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第12話 ハードモード

「ルーレットっ! スタート!」


立夏がちょいんっと回した、1から10までの数字が書かれたカラフルなルーレット。


カラカラカラ〜っと小気味良い音を立てながら回転をし、次第に回りが遅くなる。


それを息を飲み見守る立夏。

と、1来い1来い…と内心願いながら冷めた表情で見守る俺。


そして、ルーレットは止まる。


「…来たっ! いきなり10!」


ルーレットが止まった時に、針が指し示していたのはルーレット上で唯一の2桁の数字、10。


いきなり大進撃を決めやがった。


「やった! いち…にぃ…さん…」


喜びも束の間、車型の駒を1マス、また1マスと進めていく立夏。


ワクワクの表情を見せながら。

そんなにやりたかったのか…


その間にも立夏は順調に駒を進め…


「きゅう…じゅう! さてさて、マスには何が書かれ…」


パァっと明るい顔でマス目を覗き込む立夏。


立夏1ターン目、出目は10。


到達マス内容

『乗っていた車が事故に遭い大破。スタートへ戻る』




……うっわ!!


えっぐい…えっぐいぞコレ…


初手10とか絶対みんな幸先が良いと喜ぶ所。


そこに…こんなマスが…


「……お、おお。残念だったな立夏」


俺は苦笑しながら立夏の顔を見…うわっめっちゃ凹んでる顔してる。


「…何これ? 何このマス? 何これ?」


すげぇブツブツ言ってる…


さっきまでの楽しく輝いていたホクホクフェイスはどこえやら。


「はぁ? 10出て戻る? はぁ?」


人生ゲームの、だった1ターン目の出来事。


だが、テンションの暴落に会った立夏の心は荒みかけていた。


ニートは直ぐに心が荒む(偏見)


「…これだから外出たくないんだよ。家の中にいれば事故なんて起きない。引きこもっちゃえばいいんだ」


人生ゲームにニート論理を持ち出す立夏。


…脱却の…意思は?


「ま、まぁまだ初手だしな。じゃあ次は俺の番」


場の空気の重みを感じつつ、閑話休題とばかりに今度は俺がルーレットを回す。


ルーレットはまたまた、カラカラカラ〜っと小気味良い音を立てながら回転。


そしてゆっくりと止まる。


針が指し示す数字…それは5。


「…まあ微妙だが、いいや」


1や2に比べればまだマシか。

と、荒む立夏を横目に駒を進める俺。


コツコツコツと…着いた5マス目。


そこに書かれていたのは、


『兄弟がやってる個人事業が倒産。連帯保証人のあなたはあり金全てを失う』




「だから出だしからエグい!!」


何だこれ!?


何で人生の始まりから躓きっぱなしなの!?


何なんだ!!


思わずツッコまずにはいられない。


「あ〜あ…兄貴が一文無しになった」


ぷ〜くすくすッ…と隣でほくそ笑む立夏。


コイツ…っ


「人生ハードゲーム過ぎるだろ…ほら立夏、次お前の番」


俺は手持ちの紙幣を全てゲームの付属の紙幣入れに戻し、次なる人生の道を歩む立夏のターンを促した。


「よし! 5と10以外来いっ!」


と、意気込み回した立夏の2ターン目のルーレット。


ルーレットが止まり、針が指し示した数字は8。


「やった! まあまあ進める!」


ちっちゃなガッツポーズを見せた立夏は、先ほどスタートに戻された駒を一気に8マス目へ進めた。


8マス目に書かれていた内容

『乗っていた車が大暴走。止まらず進み続けた…8マス進む』




「…さっきのマスと言い、お前の車大丈夫かっ!?」


事故ったり暴走したり。


「やった! 全然大丈夫だよ車検通ったし。これで8マス進んで…一気に16マス! やった!」


果たして何の車検を通ったのか…


ブレーキでも壊れたのか、止まらぬ立夏の車(駒)は暴走し、さらに8マスも進んだ。


計16マス。

俺とは11マスも離れた。


超にんまり顔の立夏を尻目に、俺はルーレットを回す。


「何が出るかな? 何が出るかな? それはルーレット任せよっ! はっ!」


軽く祝詞(祝詞なのか?)を口ずさみつつ、回した俺の2ターン目のルーレット。


出た目は、1。


「兄貴…残念だったね!」


してやったりな立夏の顔。


ニヤニヤしっぱなし。

また序盤も良いところだぞ…


「ちっ…1マス進めて…あ?」


俺はちょっとした敗北感を抱きながら駒を進め、


到達したマスに書かれていた内容を見て、


あ〜…っと、苦笑い。


『新たな道路交通法が誕生、先走り禁止法案が可決。あなたより10マス以上先にいるプレイヤーの駒は、


スタートに戻る』


俺、現在スタートから数え6マス目。


立夏、スタートから数え16マス目。


「…えっ?」


立夏の人生はハードモードっぽい。

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