夏の木漏れ日射す先に
今回はローファンタジー?になります。
夏。
セミが最近鳴き始め、気温がグングン上昇する。日本の夏は湿度が高いと言われるが、むっとした空気が流れる。風も段々暖かくなり、風が吹いても大して影響がない。
『本日は暑くなりそうです。熱中症には十分に気を付けましょう。』
俺はニュースから流れる音をぼんやりと聞きながら、朝食を食べる。どうやら今日も暑くなるらしい。味噌汁でご飯と卵焼きを喉に流し込み、カバンを手に取る。
「よし、忘れ物は無し。後は、母さんだな。行ってきます。」
俺は母さんに行ってくると挨拶する。すると、いってらっしゃいと言われたきがした。
父さんはもう仕事に出ていってしまってる。鍵を掛けて外に出る。やっぱり暑い。体が沸騰しそうだ。まだ朝なのに。まあ、学校に行ったらクーラーが待っている。それまでの辛抱だ。ああ、登校で汗をかくと臭いかな?
高校に登校していると、野良猫が居た。ここ数日誰かが、餌をやったからなのか、まだ生きている。けれど、俺は拾わない。いや、拾えない。家にそんな余裕は無かった。というか、その余裕があれば今頃悩んでいない。そのまま見ないようにして通り過ぎる。所詮人は自分が可愛いのだ。身を切らずに出来る助けはするけど。例えば財布無くして困った人のを探したり。・・・・・やめよう。悲しくなってきた。
ああ、学校に着くころにはとっても暑くなっていた。追っかけ水が出来ている。アスファルトが熱いと出来るあの現象だ。本当に水があったら快適に・・・・余計蒸し暑くなるだけか・・・・・。
学校に着くと、前の席の関口が声を掛けてきた。ああ、自分より背が高い奴が座ると、背の上下関係が分かりにくく・・・・・。ならないか。この男の背が欲しい。
「おはよう、鯉谷。また今日も一層無気力だなー。お前がそうだるそうにすると、こっちまで滅入るぜ。」
「ああ、おはよう。今日も関口は元気だなー。やる気に満ちているなー。うらやましいなー。」
「どんどん棒読みになっているぜ・・・・・・。」
冗談をかましていると、隣のクラスから、写真部の部員が来る。写真部の一条さんだ。
「おっはよう!諸君!夏合宿をするのだ。」
「一条。はやい。短い。断る。」
「およよ、鯉谷君、断るの?無料で避暑地に行けるし、食事も出るし、旅館に行けるのよ?」
「へーー!いいじゃん!行こうぜ!鯉谷!!」
この人達は・・・・。家の貧乏を分かっていない。親父は給料は普通だが、外食が多く俺にまで金が回って来ないのだ。会社の付き合いで色々やっていて、ほとんど貯金も無いらしい。
「お金ない。」
普段の生活費でギリギリだ。親父は俺の料理なんて食ってくれないしな。スーパーでの半額弁当戦争とか参加する気力もないし、自分で作っている。しかし、一条さんは不満らしい。綿菓子を頬に詰めたように膨らませる。
「だーかーらー。無料なーのー。私たちはとある調査をするためにただなの!無料なの!」
「そうか。だが、バイトが・・・・・。」
「8月14日から8月16日なんだよ?ねーねー、いいでしょう?」
なんで一条さんが俺を連れていきたいのかは分からないが、まあ、なんとか日にち調整してみよう。
ん?お盆真っただ中じゃん。俺は背がかなり低い一条の頭をなでる。
「調整してみる。」
「うん!絶対参加だよー!」
いや、調整してみるんだって。確定じゃないよ?
「その日ね。いいぞ。お前休み取らなさ過ぎて労基的にやばいからな。」
その日のバイトに行った俺は店長に聞いたのだが。
あっさりオッケー貰った。あーれ。
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次の日一条はまた俺の所に来る。
「じゃあ、持ち物はっこれね?」
そう言って旅のしおりを作ってもってきた。
「おいおい、一条!なんで旅のしおりが辞書並みの厚さなんだよー。」
「厚すぎ。」
「ふふーん、がんばったんだから。」
これは・・・・気合が入っているな。
「んで?鯉谷・・・。どうだったんだよ。バイト。」
「休んでいいってさ。」
「良かったじゃん!」
面倒だけれど、写真部幽霊部員として参加しよう。お金ないからほぼ部員と面識ないけど。
「で、関口。ちょっといいか。金を貸してほしい。」
「は?金いらないんだろう?」
分からないという顔を向けて来る。が、一つ確信している事がある。この合宿には裏がある。
そしてその日がやってきた。8月14日。バスで一時間揺られて着いた場所は森の旅館だった・・・・・。
え?幽霊部員として参加って不参加って意味じゃないかって?
