ございませぬ、古河に潜ませている者よりの報告が無く、そこまでは…。 しかし下総では岩橋孝胤が兵を集めておりますれば、数日のうちに兵を挙げるかと」


その後も元重より詳細な報告を聞くが、成氏の動きに関して確証は無いものの、岩槻城、次に川越城を落とした後、忍城を落とした上杉顕定と合流し、江戸城を攻めるだろうとの結論になる。


下総では岩橋孝胤は、本佐倉城を攻め落とした後、下総の奪還に動くと公言しているらしく、恐らく脅威にはならない。

真里谷信勝の動きに関しては情報が無いらしいが、里見成義が虎視眈々と上総を狙っている以上、これも脅威にはならない。


だが今朝、道灌が敗れ、籠城した興国寺城も包囲されているとの報がもたらされた事で、相模方面にも注意を払わなくてはならなくなった。


扇谷上杉定正を攻めるはずであった三浦時高、高虎親子は、三浦家の家臣を調略した三浦高救、高教親子、そして上杉定正と対峙しており、相模川上流域で上杉朝昌の軍を打ち破った矢野兵庫が南下し、扇谷上杉家の本拠である糟屋館へ兵を進めているが、興国寺城への抑えの兵を残し、伊勢盛時、斯波義寛、小鹿範満の軍が伊豆を抜け、相模に兵を進めると相模が危ない。


せめて道灌が伊豆の堀越城に入城できれば、伊豆で伊勢盛時、斯波義寛、小鹿範満を釘付けに出来るのだが…。


包囲されている興国寺城に籠る道灌と兵を脱出させる為、急ぎ清水綱吉を呼び戻し、伊豆海賊衆へ急使を送らせる。

伊豆の海賊衆を使い、興国寺城への援護をさせる為だ。


伊豆海賊衆の持つ安宅船に搭載した新兵器である青銅砲、清水綱吉の話では大洗湊、那珂湊を襲撃した際は夜間という事もあり効果の程が分からなかったとの事だったが、試す価値はあるはずだ。

道灌なら砲撃で混乱した隙に兵を率いて城を脱出し堀越城へ向かうことは造作もないはず。


そしてその後、伊豆海賊衆に遠江の沿岸部を襲撃させる事で、斯波義寛の戦意を削ぐ。

斯波が兵を引けば、伊勢盛時、小鹿範満だけで伊豆を抜けて相模にまで兵を送る余裕は無くなるはずだからだ。


各地の動きはそれなりに把握できた。

だが最終的に俺自身はどう動くのが最善なのか…。


現在江戸城に居る兵は、鉄砲隊は1000が出払っており、14000程で、その内、鉄砲隊は1000、大鉄砲隊が200で、江戸城の守備に2000は最低残すとして、俺が率いる兵は12000になる。


江戸から兵を出して古河公方である足利成氏を迎え討つとなれば数的劣勢に陥る。

だが関東管領である上杉顕定を攻めると、成氏の軍に背後を襲われる可能性があるので現実的ではない。


「先に相模を片付けるしかないか…」

地図を眺めながら、独り言を呟いた後、近習の者を呼び、江戸城に陣触れを発し、出陣の支度をさせ、それと同時に、各城へ伝令を送り、籠城だけでなく、領内に兵を潜ませ、敵が豊嶋領へ進軍してきた際は、攪乱し、江戸に近づけさせないように厳命する。


川越城に籠る道真には出来る限り敵を釘付けにするよう依頼はしているものの、成氏が兵を分け、一部が江戸城を攻められるのは避けなければならない。

なぜなら、戦場になりそうな地域の領民が江戸城の城下と、蒲田城の城下へ避難をしてきており、出来れば戦火に巻き込みたくないからだ。


翌日、江戸城の広間には、叔父の豊嶋泰明、一門衆の白子朝信、直臣である風間元重、清水綱吉、岩松成兼、武石信康、馬淵家定、菊池武義を始め若手の矢野元信、馬場勇馬、羽馬一馬、多田弘雅、間宮秀信が集まった。

他の者達は既に各城へ詰めており、現在、江戸城に居る主要な武将だ。


「皆も知っておろうが、常陸、下野では足利成氏が、上野、北武蔵では上杉顕定と長尾景春が、相模では上杉定正、三浦高救、高教親子、駿河では伊勢盛時、斯波義寛、小鹿範満が兵を挙げた。 駿河は道灌が劣勢となり身動きが取れず、相模も三浦時高、高虎親子が身動きが取れなくなっておる。 元々、相模の三浦家よりの援軍は当てにしておらぬが、伊勢盛時、斯波義寛、小鹿範満が駿河より伊豆を越え相模へと兵を進めれば、三浦時高、高虎親子といえど支えきれぬであろう。 故に我らは相模に兵を進め、まずは扇谷上杉定正、三浦高救、高教親子を討つ! 元小田原城主であった大森実頼の動向も気になる。 一気に相模を制圧し、返す刀で足利成氏と上杉顕定を討ち果たす!!」


