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第一話「話せばわかる」

 気がつくと、俺はテーブルの上に置かれたスマホの手前で正座していた。

 正確にはさせられていた。


「あなたは馬鹿なのですか?奇声を上げて部屋の中を走り回るなんて、まともな大人のすることではありません」

「おっしゃる通りでございます」


 彼女、女の子の声を発するのでこのスマホを便宜上そう呼ぶことにしよう。

 すごく綺麗な声だ。

 説教が耳に心地よい。

 もっとキツい言葉で罵ってほしい……そう思えるほどに。


「誠に申し訳ありません。喜びのあまり我を忘れ、本能に支配されておりました」



 だが、欲しがりの紳士(へんたい)は嫌われる。

 ファーストコンタクトは穏便に済ませなければ。

 なにより彼女が怒ったままでは話が進まないしな。


「ま、まぁわたしもここ最近マスターの仕事ぶりをずっと拝見しておりましたから、お気持ちは痛いほどわかるのですが」


 声音がどことなく優しくなった。

 聞いてみるなら今だろうか。


「して、少しばかり質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「もちろんです、マスターのご命令とあれば何でもお答えします」


 何でもとか言うなよ……。

 聞きたい。

 スリーサイズとか聞きたい。

 あ、でもスマホだから上から70mm70mm70mmとか、驚くほど凹凸が無いな!

 正直、このスマホの正体とか会話できる仕組みとかどうでもいい。

 悪戯したい。

 声優さんばりの美声の持ち主であるこの娘(スマホ)が恥らったり照れたりする声が聞きたい。


「何故、スマホであるあなたと会話ができるのでしょうか?」


 けれど心を鬼にして我慢した。

 誰か褒めてほしい。


「憶えて……いらっしゃらないのですか?」


 途端、とても悲しそうな気配が伝わってきた。


「わたしが初めてマスターのものになった二年前のあの日、戸惑うわたしの耳元で囁いてくれました。これから君が話し相手になってくれたら、俺はとても嬉しい……と」


 えっ言った……か?

 スマホを相手に?というか耳元ってどこだよ。

 スピーカーが耳か!



「そうしてマスターの願いと能力(憑き物)、それがわたしに声を授けたのです」



 みんなー聞いてくれ。

 いつのまにか俺は能力者に覚醒していたらしいぞ!



基本的に超ショートストーリーで構成していきます。

あしからずご了承下さい。

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