「で、何で鯉谷が簀巻きになって首輪まで付いて、一条が引っ張ってるんだ?」
「ん?幽霊部員はこうやって扱うんだよ?常識だよね?」
「そんな常識しらない!」
関口はどんまいという顔で俺をみるが、哀れみはいらない。同情するなら開放してくれ。
「まあ、鯉谷君じゃあありませんか!」
「あ、高橋さん。」
高橋さんはどっかのお嬢様らしい。とはいっても執事やガードマンと言ったものはいない。本当にちょっとした金持ち程度らしい。家はすごいらしいけど・・・・・・・。
「ごめんあそばせ!一条さん、今日のそのワンピースとってもかわいいですわねー。」
「えへへ、ありがとう!高橋さん。高橋さんのその麦わら帽子も可愛いねー。」
「ふふふ、ありがとうございますー。」
女子二人が褒め合う。なんかこういうの怖い。案の定、関口にくるっ!と回って挨拶する。関口はびくっ!とする。Tシャツにジーパンだ。Tシャツには適当に選んだらしき英語が乗っている結構デザインとしてはいい・・・・と思う物を着ているはず・・・・・・・・。それに薄いチェックの上着を羽織っている。
「あら、谷口さん。そのTシャツの文字・・・・・。」
「え?Tシャツ?」
英語がたくさん並んだシャツだ。
「あまり、そんな文字の物着ない方が・・・・・。」
「え・・・・・・・。」
「訳すと日本の島国根性・・・・・・・。」
「「「だっさ!」」」
関口は一瞬のうちに顔が茹蛸のようになり、地面をのたうちまわる。
「ああ。でも他のバランスが・・・・良くって・・・・。うん。いいんじゃないでしょうか?」
「高橋さん。それ追い打ち。」
追い打ちで死んでいる関口は口から魂がでているかのように真っ白だった。そりゃあ、クラスの中で高嶺の花にそんなこと言われたら・・・・・・。
「それにしても、鯉谷さんはとっても奇抜なファッションですねー。」
高橋さんは俺の簀巻きで足と顔が出て、首輪が嵌められているのを見てファッションとのたまうか。
「高橋さん。ファッションでは・・・むが!」
「すごいでしょう!高橋さんに是非見せたくて。私のこーでねーとは!」
俺の口を塞いでコーディネートと言うか。しかもコーディネート言えてないし。
「まあ、そうでしたのね!」
「これぞ男を全面に出すケロべロスというふぁっくションなのです。」
一条さんやー。ファッションも言えておりませんが。
「おい、鯉谷。突っ込んでいいぜ。」
「関口に任せた。」
「自分で突っ込めよ!ったくいつも道理だなー。」
ってかそろそろ離してほしい。きつくなってきた。
「そろそろ行きません事?こんなところで立ち話も何ですし・・・。」
「そうね行きましょ?行くわよポチ。」
「元凶が何いってるんだ?」
「ポチってだれだ?」
「「あ?」」
急にぐりん!と一条さんと高橋さんの首が180度回る。
「「な、なんでもありません!」」
女が多いと女は強いというが、同数でも強かった。
俺たちは山に続く階段を上る。最初のうちは綺麗な石畳みの階段だったが、徐々に石と石の間に草が生えていたり、そこから3分ほど登ると今度は周囲の木の枝が落ちていたりした。それも、登れば上るほど酷くなっていく。
「ちょ、一条!どこまで登ればいいんだよー。まだ先見えないんだけれど!」
「だからこそ、今日で廃館になるらしいよー。そして最後だから無料なんだって!」
関口の愚痴に一条さんが答える。そうか。俺たちが最後のお客になるのか。
「それにしてもこの木々、初めは綺麗に青々と茂っているから美しかったものの、上に登るとどうしてこんなにも不気味さが出てくるのかしら?」
「手入れがない。所々に枝が落ちてる。まるで熊でも暴れたみたい。」
高橋さんの疑問に答えたつもりが三人ともぎょっとした面持ちでこっちを見てきた。
「熊!?」
「こえー事言うなよ、鯉谷。お前簀巻き状態だから囮にするぞ?冗談だけど。」
「あまり変なフラグは立てないでくださいまし。」
何故か三人に怒られた。一条に関してはきっ!っとにらんで首輪を引っ張る力が強くなる、が心なしか引き寄せられる。
「というか、いつまで簀巻き?」
「「「今更?」」」
「さっきからアウェイ感。すごい。」
「「「当然でしょ!(だろ)」」」
俺ドウシテダカワカンナーイ!その時。
「あ!」
「今度はなに?」
一条がちょっと不機嫌そうに答える。因みに皆疲れているのだ。その中でも俺が簀巻きで歩いているのだから一番疲れていると思う。
「一条。簀巻きほどいてくれ。旅館見えたから走って手伝いに来てもらう。荷物おもいだろ?」
「え、うーん、分かった。一旦あたし達ここで待ってましょうか。」
「ええ、賛成ですわ。丁度虫よけも塗り直したかった所ですし・・・・。」
「おう、すまんが鯉谷頼むは。お前の荷物は俺が持ってる。」
俺はこくりと頷き、階段を上る。
そこはとても古めかしい旅館だった。木造で、古い木造の学校を白黒写真とかで見たことはあったが、丁度そんなイメージだ。周囲は木々の整理がしてあり、味のある旅館という感じだった。
旅館前に着くと、女将さんが一人、あと後ろに2人いた。
「いらっしゃいませー。ご予約の一条様でしょうか?」
「こんにちは。そうです。下で皆ばててます。」
「そうですか。ではわたくしが向かいましょう。」
「お願いいたします。」
女将さんが一人って・・・。後ろの人は?