「「「は、ははっ!!!!」」」


集まった者達は一様に何か言いたげな表情を浮かべているが、大体言いたい事は分っている。

だが現状、豊嶋家が取れる最善の方法は、三浦時高、高虎親子を助けて相模を制圧し、後顧の憂いを無くしたうえで、足利成氏と上杉顕定に挑むのが最善だ。


「叔父上! 叔父上は兵を率いて石神井城へ入ってくだされ。 そこから各城の状況を見定めながら援軍を出し、敵を江戸へ寄せ付けぬように、出来れば川越城に釘付けにしてくだされ」


「難儀な事を簡単に言う! だが時が必要なのであろう? 命に代えてもやり遂げて見せようぞ!」


「ありがとうございます。 次に白子朝信、間宮秀信! 其の方には江戸城の留守居を命ずる。 江戸を守る兵の指揮は間宮秀信が執れ。 白子朝信は我らへの兵站管理と領民の慰撫に努めよ」


「ははっ!!」


「清水綱吉! 其の方は内房の海賊衆も指揮せよ。 小早船は江戸湾に残し、入間川、利根川を守らせよ。 敵が渡河しようとすれば阻止するのだ。 そして安宅、関船には岩松成兼を将とした500の兵を乗せ、三浦海賊衆と共に小田原城を攻めよ。 城を奪い豊嶋の旗を立てるのだ!」


「海賊衆に城攻めを命じられるとは…。 だが小田原城を岩松成兼殿と言えども500で攻め落とすのは至難の業。 これは失敗は出来ませぬな。 必ずや小田原城を落としてご覧にいれまする」


「某に与えてくださった活躍の場、必ずやご期待に沿う働きをして見せまする」


清水綱吉は人使いが荒いと言わんばかりに苦笑いをしながら、岩松成兼は豊嶋家に来て初めて活躍の場を与えられたことで、ここで手柄を挙げて地位を築こうと、力強く返事を返す。


「風間元重、其の方は風魔衆が集めて来る情報を纏め逐一俺に報告せよ。 それと、風魔衆を野に潜んでいる者達の所へ送り込み、手助けをせよ」


「かしこまりました」


「他の者は俺と共に来い! 明日、江戸城を出陣し相模へ向かう! 一気に兵を進め、扇谷上杉家を叩き潰し、滅ぼすのだ!!」


全員が一斉に平伏し、広間から足早に出て行き、出陣の支度にとりかかる。


明日、俺が率いて出陣する兵は11500程、途中、国人衆が加わったとしても15000には届かないだろうが、三浦時高、高虎親子の兵と併せれば、扇谷上杉定正に対し数的優位に立てる。

あとはどの程度、素早く攻め滅ぼせるかだ。


翌日、深紅の鎧を身にまとい、部屋を出ようとすると、照、彩、桔梗、於福が部屋にやって来た。


4人は部屋に入るなり、下座に座ると、次の瞬間、於福が頭を下げた。


「この度は、父、柴崎長親が殿を裏切り兵を挙げたとの事、誠に申し訳ございませぬ。 私も武家の娘、覚悟は出来ておりまする。 どうぞこの首を刎ね、父の元へお届けくださいませ」


平伏しながら父の裏切りを謝る於福と、その横で俺を見つめる照、彩、桔梗。

いや見つめると言うか睨まれている…。


「於福、其方には辛い思いをさせてすまぬと思っておる。 安心せよ柴崎長親の事も良きに計らう故、この城で俺の帰りを待て。 それに照も彩も桔梗も、其方だけでなく、父である柴崎長親を責めはせぬ」


「ありがとうございます…」


頭を下げているので表情は見えないが、声に嗚咽が混じっているので泣いているのだろう。

於福には再度、「其方が気に病む事ではない」と伝え、目で照、彩、桔梗に後は任せると伝え部屋を後にする。


そう、於福は気に病む必要は無いのだ。

俺が悪いのだから…。


於福に申し訳無いと思う気持ちを押し殺し、気持ちを切り替えて江戸城を出陣し相模へ兵を進める。


相模の制圧に手間取れば、空に近い江戸城を攻められる可能性が高くなる。

今回は時間との勝負だ。

来年より1日おきの更新となります。

何卒ご了承くださいませ。


誤字脱字のご指摘誠にありがとうございます。

稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

宜しくお願い致します。


また評価、ブックマークありがとうございます。

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