第16話 真っ赤に染まったぱんつ
「なんか…廊下でお姉ちゃんと会うの、久しぶりだね」
と、視線を逸らしつつも、しっかりと立夏に向かい話す秋菜。
しっかりと…いや、これはしっかりとしているのか?
一方の立夏も、
「う、うん…。あっ、と言うかこの前はゴメンね? ゲームの邪魔とか言って部屋から追い出しちゃって」
何処となく、ぎこちない。
お互い姉妹相手にしどろもどろになっちゃってる、ちょっと摩訶不思議な伊秩家の娘たち。
うーん…と、その2人のお兄ちゃんたる俺は考える。
「…あのさ、ぎこちなさが全面に出過ぎよ?」
と、モノは試しにストレートに指摘してみた。
「…はぁ。コレだからお兄ちゃんは」
「…はぁ。全く兄貴はこれだから」
そしたら何故か2人からため息を頂戴してしまった。
「え? 何? 何なの?」
とある日のとある夕方の我が伊秩家の廊下。
目の前には、リビングへと繋がる扉。
その前には、何故か自宅なのにガチガチになる立夏と、見届け人の秋菜。そして俺。
夕方……まだ両親がいる時間にこうやって1階まで立夏が降りてきたのは…本当1年ぶりだ。
「…な、なんか緊張する」
扉の取っ手に手をかけながら、カチコチと小刻みにガタガタ振るえている立夏。
「何を緊張してんだ…だって自宅のリビングに行くだけだぞ? 別にそんな…」
「う、うるさいっ」
と、まぁこんな感じで変に威勢良くリビングへの入室を躊躇う立夏。
「お兄ちゃん…ここはお姉ちゃんのペースでいいじゃん」
と秋菜は立夏擁護。
「…なんて言って入ってけばいいのかな?」
「お姉ちゃん落ち着いて。中にいるのは薄らハゲと更年期間近のおばさんしかいないから。別に怖い人はいないから。だから落ち着いて入って」
「おい秋菜! お前親をなんだと思っているんだ!」
「お兄ちゃんは黙ってて」
「ああ緊張する緊張する」
…我が家の廊下はなかなかな喧騒の中に。
「…ああ、焦れったい」
内心募るイライラ。
何をそんな躊躇っているんだ。
別にそんな、リビングに行くくらい…
「ああ〜立夏っ」
俺は、取っ手に手をかけ立ちすくむ立夏の背中を、
押した。
トンっ
「うわっ」
瞬間、扉の取っ手は下がり扉が開き、立夏は押され体勢を崩したままに、
リビングへすってんころりん。
「ちょっ…お兄ちゃん!?」
横で見ていた秋菜は一瞬固まるも、直ぐに現状を理解しあたふた。
そんな秋菜を横目に、俺は軽く微笑んだ。
目前の、リビングの風景を見ながら。
「……家族なんだから、遠慮はするな」
リビングからは一瞬の驚き…の後に広がる、暖かさ。
まだまだニート脱却へは時間が掛かるかもしれない。
だけど、一歩一歩自分のペースで進んで行けば良い。
少なくとも今、先ずは一歩…踏み出したのだから。
それは後日の話。
「うわっ…なにこの部屋…」
久々に娘と話をし、謎のわだかまりの解消を成した伊秩家の母。
長女の立夏がリビングで寝転んでいる隙に、たまには立夏の部屋の掃除でも…と、母は立夏の部屋へと入った。
…立夏の部屋
それは物が床一面に散乱している、汚部屋だった。
「…全く、相変わらず立夏は片付けが出来ないんだから」
と、文句を言いつつ床に散乱する衣類を片っ端から手に取り、とりあえずは持ってきた洗濯カゴへと突っ込んでいく。
「……ん?」
ふと。
母は立夏の部屋の隅っこに、真っ赤に染まった布切れ…のようなモノを見付けた。
気になり手に取る。そして広げる。
「…なにこれ?」
それは、真っ赤に染まった…伊秩家長男の、
パンツだった。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
…完璧自分の力量不足でした。
ニートな妹相手にどったんばったんな家庭内コメディーを目指して書いてはみたものの、中途半端に設定や物語の筋を決めただけの状態で書き出しちゃって、
結果まとまりの無い…これまた中途半端な感じで終わりを迎えてしまいました…。
い、いつかリベンジと称し、続きを書けたらな…と。
今度はもっともっと立夏を面白可笑しく書きたいです。
改めて、最後までありがとうございました!