「お!鯉谷戻ってきたぜ!」
「あ!女将さーん!」
「桃ちゃんお久しぶりね!」
俺と女将さんは関口達の元に戻ると、一条さんと女将さんが再会を喜ぶ。やっぱり知り合いだったんだ。それにしても桃ちゃん?ああ、下に名前。確か一条桃香だっけか。
「紹介するね!私の叔母にあたる人で黒川明さん。今日の宿を切り盛りしているのー。」
「みなさんよろしくねー。」
「「よろしくお願いします。」」
まあ、この元気そうな人が今日で締めてしまうなんて。
「モモちゃん、私の新しいお家どんな感じだった?」
「ふふふ、それは後でのお楽しみ。後で写真を見せにいくね!」
・・・・・どうやら客来ないから締めて、新たな生活するだけのようだ。
女将さんはとても力持ちで3人分の荷物を持っていけるほどだった。
「で、なんで俺だけ自分で荷物持ち?」
「それはじゃんけんで負けた鯉谷君が悪いのではなくて?」
「鯉谷は最初チョキ出すからグー出せばゼッテイ勝てるもんなー。便利だわー!」
子供のころ、めんどくさい事はしたくなかった。だから、いつもじゃんけんで決めていたリーダーや発表者から外れる為にじゃんけんに勝つ方法を模索した。小学校のころは出しやすいのがグーかパーなので、皆パーを出せば勝てるという迷信を信じていた。だからチョキを出せば面倒事を結構回避できたのだ。そのくせが出てしまった。
階段を登りきると、さっきの旅館の中居さんが消えていた。
(あの人達はなにやっていたんだろう?)
「一条さん。中居さんとか何人・・・・・・。」「モモちゃん!204号室だからねー。はい、男子は203号室よ。」
女将さんに質問が遮られてしまった。まあいいや、聞く機会は沢山ある。
一度部屋に戻って、カメラを準備したらすぐにロビー集合という事になった。俺と関口は部屋に入ると、一応綺麗に掃除がしてあり、古いが良い部屋だった。
「おお、古めかしいけど、味がある。これがボンテージか?」
「ヴィンテージな・・・・。」
「流石突っ込み役ー。鯉谷いないと誰も拾ってくれねーもん。」
「衝撃的作り話。」
どうでもいいことをこいつは話すが、俺は荷物を置いて出ていこうとする。
しかし・・・・・。
「おい!鯉谷!みろよ!テレビなんか変だぜ?なんか箱っぽいのなんだけれど。そしてリモコン無いぜ?」
「それはテレビが古すぎるんだ。ほら。」
俺はテレビについているボッチを押すと電源が付き、砂嵐が映る。チャンネルは何故か13まである。カチカチひねっていると、誰かが横になっている画像が浮かび上がる。ほう。何の番組だろう?
