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第五話「わたしがやりました」

 あれから何分たっただろうか。

 静寂に満たされた部屋は、ひどい有り様であった。

 盛大に撒き散らされた白米と、宙を飛んだ炊飯器による破壊の痕に加え、衣服が乱れに乱れ、大事な部分が丸見えの少女が気絶したまま床に転がり微かにうめき声をあげている。

 第三者が見れば婦女暴行の現場にしか見えないであろう。

 そんな場所で土下座し続けている不審な男。


 すなわち、俺である。



「わたしがやりました!大変申し訳ございません!」


 全力で謝罪する。

 例え自分に非が無くとも、被害者や第三者が聞いていなかろうと関係ないのだ。

 事件が起きた際には、素直さと誠意、そして即謝罪することが大事だということを俺は職場で何度も学びました。

 何故かヤバい時に限って誰か見てたり、たまたま通りかかったり……そういう時にごまかしや、責任転換すると大変なことになるのである。

 あっ、思い出したら動悸が。



「マスター、そろそろ顔を上げてください」


 ほら、こんな感じで何故か誰かが現場にいたりするのだ。

 声の主は分かっている。

 俺をマスターと呼ぶこの綺麗な声、スマホちゃんだ。





「だがしかし、あの惨状では目のやり場に困るというか…………ってええええぇぇぇ」



 恐る恐る顔を上げると、なんと目の前に黒いニーソックスに包まれた瑞々しい太ももがあった。

 すらりと伸びた脚線美と、柔らかそうな肉感とでも言うべきか、膝上でニーソの終端部分が真っ白な太ももに食い込み、これまた黒色のミニスカートとの間で素晴らしいコントラストと色気を振り撒いていた。

 おおっ、ありがたや、ありがたや。


「あっ、あのマスター、そんなにまじまじと見られますと恥ずかしいと言いますか、その……ああっいえっ決して嫌なわけではないのですが」



 思わずガン見してしまった俺に、恥じらいながらも答える可憐なボイス。



 顔を上げるまでもなく、悟った。

 俺は察しがいいことで有名なのだ。

 付喪神のつくもと名乗る少女の登場と、青く光り輝いていたスマホ。

 そこから導き出される答え。





 この太もも、スマホちゃんだ!



相変わらずの超ショートでございます。申し訳ございません!

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