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第7話 ニートの生活その2

そう言えば朝起きてから何も食べてなかったな…


って思い出した辺りから急激な空腹感を覚え、かなりひもじくなってきた。


今は午後7時。

昼の11時に起きてから何も食べてない。


基本ニート故に動かないので、燃費は非常にエコロジーなんだけど、やっぱりこれはお腹が空く。


「…なんかなかったっけ」


長時間のゲームに目が疲れ、チャットで仲間に少し落ちると伝えてから頭のヘッドフォンを取る。


しょぼしょぼする目を軽く擦りながら、椅子から立ち上がる。


ゲーム中は素っ裸だった故に今もまだ何1つ着ていないアタシの身体なんだけど、とりあえず先に食べ物食べ物。


基本自室の食料保管場所は布団の枕元近く。


辺りに散乱する衣類や漫画を無理やり退かして、何か食べ物は無いかと漁ってみる。


……。


「…何にもない、か」


あれこれ探してはみたけど、食べ物は見つからず。


そう言えば備蓄してあったお菓子も昨日全部食べちゃったんだっけ。


食べ物がない、って思うと余計にお腹が空いてくるのは不思議なところ。


…1階のキッチンへ行く?

ごはんあるよ?


でも午後7時だとみんな帰って来てるし、誰かに会っちゃうな…


空腹感とニートのプライドがアタシの脳内で熱いバトルを繰り広げる。


我ながらつまらない事考えてるな…って思う。






この前、ちょっと探し物をするために自室の押入れの中を漁っていた時。


押入れの奥から、小学生の頃に使っていた教科書やノートが出てきた。


まだ漢字も計算も全く出来なかった頃のもの。


アタシは懐かしさから思わずそれを手に取り、中を見ながらパラパラとページをめくっていた。


ノートに書かれた、沢山の漢字。


お母さんに書いてもらった、筆記用具に貼られている名前シール。


分からない漢字に振仮名を振った国語の教科書に、アルコールランプやガスバーナーの使い方が載った理科の教科書。


「…懐かしいな」


その懐かしさに駆られ、更に押入れの中を探すと出てくる出てくる…色んな懐かしさ。


子供の頃に遊んだ人形、学校で使ったソプラノリコーダー、小学生の頃に唯一貰った習字の優秀賞の賞状。


「……」


これがいわゆる1つの、ニート泣かせ。


あの頃、まだ未来に希望を抱いて、毎日を楽しく過ごしていたあの頃。


ニートは基本過去を思い出すと、死にたくなる…と言うが、あながち間違ってはいない。


流石に死まではいかぬとも、こう…まぁ、


切なくはなる。


「…はぁ」


今、アタシはニートだ。


職にも就かず、学校にも行かず。


何つまらない事してるんだろう、アタシ。








ニートは楽だけど、つまらないばかりだな…


と、これまたつまらない事ばかり考えつつ、相変わらず全裸で部屋をうろちょろし食べ物を探すアタシ。


「…やっぱりキッチン行くしかないか」


プライドに勝る空腹感。

やっぱり人間、引き篭もっていても三大欲求には勝てないらしい。


あんまり家族と会いたくないから、せめてもうちょっと遅い時間になってから…と、考えて。


それまでは…漫画でも読んで時間潰そうかな…と、とりあえず適当に座ろうと腰を下ろしたら。


「……ッ!?」


お尻に走る、一瞬の違和感。


ヒヤっとして、つるっとして。


そして、ゾゾっとした。


アタシは床に座りかけてた腰をフっと上げて、今しがた座ろうとしていた場所を見る。


…そこには雑誌が散らばっていた。


「…ああ、アタシ今ぱんつ穿いてなかった…」


思わずお尻を摩るアタシ。


直に雑誌の上に座っちゃったら、雑誌の光沢ある表紙がお尻に当たりヒヤっとしてつるっとした。


そして、雑誌の角が…前に当たっちゃって、ブワっと言うか、ゾゾっとした…


「…あー、やっぱり先に服着よ」


ぶるっと1つ身震いをし、適当に落ちてる衣服に手を伸ばし…


と、ふと。


足元の雑誌の角を見て。


あのゾゾっとした感覚…それは、つまりまぁ…前に当たっちゃったからで…


「…あっ」


…本当我ながら、何と言う事で思い出してるんだか。


「…確かピーナツがあった」


アタシは床に落ちてるぱんつを1枚広い上げながら、パソコンの横…ちっちゃな机の上に置いてあった、未開封のピーナツを発見。


無事に食料確保。










夜中の1時。


アタシは布団に寝っ転がり、ピーナツを食べながらスマホで漫画を読んでいた。


…こうも他人とコミュニケーションが無いと、どんどん根暗な人間になっていくな…ってのが実感できる。


テンションがあがらない。


感情の起伏も無に等しい。


…つまらない。


手元のスマホに映し出されている漫画、主人公がヒロインに対しラッキースケベを発動させていて、ヒロインが憤慨しているシーン。


「…最近怒ってないな」


喜怒哀楽を表に出してないな…と。


ネトゲだってボイスチャットありだけど、基本はウワベっつらだけの、ただの挨拶みたいなもの。


コミュニケーション…そのものが皆無になりつつある今。


昔はこんな根暗じゃなかったな…


「……」


昔の事を考える…それ即ち、ニートの虚しさスパイラルにハマるのみ。


ちょうど摘んでいたピーナツも底を尽きてきたし、ちょっとお風呂にでも行ってきてサッパリしてこよう。



スミマセン…次話掲載まで少し間が空くかもです。

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