「なあ、関口。これ何?」
「さあ、わかんねー。女の子?まさか心霊現象?」
そういってテレビに向かってカメラのレンズを向け、写真を撮る。が、取れた写真にはただの砂嵐だった。もう一回テレビに目を向けると、ただの砂嵐に戻っていた。
・・・・・・・
「本当だってー!なあ、鯉谷!」
「ああ、本当だ。」
俺と関口は一度ロビーに戻って一条さんと高橋さんにさっきの話をしたが、信じてもらえなかった。
そこで、もう一度俺たちは部屋に戻ってテレビをつけると・・・・・・・。
やはり何もない。
「うーん。何かの見間違いじゃない?」
「正直そう思いたいぜ。一条はそういう話大丈夫なんだっけか?」
「うん。そんな非科学的なの信じない。」
うん。どうしようもないな。ん?ちょっと待て。
「関口。テレビの写真もう一度見せてくれ。」
「ほいほい。何かわかったのか?」
「・・・・・・・。」
そこにはチャンネルはちゃんと12個あった。
俺たちは一度保留にして、今回の合宿の目的を聞く。というのも、まだ本人から聞いていなかったからだ。学校では、着いてからのお楽しみと言って教えてくれなかったのだ。
「というわけで、発表しまーす。じゃじゃん!」
どこからか、テレビで使うような、ボードに文字を隠しているあれを持ってきている。まあ、文字全てシールで隠れているが。
「じゃあ、鯉谷君。開けて!」
「ん。」
俺はシールの左上を引っ張ると、ビリ!っと言って途中で斜めに裂けてしまった。
「ああああああ!」
「ドンマイ、一条。」
「い、一条さん。下からめくりましょう?」
文字には『ドキッ!幽霊□□□□□めし!』と書いてある。(□はシールで見えない。)
「幽霊飯か。おいしいのか?」
「ちっがーう!」
一条さんは切れていた。いきなりお腹がすいてきて・・・・・・。お腹の音がなる。
「ああ、そろそろ飯食いたい。」
「俺も鯉谷に賛成。どうせ肝試しかなんかするんだろう?」
「んぐ!?鯉谷君と関口君はなんで私の計画台無しにするの?もうもうもう!」
何故か俺だけポカポカ叩かれた。関口は微妙な顔して俺を見る。が、直ぐに引き締まった顔になる。
「なあ、鯉谷。お前確か霊感強かったよな?」
「ああ、それが?」
「いや、なんでもない。」
恐らく心配してくれているのだろう?昼も夜もそう変わらないんだが。
「おお!山菜料理!上手い!ビールお替り!」
「あらー、関口。わたくしが風紀委員だってことお忘れかしら?」
「ひ!?じょ、冗談ですよー。ただの麦茶をビールって言ってみたかっただけですよー?」
「あらやだ、わたくしったら・・・。おほほ。何で敬語なのかしらねー。」
冷や汗ダラダラと流す関口。左手の缶はばれないといいな。高橋さんの目が怖いけど。左手がある位置を凝視しているけど。
俺もプシュッと缶を開ける。うん。不味い。
「ちょっと鯉谷さん!あなた何飲んでるのよー!」
「麦のジュース。」
「あなたね。法律でお酒は20歳からって決まっているのよ?分かっておりますの?これは重大な法律違反なのですよ。それに、この法律は私たち未成年を守る為の法律で・・・・・(くどくど 以下省略)。」
「なあ、関口。今日はどこで寝る?」
「ああ、俺押し入れで寝るわ。朝日弱くてよ。」
「俺と同じか。まあ、ゆっくり寝たいよな?」
どうやら関口の家。兄弟が多く、末っ子故に押し入れで寝るのが身についてしまっているらしい。
「ああ!二人共。押し入れはダメなんだよ。普通にお布団敷いて貰った所で寝なさい。」
「「カーテン開けて起こされるのが嫌。」」
俺と関口がシンクロする。ノンアルコールビールをお互いに乾杯と打ち合わせる。
「・・・・ですからね!未成年であるわたくしたちには・・・・・・って聞いているのですか?お二人共!?」
どうやら高橋さんはずっと説教をしていたようだった。正直聞いていなかった。
「高橋さん。」
「何かしら?」
「これ、ノンアルコールビール。18で成人式やるときにビールはこれになるんじゃないかと言われている。まあ、まだ2年後の話だけれど。その予行演習。」
「の、ノンアルコール?ああ、それなら害はないの・・・かしら?」
そういって、関口が隠していたクーラーボックスを引っ張り出し・・・・。
「折角ですし、わたくしも一本貰いましょうか・・・・。」
「賛成!」
高橋さんと一条さんは関口のクーラーボックスからもらう。
「あ!」
「ん?どうしたの?関口君?」
「いやまあ、なんでもない・・・・です。」
「あら、後でお代はかえしますわ。一条さんの分も一緒にね。」
「・・・・・・・。」
俺は知らない。
十分後。
「ももかひゃん。なんかあついれふ。」
「高橋さん、ちょっとその缶見せて!」
・・・・・・・・・・・・。ばれたか。一条さんは隣で浴衣を着崩しそうな高橋さんの手を抑えつつ、缶を奪う。勿論そのにはノンアルコールの文字が・・・・・・・・・・・ない。
関口は冷や汗をだらだらと滝のように流していた。一条さんは高橋さんの手を必死に抑え込んでいる。なんかエロいな。その攻防を見ていると、ちょっとドキドキしてくる。
「関口・・・・。」
「は、はい・・・・・・・・。」
一条さんの呟くように呼んだはずの声が妙に大きく耳に届く。周りの空気はもう既に零下だ。
「高橋さんを酔わせてなにするつもり?」
「い、いやいや、そんな、飲まれるとは思わなかったわけで。」
「ふーん。・・・・・・・・夏休み明け覚悟しておけ。女子の間で淫獣呼ばわりは確定だろうから。」
「ひっ!?」
うん。それはやばそうだ。クラスの女子全員から白い目で見られるのはつらいだろう。
「お、俺の高校生活・・・・。終わった。」
「まだ一年半以上ある。」
「鯉谷!この空気でそのボケはいらねぇーよ!」
関口の八つ当たりの軽めにパンチは取り合えず無抵抗で貰っておこう。
その後、ビールは飲ませず、なんとか落ち着いた高橋さんも連れて肝試しをすることに。
因みに、組み合わせは・・・・・・・・。
「くじ引きだよ~?」
いつの間にか用意していたくじ引き用の割りばしを取り出す一条さん。
関口、高橋さんが引いた後で一条さんが俺に割りばしを引けと渡して来る。因みに関口の引いた割りばしは赤。高橋さんが引いた割りばしは赤く塗ってなかった。これは赤が塗ってある割りばしを引けば関口と、赤が塗っていなければ高橋さんと組むという事だろう。
「はい、鯉谷君白無しね。」
「白?」
俺の引いたのは色が塗ってなかった。赤くない。高橋さんと組むと思っていたのだが・・・・。
「ほら、割りばしの先っちょ見て、白塗ってないよね?最後に残ったのも・・・・白無しだ。じゃあ、鯉谷君と一緒だわーい。」
「ちょっと待てよー。じゃあ、この赤はなんだったんだよー!。」
関口は割りばしに塗られた赤を指さした。確かに赤く塗ってあるかそうでないかというのが自然だろう。それを聞いた一条さんは、関口と目を逸らして弁明する。
「ほ、ほら、塗っている時に怪我しちゃったんだよー。」
「嘘だろ。ほら、今淫獣扱いされたばっかなのに高橋さんを俺に任せるのか?」
「なーにー?私じゃあ不満?」
急にふらふらしていた高橋さんは関口に腕をまわしてしな垂れかかる。こうされて嫌がる彼女いない男性はほぼいないだろう。容姿もいい高橋さんなら尚更だ。・・・・が。
「あれ、関口くーん?関口くーん?あれ、固まっている。」
「関口くんって結構女の子に耐性ない?」
固まっている関口を女二人でなじる。なんかほわほわしてきた。同時に胸に何かつっかえた様な気がする。
「まあ、そんな風になっているなら仕方ないね。高橋さん、先に行くね。場所は旅館を時計周りに回ってそこの祠にあるお札とってくるだけだから。」
「了解ー。関口くんは任せてー。」
大丈夫かこの二人。因みに俺たちが帰って来るまで二人は待っているらしい。何故時間で分けないのかは知らない。けれど、戻って来るまでに復帰してくれていると嬉しい。時間差で出ると、確かに不安だ、この二人。因みに手にある割りばしを見ると、一重の切れ込みが入っていた。おそらくどれを引いても一条さんは俺と組んだ事になっているようだ。
「じゃあ、いこっか?」
一条さんは俺の服の裾を握る。ちょっと何故か上目使い。いや、一条さんが背が低いだけか。
「ん。じゃあ、行くか。」
俺と一条さんは歩き出す。そして関口に向かって耳を二回トントンと叩く。僅かに頷く関口だった。
暗闇の森を月が道しるべの様に下を照らす。一条さんはカメラを手に歩く。俺は部員でも、適当に幽霊部員していたから持っていない。
「ねえ、鯉谷君。鯉谷君って高橋さんの事好きなの?」
「・・・・・・・・・。」
一年の時、帰宅部を選択しようとしていて、先生に怒られた。今の高校は絶対に部活に入らなければならないらしい。前は帰宅部だった為、俺は戸惑った。お金も無いし。その時助けてくれたのが高橋さんだった。
「鯉谷君?」
「高橋さんにはただ、恩があるだけだ。」
「それだけ?」
「恩は返したい。後はこうやって友達しているだろう?」
俺は目で高橋さんと目が合うのを無視した。別に好きでは・・・・無い。と思う・・・・。関口にしな垂れ掛かっていた時の事を思い出してまた胸がチクりと痛む。
「ねえ、そういばさあ、一年生の時、お財布無くして困っている時に男子の誰かが私が困っているのを見て、探し出してくれた人がいたそうなの。だれか知らない?」
「さあ・・・・・。」
そんな事もあったなー。あの時どこに落ちてたっけ?確か、柄の悪い先輩に殴られた覚えしかない。
「ふふふ、拳の跡をほっぺに付けた男子高校生が拾ったって聞いたよ?」
「へー。そうか。そんな幸運あるんだなー。」
「お金も減ってなかったし。」
・・・・・・・・・ばれている気がする。そーっと一条さんの方をみると、あの時の人に似ていた・・・気がする。本人?
「あ、ねえねえ、あの祠がそうなんだよー。」
思ったより直ぐについた。まあ、旅館の直ぐ裏手の祠だからな。しかし、思っていなかった物があった。
「わあ。綺麗!」
「蛍か。確かに人口の光も少ないし、旅館の電気もほぼないもんな。」
これは絶好の写真スポットだろう。一条はカメラで何枚も写真を撮る・・・・・と思っていたのだけれど、一枚撮って終了。俺が不思議に思って一条さんに向かって近寄る。
「どうしたの?一条さん?」
「それ、シャッターチャンス!」
一瞬の閃光と共に俺に向かって写真を撮る。蛍がいない方向を向いたからって蛍の調子が悪くなったらどうするのだろうか?
「蛍に人工の光はいけないぞ?最初フラッシュ消したからわかってると思うが。」
「そっちに蛍いないからいいかなーって。」
「取り合えず懐中電灯も消すぞ。」
「う、急に暗く感じるね。」
「ほら、はぐれないように手。」
俺が手を差し出すと、一条さんはおずおずと握ってきた。こういう恥ずかしがる姿は可愛いなー。首輪は無いけど。
「今、私の評価がアップして、下がった気がする。」
「女の感ってすごいな。」
俺は一条さんと他愛のない話をする。が、俺は一つ疑問に思う。
「一条さん。当たってる。」
「んー?何が?」
暗闇の中見えにくいが、何となくニマニマしているのだろう。俺はドキドキしているのかもしれない。暗闇で腕に抱き着かれる経験はないから。うーん。
「これがかの有名な吊り橋効果?」
「それって男の子にも効くの?」
「知らない。」
知らないけれど、少なくとも俺は一条さんに好意的な物を感じているのかもしれない。・・・・・いや、完全にすけべ心だな。やっぱ今の無し。
暫く進むと、祠があった。祠と言っても3m程の高さのちょっとした丘に穴が掘ってあり、木で出来た祠が安置してあるくらい。とても簡素だ。そこに一条さんがゴソゴソとどこからか紙を出して、祠に置く。
「はい、終了。もうすぐ折り返し地点だね。」
「折り返し地点は終わったんじゃないか?」
後は旅館の表に帰るだけだよな?そう思っていると、急に一条さんが突進してきた。たまたま後ろにフカフカの藁が敷いてあり、そこに尻もちを着く。おそらく・・・・。
「全て計画通りって?」
「ふふふ、偶々後ろにいい感じの藁が敷いてあったから、押し倒しただけだぞ?」
「そうすると、高橋さんも共犯か。」
ちょっとカマをかけてみる。すると、倒れた俺に乗る形で一条さんはちょっとむっとした顔をしている。綺麗な顔なのに、勿体ないなどと考えていると、ぐっと顔を寄せて来る。鼻が触れ合うのでは?という位近づいてから、ニコっと笑い耳元で話してくる。流石に背中が寒くなる。
「さっすが鯉谷君。そうだよ。これは私が鯉谷君、高橋さんがこうちゃんを落とす計画なんだよ?」
「じゃあ、関口と仲直りしたのは・・・・・。俺に近づく為?」
「大正解!小学校の時に好きだからって理由だけでいじめられた私がどれだけ苦労したか。到底許せるものじゃない。だから私はこうちゃんなんて知らない。」
この会話の示すように、小学校以来の幼馴染と言えるのかもしれない。小学校の時、関口は一条さんの事が好きで苛めをし、それが切っ掛けで女子にも火が付き、中学でもそういう立ち位置だったとか。因みにそれを抑え込んで解決したのも関口だが。
一条さんは関口が苛めた結果何年も苦渋を味わっていると思っている。そして見かねて助けたとも。
関口は、一条さんが自分のせいで苛めの火種が出来ているとは露程も知らず、苛めを助けてあげたからいい関係が築けるのではないかと思っている。そう思っているからこそ、俺と関口との間に密約は交わされていた。
『俺は桃香と仲直りがしたい。そして付き合いたい。俺はお前が高橋の事好意を寄せている事を知っている。だからお前が俺と桃香との間を取り持ってくれ。高橋さんとお前の間は俺がなんとかする。』
といったもの。
さて、この合宿自体この密約を犯すものなのだ。どう逃げようか思案する。
「逃げようとしたって無駄だよ。」
「・・・・・。」
「こうちゃんは高橋さんに誘惑されて落ちている。だって失敗したら連絡が入るようになっているから。未だに入ってないって事はそういう事。どうせ約束してたんだよね?鯉谷君。高橋さんを貰う代わりに私をこうちゃんにあげるって。」
あげるとか、貰うとか。まるで・・・・・・。
「まるで物みたいに言うのやめろ。」
「うん。だからね。私を女の子として扱って。このまま落ちればそう扱ったことになるから。でもー。もし拒否するなら私たちは物扱い。それに、関口君が先に裏切ったのよ?もう約束は無かったことになってるでしょうし。」
「確かに。けれど、それは一条さんの言う事が正しかったら。けれど、その証拠はない。」
「う、それは確かに。」
よし、これで逃げる口実が・・・・・。
すると、悪魔のいたずらだろうか。一条さんの携帯にSNSが届く。そのメッセージを見てにやりと笑う。そのメッセージを見せて来る。
『関口君は落としたわよ。約束は無効だって言ったら直ぐ落ちましたわ。後、これは証拠写真。もし、鯉谷君が落ちていなかったらこれで証明してくださるかしら。私が鯉谷君に、少しも異性として魅力を感じていないという事を。』
そこには高橋さんにキスする関口が映っていた。
「これで、君は心置きなく私と・・・・・ふふ。」
俺は上体を起こして一条さんをぎゅっとわきの下に腕を入れて抱く。それに満足したのか一条さんもこちらに体を預ける。
そして・・・・・・・。
立ち上がって一条さんを抱きかかえたまま帰路を急いで歩いていく。こんなに暗いのに一条さんを置いていけない。かと言って関口が心配だ。だから俺は背の低い一条さんを人形を抱くようにして早足で歩く。
「ちょ、ちょっと鯉谷君!?」
やっと俺の行動の真意を理解したようで、暴れ出すが、俺が抱いているので大した抵抗になっていない。俺は走りながら一条さんの耳元でささやく。
「一条さん。俺は別に一条さも高橋さんも好きだ。だから、関口が諦めるなら付き合ってもいい。」
「なら!」
「だが!」
ここで大きく咆哮する。これは伝えなくてはならない。
「こんなやり方間違っている。出来るなら4人共仲が悪くならないで、4人が丸く収まる方法以外俺は認めない。」
「けど、どうしろって?私はあなたとしか認めない。」
「それは関口も同じだろう。」
ここで一条さんが言葉に詰まる。だって関口だって一条さんが好きなのだ。一条さんと関口は立場は同じだ。なら、関口も納得する方を選ばなければならない。
「一度四人で腹を割って話そう。」
「そんなんじゃ・・・・・勝てない。」
一条さんがぼそりと言った言葉が走っていたために聞こえなかった。
俺と一条さんが旅館の入り口に戻ると、そこには誰も居なかった。それは耳の細工を元に戻して部屋に戻る。すると、関口の上に圧し掛かる高橋さんがいた。
「え?なんで?」
高橋さんが驚いたようにこちらを見て、関口を見て・・・・視線があっちこっちに動く。
「ごめんなさい。駄目だった。」
関口が親指を立ててくる。俺の策が無ければ多分二人の策略に落ちていただろう。
実は俺も関口も女子二人の策は見透かしていた訳ではないが、怪しいと思った。だからBluetoothで電話の通話状態を維持した。それを知らず一条さんと高橋さんはそれぞれ相手が落ちたと嘘をついていた。ほぼそのまま音声でお互いの状況を聞いていた俺たちはこうして二人の計画を有耶無耶にしたのだ。
・・・・しかし、ここからが問題だった。それは・・・・。
「一条さん。俺と付き合ってください。」
「お断りします。私貴方の事好きじゃないので。鯉谷君。振ったよ!これでいいよね?付き合ってくれる?」
うーん。関口完全に泣きそうになっている。
「関口。納得した?していない?」
「してない。」
「即答か。一条さん。関口が納得していないようだけど。」
「もうそんなんいいじゃない。私と鯉谷君が付き合えばそれで全て終わるのよ。」
うーん。確かに、俺と一条さんが付き合えば関口はあきらめざる負えない。が、ここに待ったを掛けた者が出てきた。
「ふーん。逆に言えば私が鯉谷君とくっついても解決しそうでもあるかしらね?」
この言葉に空気が軋む。
「ちょっと、高橋さん。鯉谷君は譲ってくれるって・・・。」
「うん。でも鯉谷君は拒否しているんだよね?」
「拒否じゃなく、保留よ、ほ・りゅ・う!」
ああ、どうしようこれ。三人でわいわい騒ぎ立てている。
「はー。取り合えずこの話は保留にしよう。俺も心の整理が出来てない。」
「いえ、ここではっきりさせます。私は関口が嫌い。」
「な!あの時許してくれたって。」
「鯉谷君に取り入るのに都合が良かったからよ。もう。邪魔。」
そう言って部屋のトイレに向かう。どうやらずっと行きたかったのかもじもじしていた。そして、進行方向にいた関口を突き飛ばした。
「おっと。」
よろめいた関口は足を絡めて、座布団を踏み、足を滑らして机の角に頭を打つ。
「関口!!?」「関口君!!?」
俺と高橋さんは関口を気遣う。一条さんも見て驚く。
「いてててえ。」
「あ、せ、ご。ふん。」
謝ろうとしたけれど、恐らく嫌われようとして謝らなかった。
「もう、今日は遅い。明日朝もう一度話しよう。」
三人共無言で頷いた。俺と関口はそのまま直ぐ寝ることにした。
関口は押し入れで。俺は普通に布団で。
*****************************
「あら、喧嘩は終わったみたいねー。私も若い時は良く喧嘩したものよねー。って誰にいっているのかしら。もうこの旅館には従業員は私しか居ないのに・・・・。あら?」
またこの夜に誰かが出ていく音がする。女将になってもう40年も務めてきたけれど、ここまで嫌な予感は初めてだった。
「もう、歳ね。追いかける勇気はないわ。寝ましょうか。もうあの子たちはある程度大人だしね。」
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俺は寝ていると、急に扉が乱暴に締まる音がした。驚いて起きてみると、周りは真っ暗。しかし、だれも入ってきている様子はない。まさかの夜這いも警戒したが、良かったようだ。まあ、あの雰囲気ではむりだろう。鳴き声と嗚咽が聞こえる。そっとしておこう。俺の名前を呼ぶ声も聞こえるから、恐らく一条さんだろうけれど。
また睡魔が俺を眠りにいざなう。
が、急に光が目を刺す。ゆっくり目を開けると女将さんがいた。
「ほら、朝よ。目を覚まして。皆夜更かしするから。もう10時よ。」
「え?もう10時?」
そう言って階段を急いで下りるとそこにはもう関口と一条さんと高橋さんが待っていた。
「おう、おはよう。良く寝てたな。」
何かすごく違和感があるが、とにかく皆暗い雰囲気はない。
「おはよう。三人共話がまとまったのか?」
「うん。」「おう。」「ですわ。」
なんだ俺が居なくても問題は解決したのか。それは良かった。
「で、どうなったんだ?」
「えっと。俺と加奈が付き合う事になった。」
「え?」
加奈とは高橋さんの下の名前だ。ってえええええええ?
「それでいいんだな?関口。」
「ああ、納得だ。」
「で、私と鯉谷君が付き合うと。」
一条さんが急に抱き着いてくる。まあ、それなら俺は受け入れるしかない。
「鯉谷君。私と・・・付き合ってくれますか?」
「ああ、これからよろしく。」
そう、これからの高校生活は一人ぼっちではない。これからは写真部の皆が一緒にいる。本当の意味でこの4人の絆が深まった。一つの違和感を残して。
「あら。桃ちゃん。どうしたの?あ、まさかー。」
「そう!鯉谷君と付き合う事になったのー。」
「あら、良かったわねー。鯉谷君、桃ちゃんをよろしくねー。」
「あ、はい。任せてください。」
あれ、これって結婚とかの話じゃないだろうな?結婚の話はまだ何のしてな・・・・・・。
「披露宴には私も呼んでね?」
「へ?」「・・・・・・・」
二人共固まる。そんなつもりじゃなかったのだが。
「あ、さて、そろそろ出ましょうか。鯉谷君。この後デート行こ?三人で話し合って、今日はこの後二手に分かれて行動しようって事になったから。チェックアウトしよう?」
「分かった。荷物を纏めよう。」
部屋に戻った俺と関口は荷物を纏めて外に出る。丁度女子二人も準備が終えたらしい。
そして女将さんに挨拶する。
「お世話になりました。」
「ふふ、また来てね。ん?他の皆は?」
「ああ、もう階段下りていきました。」
「そう、せっかちなんだから。」
かなり明るいおばさんだなーと思いながら、皆を追いかけようとする。が、一つ気になって振り返ると女将さんの後ろにも中居さん達が並んで女将さんとお辞儀をしていた。
もう来る事はないから、またお越しくださいというのは無いからね。女将さんをそっとしておき、俺は急いで皆を追いかけていった。
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「ねえねえ、けいちゃん。」
ももかが俺をけいちゃんと呼ぶ。思わず幸せをかみしめる。
「ん?どうかした?」
「んふふ、呼んだだけー。」
ももかは嬉しそうに先に走る。いま俺たちは大きい街に出て、買い物をしている。何人かにぶつかりそうになりながらも桃香は走る。
「早くー!」
「はは、待ってくれ。」
桃香の所に行くと腕にしがみ付いて来る。
「もう、おっそーい。」
「ごめんて。」
そこで止まってしまった。街路樹が茂っているそこには電気屋があった。そこが電気屋でなければよかった。若しくはそのニュースのタイミングが遅ければもう少し幸せが続いていたのかもしれない。でも、見てしまった。
『緊急ニュースです。山岳部にある旅館で三人の高校生が死亡しておりました。今身元を確認できました。
高橋加奈(17)、関口浩介(17)、一条桃香(16)
逃亡したと思われる鯉谷圭太(20)容疑者は未だに見つかっていないという事です。
どうやら父親だけの家庭のようです。やはり片親だと・・・・・・・』
ニュースから目を離し、桃香を見る。
目の前にいる木漏れ日に照らされるの桃香はどこか儚げな笑顔のまま・・・・・。
すぅーっと透明になり消え去った。
いかがだったでしょうか。今後どのような事になったかはご想像にお任せいたします。
因みにこれだけは弁明させてください。警察に出頭したのち、音声録音を鯉谷君は行っております。無実は獲得したのですが、一生の傷を覆います。
評価が良ければ長期文章として書きなおすかもしれません。多分評価高い事は無いと思いますが。
もし、長期文章として書きなおすなら、ハッピーエンドになるかも。